オレとオマエが親しくなった理由「た~いじゅ」「ねぇ、大寿ってば~」
…どうしてこうなった?
何故コイツは急にオレにしつこく話しかけてくる??
理由がわからねぇ
困惑しているオレなどお構い無しに無敵のマイキーこと佐野万次郎はオレの後ろをついて来ては何度もオレの名を呼び続ける。
「チッ、うるせぇな何だよ」
「おっ、やっと反応した」
「てめぇがしつけぇからだろ、で、何の用だ?」
「オレと少しお話しようよ、いいだろ?」
ますます意味がわからねぇ
黒龍にいた頃に1度だけコイツと会話したことはあったが 、あの時は総長同士の話し合いしかしていないし決着がついて東卍に入った後は集会で顔を合わせるくらいで口を利くことなんざなかった。
「お前、オレに興味なさそうだったじゃねぇか話すことなんて何も無いだろ」
「興味がなかったのは黒龍にいた時の大寿だよ、今は同じ東卍のメンバーじゃん、オレは今の大寿に用があるっつーか、オマエのこと色々知りたいんだよ」
「はぁ!?」
今、コイツはなんと言った?知りたい?オレを??
思ってもなかった発言に戸惑っているオレを見て佐野は指をさして思いっきり笑った。
「アハハハハ…大寿変な顔」
「なっ、て、テメェがおかしな事言うからだろうが!!つか、人を指さすんじゃねぇド突くぞ」
「アハハ…ごめん、ごめん、いや、大寿もそんな顔するんだなって思ったら面白くて」
「喧嘩売ってんのかテメェ」
「そう怒んなよどら焼きやるからさ」
「いらねぇよ」
「あ、たい焼きが良かった?」
「そういう問題じゃねぇ!!」
すっかりペースに乗せられてしまったオレはとりあえず手渡されたたい焼きを食べながら佐野との会話に付き合った。
オレのことを知りたいと言っていた割にほとんど自分の話ばかりでほとんどが話を聞いていただけではあったが退屈はしなかった。
むしろコイツの…佐野の今まで見たことがない表情を見ることができたのがちと、新鮮で楽しかった。
「…大寿、オマエ今すっごく可愛い顔してるよ?」
「……は?」
突然可愛いなどと言われ一瞬ではあったが固まってしまった。
「今日はいろんな大寿が見れて楽しかったな~ね、連絡先交換しよーよ、オレ、またこうして大寿と話とか一緒に遊んだりとか色々したい」
「はぁ~突っ込みてぇことはいくつかあるが、まぁいい思ったより悪くねぇ時間だった。気が乗ったらまた付き合ってやるよ」
「うん、じゃあまたね!!」
連絡先を交換してニコニコで手を振り去っていく佐野。
オレなんかよりもテメェの方が可愛いじゃねーか…なんて思いながら自分も家へと歩みを進める。
この出来事がきっかけでオレと佐野はこの後付き合うことになるんだが…その話はまた今度な。