クリスマス精神街にクリスマスの雰囲気が漂う12月、赤、緑、金色できらめくこの時期は、理鶯にほんの少し古郷を思い出させる。いつ聞いても懐かしいキャロルに心がときめく。まるでサンタクロースを待っていた少年時代のように。毎年12月になると、母は降臨節のカレンダーを買ってきた。チョコレートが毎日一個ずつ食べられるような仕組みだった。理鶯も他の子供と変わらず、一日で全部食べつくしてしまいたかったが、サンタクロースにバレると欲しいプレゼントがもらえなくなるため毎日我慢していた。降臨節カレンダーのチョコレートもあと5個以下になってる頃には、父の車に乗って近い山まで行く。もみの木を取りに行くのだ。母はいつもコストコで売っている安い偽物を使えと言っていたが、父は毎年、頑なに生きてるもみの木を使いたがった。今考えてみると、彼はクリスマスツリーにこだわっていたわけではなく、おそらく年に一度、息子と共有できるマッチョイズムがとてつもなく楽しかっただけだろう。まるで今の理鶯みたいに。もみの木に厳しいことを言う母も、オーナメントにだけは人一倍気合い入れていた。20年も前の家族写真が飾られているものや、理鶯が初めて作ったオーナメント、手先が器用な隣人からもらったものなど。親戚みんなで飾るクリスマスツリーは、ただの人工美溢れるもみの木ではなく、美しい形の家系図だった。完成されたツリーの下には、メイソン家の子供たちのためのプレゼントが用意されている。キッチンからは七面鳥を焼く匂いー理鶯の音のない回想がここまで来た時、後ろから人の足音が聞こえた。
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