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    torii_ichiko

    @torii_ichiko

    ベッターから引っ越しました。軽く書いたもの上げる用。

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    torii_ichiko

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    ハマりたてくらいのころのなのでなんか恥ずかしいけども。R18まではいかないのでリストにしないけどちょっと色っぽいシーンはあります

    こたつみかん外は吹き荒れる北風。
    いつもより遅れてやってきた冬の寒波が容赦なく街を覆いつくして、ぐんと気温を下げる。
    人々は風が吹くたびにコートに包んだその身を抱えるように震え、マフラーに顔を埋めて歩いていた。
    今夜はまた一段と冷えるようで今年一番の寒さだのなんだのとニュースが騒ぎ立てている。
    そんな中だからこそ、ここは天国と言えるのだ。
    外の寒さを完璧に遮断して暖房に包まれた部屋の中でスザクは思っていた。
    現在エアコンの暖房が部屋を満たした空気の中で、その温かさの中央に君臨するコタツというこの家最大の暖房器具。
    その中にもう住んでいるんじゃないかという勢いでスザクとルルーシュはそこから動かずにまったりと顔を緩めていた。
    「あー…最高…こたつって最高だよねルルーシュ…この冬最大の寒波とか全く感じさせない幸せがここにあるよね…」
    こたつに下半身を埋めたまま上半身は机に預けてだらけ切った顔のスザクが呟いた。
    「ああ…人類が生み出した素晴らしい文明の利器の中でも5本の指に入るよな…こたつ」
    スザクの向かい側では同じ顔をしたルルーシュが同じようにこたつに入りながら呟く。
    普段は知的な発言が多いルルーシュが明らかに知能レベルの下がったセリフを吐いていることなど当人も、またスザクも気づかないほどに、このこたつという魔物は人の思考を蕩けさせていた。
    本格的な冬がやってくるということで、今シーズン初めてこたつを出したのが数時間前のこと。
    ちょっと入ってみようなんて会話をして、それぞれがこのこたつに入ってからというものずっとこんな調子だった。
    しかし数時間もずっとこんな暖かな電気器具に包まれているとなると当然起こりうる問題があるのだ。
    「あー……なんかさ、喉かわかない?」
    「確かにな…」
    体としては温かみを感じるものではあるのだが、実際にはかなりの熱に晒されているわけで。当然水分補給が必要になってくる。
    おもむろに呟くスザクの声も、またルルーシュの声も虚ろげでやる気がないのは、こたつの熱に腑抜けているのももちろんあるが、そう言った症状で体をだるくなっているということもある。
    「……確か、みかんがあったな。冷蔵庫に入ってたはずだ」
    そうはいいつつもルルーシュは立ち上がる気配がない。一切ない。
    その様子にしびれを切らしたスザクが口を開く。
    「…ルルーシュ、持ってきてよ」
    「何で俺に言うんだ。食べたいならお前が行けばいいだろう。俺は1こでいいぞ」
    食べたいなら取りに行けというわりに、ルルーシュはしっかりと自分が食べる分の個数まで指定してスザクに伝えて平然と構えている。この見事な棚上げ術に当然スザクも反論した。
    「ルルーシュだって食べたいんじゃないか!じゃあルルーシュとってきてよ!なんで当然僕が行くみたいな言い方するの!?」
    「お前が言い出したんだからお前が行くべきだろう!お前こそ当然のように俺に行かせようとしてるじゃないか!」
    さっきまで蕩けていた顔を顰めてお互いにらみ合う。
