馴れ初め修真界には、魂に刻まれた第三の性というのが存在する。
肉体の性とは違い、それは主と従。またはどちらかであるか、どちらでもないか…というモノだ。
主は、支配欲に庇護欲や世話を焼いたり褒美を与えたりする欲を持つ者の事。
従は、服従する事を喜びとし、尽くしかまってほしい褒めて欲しいという欲を持つ者の事だ。
主は従に命令する事ができるし、従はそれに従う事を悦びとしている。
従が主に信頼を預けるか否かで、主従関係は結ばれ魂の契約となる。
「……」
「……」
二人の仙師が、黙って見つめ合っていた。
見目麗しい春の日差しのように穏やかな顔の男は、目を見開き口を押えている。
そして、もう一人のいつも雷のように警戒心の強い男は、青ざめた顔で相手の男の命令を遂行してしまった。
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