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    @vnight6_6 のポイピクです
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    PAST
    クリスマス精神街にクリスマスの雰囲気が漂う12月、赤、緑、金色できらめくこの時期は、理鶯にほんの少し古郷を思い出させる。いつ聞いても懐かしいキャロルに心がときめく。まるでサンタクロースを待っていた少年時代のように。毎年12月になると、母は降臨節のカレンダーを買ってきた。チョコレートが毎日一個ずつ食べられるような仕組みだった。理鶯も他の子供と変わらず、一日で全部食べつくしてしまいたかったが、サンタクロースにバレると欲しいプレゼントがもらえなくなるため毎日我慢していた。降臨節カレンダーのチョコレートもあと5個以下になってる頃には、父の車に乗って近い山まで行く。もみの木を取りに行くのだ。母はいつもコストコで売っている安い偽物を使えと言っていたが、父は毎年、頑なに生きてるもみの木を使いたがった。今考えてみると、彼はクリスマスツリーにこだわっていたわけではなく、おそらく年に一度、息子と共有できるマッチョイズムがとてつもなく楽しかっただけだろう。まるで今の理鶯みたいに。もみの木に厳しいことを言う母も、オーナメントにだけは人一倍気合い入れていた。20年も前の家族写真が飾られているものや、理鶯が初めて作ったオーナメント、手先が器用な隣人からもらったものなど。親戚みんなで飾るクリスマスツリーは、ただの人工美溢れるもみの木ではなく、美しい形の家系図だった。完成されたツリーの下には、メイソン家の子供たちのためのプレゼントが用意されている。キッチンからは七面鳥を焼く匂いー理鶯の音のない回想がここまで来た時、後ろから人の足音が聞こえた。
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    PAST
    都市が眠らない理由東京の雨の日がたいていそうであるように空は陰気な雲を垂らして力のない雨脚を垂らした。帝統はそれが水圧の低いシャワーのようだと思った。夕方が始まる時間、巨大なシャワーヘッドの下に黒い傘が影の下にまた影を作った。下降するシベリア高気圧が小さな人間の懐から温もりを奪っていく。襟を正す、雨を傘で遮る大勢の人々と一緒にスクランブルを通る。向かい側の人達は帝統を避けて歩いて行った。いくら混みあっても雨、風、そして少し汚い人には触れたくないようだ。紅海を渡るモーゼにでもなったような気分で、帝統は渋谷スクランブル通りを斜めに歩いていった。2日3日洗ってない頭の上に雨が降り、濡れた髪を冷たい風が靡いた。自分についている汗、血、ほこり、砂のようなものが雨粒に混じって風に乗って…···遮断された視線、ぎゅっと閉じた襟、固い傘の中に食い込み彼らになにかしら病気になりますように。そんなことを想像しながら歩いて行った。その病気を一層深めることができるかな?と期待しつつタバコに火をつけた。雨の中でなかなか火がつかず、ライターを何度もカチカチと鳴らした。やっとついた火が消えるのが嫌だったので、フードを深くかぶった。
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