「ねぇ、カガリ。お願いがあるんだけどいいかな?」
「ん? なんだ、キラ。どうした?」
真剣な表情のキラに首を傾げる。
「カガリの事抱っこしてもいい?」
「は?」
いきなり何を言い出すのだろうか。この可愛い弟は。
「⋯⋯それは全然いいが、私が抱っこした方が良くないか?」
だって腕力も絶対私の方がある。それにキラ軽いしな。
「ダメだよ! 僕だって男なんだよ!?」
「うん? キラが男なのは分かってるぞ? でもなんで急に抱っこなんだ?」
本当に突然言い出したからさっぱり意味が分からない。
「⋯⋯だって、アスランもシンも僕の事、簡単に抱っこするんだもん」
ボソリと呟いた言葉に、あーとカガリはキラの言いたい事が分かった。
「⋯⋯ラクスとはしなかったのか?」
「勿論ラクスも抱っこしたよ? ラクスはどうにか抱っこ出来た」
そういえば少し前にラクスからメールが届いていた気がする。まだ見れてないが。
「つまり、アスランやシンでは抱っこ出来ないけど、ラクスや私なら出来るとそう思ってるんだな?」
「だって2人とも女の子だから。いくら僕が腕力なくても出来るでしょ?」
自ら腕力の無さを暴露したキラに、いつか訓練受けさせるかと思ったのは内緒だ。
「分かった。だが、少し待ってろ」
「う、ん? どうして?」
「ちょっと準備する必要がある。あ、キラもパイロットスーツに着替えてろよ」
「ん? パイロットスーツ? なんで?」
「いいから」
カガリの言う事に渋々分かったと返事をして、キラはコンパスの制服からパイロットスーツに着替えに行った。
カガリもパイロットスーツに着替え、とある施設の一室に向かう。ここはモルゲンレーテにある宇宙での訓練の為に作られた場所で、無重力に出来る装置があった。
「さて、ここならいけるか」
「カガリ、着替えたけど⋯⋯なんでここ?」
しっかりパイロットスーツに着替えたキラがやってきた。
「ん? ここならキラも思いっきり抱っこしても疲れないかと思ってな」
「う⋯⋯ん?」
ラクスから届いた写真を見た結果、やはりこのやり方にして正解だと思う。
確かにキラはラクスを抱っこ出来ていた。出来ていたが、写真に納まっていたキラの表情が笑顔だったが、どこか耐えている表情に見えたのだ。
どうせならキラも笑顔で写真に写って欲しい。
「ほら! 早く来いよ!」
グイッとキラの手を引き、装置内に入ると慣れた無重力空間になり、キラも問題なくカガリを抱っこ出来た。
無重力だから重みなんて感じないし、キラも複雑そうな顔をしていたが、最終的には笑ってくれた。
こうして撮れた物は、仲睦まじい双子の笑顔の写真で、カガリとキラにとっての大切な思い出の1枚になった。
公式絵が尊すぎて書きたくなっちゃいました。