    二人とも普段ならばどちらともなくなんとなく立ち上がって、相手の分まで持ってくる優しさと親切心を持ち合わせるている。それがこのように醜く争い合うのは、やはりこたつという魔物が二人の心―というか温まっていたいという体―に巣食ってしまっているという悲劇が生み出したこと他ならない。
    まぁ要するに一度入ったこたつから出たくないというシンプル且、利己的な想いが醜くぶつかりあっているのだった。
    「ルルーシュとってきてよーいいじゃないかー昨日僕がとってきたじゃん」
    「嫌だ。お前の方が冷蔵庫に近いんだからお前がとってこい」
    「そんな変わらないじゃないか。順番的に昨日僕がもってきたじゃん。みかんほら、ルルーシュ行ってきてよ。僕3つ食べたい」
    「一昨日は俺がとってきたんだからそれならそれこそ立場は変わらないじゃないか。そもそも昨日まではこたつがなかったんだから比較にならない。それよりも距離だろ。お前近いんだから行けよさっさと」
    昨日のことを持ち出したり、何十センチも変わらない距離の事を持ち出したりとあまりにもみみっちい言い分をぶつけ合う。
    そんなくだらない争いがさらに二人の喉の渇きを加速させていく愚かさに、二人とも気付いてはいたが、意地でもこたつから出たくない気持ちが二人をヒートアップさせていく。
    しかし口論の末お互いに疲れと、本当に喉が渇いてきたためふいに言葉が詰まった。
    しばし二人は睨みあっていたが、その中でスザクが口を開いた。
    「……あのさ、ルルーシュ。さっきからずっとこたつに入ってるけど」
    「それがなんだ」
    「そろそろさ…トイレとか行きたいんじゃない?トイレのついででいいから持ってきてよ」
    スザクが切り口を変えた説得を試みる。両腕の肘をつき、両手を顔の前で組むようなポーズでしたり顔でつぶやく様子はルルーシュをすぐさまイラつかせたが、ルルーシュは冷静を装って答えた。
    「別に。行きたくない」
    実際にそういう状況ではないルルーシュに迷いはない。毅然とした目で言い返す。
    「じゃあ僕の代わりに行ってきてよ」
    「何バカなこと言ってるんだ。お前こそトイレ行きたいなら行って来ればいいだろう。当然ついでに持ってくるんだろうな?みかん」
    カウンターとばかりにルルーシュが口角を上げて嫌味気味な笑みを浮かべて伝えるがスザクも真っ直ぐに答えた。
    「いや、僕も別に行きたくないけど」
    その言葉のあとはまた沈黙が走った。無駄に睨みあいながらもお互い下手に言葉を交わせない。
    スザクもルルーシュも。当然この幸せのこたつから出たくはないという気持ちが強いが、半ば意地になっていた。
    しかしこたつの熱は留まるところをしらない。温かさの代償に喉の渇きは増す一方だ、もう自分が折れてみかんくらい持ってこようかとも思うが、どうにも相手にしてやったりという顔をされるのが気に入らない。
    お互いそんな気持ちが邪魔をしてにらみ合ったまま、こたつから離れることができないでいた。
    「……それなら、潔くじゃんけんで決めないか」
    沈黙のなか今度はルルーシュが声を上げた。実際にもう本当に喉が渇いていた。ルルーシュはふっと顔を緩めると、いつまでもこんな意地を張っていても仕方がないといった感じで軽く手の平を投げ出す。
    今更そんな態度をとっても結局自分でとりにいかないのならば、全然意味がないということに気付く様子もなく。眉間にややしわを寄せて、やれやればかばかしいというような表情を見せる。
    「じゃんけんか…まぁ打倒だよね」
    とっととこんな意地の張り合いにけりをつけたいのはスザクも同じで、神妙な顔つきでうなずく。
    「遅だしとか…ズルはだめだからね」
    「そんな小学生みたいなことはしないさ」
    静かに言葉を交わしながら各々に拳を準備する。
    手を組んで伸ばしてみたり、拳を握ってもう片方の手で包み込んでみたりという、気分だけで特に意味のない願掛けのようなポーズをする時間は丁度同じくらいだった。
    その次の瞬間、二人は軽く息を吸い込んで言葉と共に吐き出す。
    「「じゃんけんぽん!」」
