アベンチュリン・タクティックス ルート1 第11話:娘さんをください 前編 時は過ぎ、3年生となった星とアベンチュリン。大学受験のシーズンがやってきた。
「うっ……さむっ………」
冷たい風が吹き、星はぶるりと体を震わせる。もう3月だというのに、まだ冬のように空気が冷えていた。
見上げれば、雲一つない快晴の空。空の青が琥珀の瞳に映っていた。
「大丈夫? 寒かったら、僕に寄ってもいいよ」
「ありがとう」
「コートの中に入ってもいいからね」
「それはやめておく」
そんなことをすれば、変に目立ってしまう。大学の先生だって見ているかもしれないのだ。触れたい気持ちは分かるが、ここはぐっと堪える。
家に帰ったら、アベンチュリンの髪がわしゃわしゃになるぐらい触ってあげよう。
アベンチュリンとともに大学へと来ていた星。今日は待ちに待った合格発表の日だった。
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