在りし日に手を振れ/皆守遠く広がる、夏の終わりを仄かに燻らせた空。
上を見上げている筈だが、腕を広げるとそのまま落ちてしまいそうな感覚に陥るほどに深い深い青藍が窓の向こうに見える。
午前中の授業を終え、気分転換をする為に屋上へ向かう。
階上へ向かえば向かうほどに、人の気配は徐々に薄れていく。
手に持った小さな手提げ袋の中には、購買で適当に買った紙パックの飲み物と、パンが二つ。
何も食べないで過ごすよりかは、空腹を紛らわせる程度に食べるのがちょうど良い。
重い屋上の扉を押し開けると、外の空気がさあっと吹き込む。
噎せ返るような青さと、分け隔てなく差し込む陽の光が目の奥を突き刺す。
風が吹くと、縁を囲むフェンスがガサガサと風に揺れている。
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