    同時に張り上げた声とともに出された手が、この長きにわたる攻防の勝敗を決める。その瞬間シンと静まり返った部屋の中心に二人の拳が交わった。
    こたつの真上にはグーの手とチョキの手が微動だにせずそこにとどまり、室内には声が上がった。
    「やったー!!」
    叫んだのはスザクだった。
    たったこれだけのことに万歳をして喜びを噛みしめる様は子供以外のなんだというのだろうか。同時にその姿はルルーシュを煽るのに十分だった。
    片やルルーシュは呆然と自分のチョキをつくる手を見つめてブルブルと肩を震わせている。この状況が信じられないとばかりに…その背中には哀愁が漂っていた。
    「…馬鹿な…そんな…統計的に考えて負けるはずが…」
    なにやらぶつぶつ言っているルルーシュをよそにスザクは嬉々として話始めた。
    「僕の勝ちだ!じゃあルルーシュが行って…」
    スザクが言いかけるとルルーシュは何とか冷静さを取り戻し、そしてその言葉にかぶせるように言い放った。
    「…負けた方が行くとは言ってないだろ」
    しゃあしゃあと言われたその言葉にスザクはぽかんと口を開け、目を丸くした。
    ルルーシュは得意げに顎をあげ、意地が悪そうに眉を上げた。皮肉に歪むその笑顔はまさに悪の王、悪逆皇帝のそれだ。
    「ほら、じゃんけんに勝ったスザクにはみかんを取りに行く権利を与えよう。よかったな。行ってこい」
    あんまりの態度に一瞬呆気にとられていたスザクだが、じわじわと湧き上がる苛立ちに弾けるように言い返す。
    「うわーっ!!なにその小学生みたいな屁理屈!!そんな小学生みたいなことしないって言ったばっかりだよね!?行かないよ!勝った方がいくとも決めてないじゃないか!」
    それもまた小学生みたいな反論だということに気付いていないスザクは、そのまま苛立ちを込めてこたつの机をドンっと殴った。
    「なんとでも言うがいい!いいからお前が行くんだよ!スザク!もう俺は喉がかわいたんだ!!」
    「何だよその言い草!!ほんっとルルーシュって横暴でわがままだよね!」
    「それはお前だって同じことだろうが!!自分勝手なわからずやが!」
    売り言葉に買い言葉。とはまさにこのことであり、こたつを挟んでの攻防は止まらずに続いていく。誰がどう見てもどっちもどっちなのだが、それを教えてくれる第三者はここにはいない。
    「わからずやはどっちだよ…このっ!」
    そしてその攻防はついにこたつの中にまで及んでいく。
    苛立ちがピークに達したスザクの足が、こたつの中のルルーシュに軽くけりを入れた。
    「った…!おい!そういうことはやめろ!」
    「なんだよルルーシュのバカ!そのままこたつからでちゃえ!」
    「こらっ…!」
    こたつの上の口喧嘩がそのままこたつの中に移動したように、低俗な争いがバタバタとこたつ内で繰り広げられる。
    スザクはルルーシュを物理的にこたつから追い出す作戦に出て、怪我をしないように加減はしながらゲシゲシと足蹴にする。
    ルルーシュも当然反撃を試みるが、たとえふざけていても足技でスザクにかなうはずもなく。当たり前に防戦一方だった。
    スザクはルルーシュの抵抗が意味をなさないのをいいことに、足を止めずに追い詰める。スザクの足を避けるので精一杯のルルーシュはろくな言葉も言い返せずにいたその時だった。
    「スザクっ…いい加減にやめっ………アッ…ん」
    いきなり上がった色っぽいルルーシュの声にスザクも一瞬ビクリとして足を止めた。
    こたつの中でバタバタしているということは、直接足元は見えない。が、実際に足でルルーシュを攻撃していた今、スザクもその感触に違和感を覚える。
    明らかに足でも腰でもない少し柔らかいような感触。
    それに加えてルルーシュの声…
    もしかしなくてもその足は…足でも腰でもないある別の場所に当たってしまったということに気付いた。
