0724「大寿、明日誕生日なんだろ?」
集会の終わり後ろから佐野に声をかけられた。
「そうだが、誰から聞いた?」
「三ツ谷!!付き合ってんなら誕生日くらい覚えておけって教えてくれた」
「はぁ~…」
お節介な野郎だと思いオレはため息をついた。
「で?誕生日だからなんだよ、プレゼントでもくれんのか」
「うーん、誕プレもあげたいんだけどさオレ、明日大寿と一緒に過ごしたいんだよね、ダメ?」
ニッコリと笑って尋ねてくる佐野、オレはこの顔に結構弱かったりする。
「チッ、しょーがねぇな今日はもう遅ェから細かいとこは後でメールしろ」
「ん、わかった」
次の日オレが待ち合わせ場所に着くとそこにはすでに佐野の姿があった。オレの姿に気付くと大きく手を振ってきた。
「ヤッホー大寿時間ピッタリじゃん」
「…明日の天気は雨かもなぁ」
「え、明日雨ふんの?」
「ばぁか冗談だ、オマエが早く来てるから言っただけだ。つか、早く来れんなら普段も余裕もって来いや10分、20分も遅れやがって…」
「はいはい、それよりさ何処行きたい?今日は大寿の好きなとこに付き合うよ」
急にンなこと言われたって思いつかねぇよ…
オレが悩んでいると痺れを切らしたのか佐野がオレの腕を引っ張って歩き出した。
「っ…オイ、まだ考えてるとこだろうが!!」
「だって待ちくたびれたんだもん。とりあえずたい焼き食べよ、それから色々行けばいいじゃん」
そう言って佐野はいつものたい焼き屋まで歩みを進める。
まぁ、行きたい場所が決まってないからいいが…コイツいくらなんでも待ち時間短すぎんだろ!!
「ん?どした大寿」
「はぁ…なんでもねぇ」
「安心していいぞ大寿、今日はオレのおごりだから」
「いや、そういう心配してるわけじゃねェから」
どうやら今日のたい焼きはおごりらしい。
二人でたい焼きを食べてからは佐野を連れて水族館に行ったり三ツ谷とよく行く服屋に行ったりした。三ツ谷とってのが面白くなかったのか服屋に来たときの佐野はムスッとしてて子供っぽくてつい、可愛いなと思っちまった。
本人に言ったらめんどくさいことになるから言わねぇけど。
それにオレの行きたいとこに付き合うと言ったのはコイツだオレは悪くない。
「…はぁ~っ、楽しかった!!大寿は今日楽しめた?」
「まぁ、それなりにな」
気づけば辺りはうっすらと暗くなりはじめていてそろそろお開きという頃合になっていた。
「あのさ、オレ今日大寿に誕プレあげたかったんだけど、何渡せばいいかわかんなくて用意してないんだ」
「そうか、別になくてもオレは気にしねぇよ。それに、たい焼きおごってくれたろ?十分だ」
誕プレが用意出来なかったことに落ち込んでるようにみえてオレは佐野の頭をぽんぽんと撫でてやる。
「…来年はちゃんと用意するから楽しみにしてて」
「あぁ、少しは期待しといてやるよマイキー」
「大寿、今、名前で呼んだ?」
「…付き合っておいていつまでも苗字で呼ぶのもなって思って…たから…な…」
クソッ、つい勢いで呼んじまったけど姉弟以外で下の名前なんて呼び慣れてねェからちとこれは…恥ずかしい。
「アハハハ…大寿顔真っ赤じゃん!!いや、うん、すっごく嬉しい、改めて誕生日おめでとう」
まぁ、コイツも喜んでるし良いか…祝ってくれてありがとよ、マイキー。