首元を彩るは君の色「ん」と、渡された小さな紙袋。
国民的長編アニメの少年が少女へ傘を手渡すように渡され、思わず笑い出しそうになるのを抑えつつ、ありがとうございます。と、お礼を口にした。
そういえば、今日がバレンタインだったか。
「きっとお前は気にいるよ」
えらく自信満々に言うものだ。よほど美味しいものだったのだろうか。
「開けてみても?」
私が紙袋を指すと、神奈川さんは勿論。と自信に満ちた顔で頷く。
神奈川さんのお墨付きなら、期待大。
私は紙袋の封を丁寧に開け、中身を確認する。
てっきり、チョコレートでも入っているものだと思っていたが、どうやら違ったようだ。
「あの、これは……」
中に入っていたのは、ジュエリーケースのような小さな小物入れだった。
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