    スザクがそれに気づいたというその反応でまた、ルルーシュも察する。
    じゃれ合いのような喧嘩のような…そんな雰囲気がガラリと変わって室内には怪しい沈黙が走った。
    何を言っても恥ずかしい気がしたルルーシュは何も言えずに黙り込んむ。その顔はみるみる赤くなっていき、スザクはそれに唾をのんだ。
    スザクはもう一度そろりと足を動かした。今度は偶然にではなく、意図的にその場所…先ほど当たってしまったルルーシュの股間に触れる。
    「んっ…すざくっ!何を……あっ…あぁっ…」
    ルルーシュが足を閉じようとしたときにはもう遅く。スザクの足先はそこを捕えてそのままグニグニと器用に股間を刺激する。
    足の指で上下になぞるように行き来して、そのたびにビクビクと肩を震わせるルルーシュを、スザクは食い入るように見つめた。
    「やぁっ…スザクっ…本当っ…ああぅっ…ふざけっ…な…!おい!!本当やめろ!!」
    暫く股間を嬲っていたスザクの足は、ルルーシュの大声と共に止まった。
    顔を真っ赤にしてフーッフーッと荒く呼吸をしながらルルーシュはスザクを睨みつける。
    「あ……いや、ごめん。つい…」
    「つい…じゃない!!」
    ルルーシュは恥ずかしさを覆い隠すように怒りを露わにして唇をわななかせた。
    「だって、ルルーシュが可愛かったから…」
    さっきの険悪な雰囲気などなかったかのようにスザクは穏やかな笑みを浮かべる。
    その余裕にルルーシュは面白くないといったように、さらに眉根を上げた。
    何を言っても自分が恥をかかされたような…負けたような気がしてルルーシュはしばらくスザクを睨むことしかできなかったが、思い出したように口を開いた。
    「お前な…そうやって…余裕ぶった顔をして…優位にたったような気でいるようだが…スザク、それは間違っているぞ!!」
    「なんでさ?」
    突然のルルーシュの言葉に、何が言いたいのかわからずスザクはきょとんと首を傾げた。
    するとルルーシュは自分で言い出したくせに顔をさらに真っ赤にして、恥ずかしそうに口を開いた。
    「……こ、こんな状態では…俺は…立てないッ…。こんなふうにしたのは…お前の責任なんだから…お前がみかんを取りに行け!!」
    言い終わったあとさらに顔を赤くさせルルーシュはうつむいた。
    苦しい股間が立って歩くことを拒んでいる状態だとを告げるような…自分の恥と引き換えにそれでも意地でもみかんだけは取りに行かせようという、ルルーシュの体を張った主張が室内に響き渡った。
    その言葉のあと部屋はまた一瞬の沈黙が走る。
    ルルーシュがそれでも顔も上げられずにいるとスザクが声をあげた。
    「…そんなことで勝ったつもりなら…それこそ間違ってるのはルルーシュの方だよ」
    「何だと!?」
    思いもよらない返しにルルーシュが思わず顔をあげるとスザクは真顔で答えた。
    「……僕も、立てない…」
    その言葉に今度はルルーシュが目を丸くして口をぽかんと開けたのだが、スザクの様子で意味が分かった。
    もじもじと腰を揺らしているような様子から…スザクもルルーシュと同じ状況なのだと…さすがのルルーシュも察した。
    なぜ触られてもいないスザクが?とルルーシュは思っていたが、ルルーシュの痴態をみてスザクが興奮しないわけもなく。
    こたつの中での二人の攻防は、雄の起立によって幕を閉じることとなった。
    「…………」
    「…………」
    険悪ではなく、今度は気まずい沈黙が二人を包んだ。そわそわと目を合わせては逸らすことをお互い繰り返して数分。
    スザクがポツリと声を上げた。
    「…じゃあ、もうセックスでも…する?」
    「ッ…!!!」
    その言葉にカッとなったルルーシュの投げたテレビのリモコンがスザクの顔面に見事にぶち当たったが、セックスはした。
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