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    dappya3

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    3/30インテ新刊『死神の話 The one’s story』
    サンプルです
    テーマは
    原作沿い×まだくっついてない流花×ホラー
    ちょっと人を選ぶ内容です

    第一話は、あんまり怖くない、コメディ風

    #流花
    flowering

    第一話 首筋に吐息桜木花道はオバケが怖かった。怪奇現象全般がダメだった。
    不良がオバケが怖いなんてみっともないが、怖いものは怖いのだ。
    幸い花道は視える人という程ではない。はっきりとした形で見えたのは1回きりで、普段は気配を感じたり、ぼやっとしたものが見える程度。
    それが逆に想像力を掻き立てて、恐怖を煽る原因でもあったのだが。


     
    湘北高校に、昼が来た。
    弁当を広げる者、餌を求めて学食や売店へ大移動を開始する者などで校内がざわつく中、花道は席から動かず窓の外の八重桜をぼんやり眺めていた。
    賑やかな笑い声が近づいて、高宮を先頭に3馬鹿が教室に入ってきた。
    「うぉ〜い花道、メシ行こうぜ」
    しかし花道は振り向かない。
    「なんだよ、まだ昨日の練習試合引きずってんのか」
    「しゃーねぇよ、あとちょっとでヒーローになり損ねたんだから」
    「ったく…初心者が試合出てシュート決めただけでも十分快挙だろーに」
    ヒソヒソ言い合う高宮と野間を押しのけて、大楠が前に出た。
    「おい花道!学食行こうぜ、カツ丼奢ってやるからよ」
    それでも花道は動かなかった。「今のオレにカツとか嫌味か!」と喚き散らすと思っていた大楠は、面食らった。
    「え、マジでどした?」
    三人はソロソロと花道のすぐ後ろまで近付いて、様子を伺おうとする。とたん。
    「ぬははははははは、奢りと言ったな⁉」
    花道が勢いよく立ち上がり、振り返った。
    「ゔおッ‼」
    勢いよく仰け反った高宮に残る二人は潰される。
    「痛って!」
    「重ぇよアホ‼」
    「なんだてめーら、雁首揃えて間抜け面晒して……さてはオレがまだイラついてると思って茶化しにきたんだろーが。お生憎様、オレはもう…今朝のオレとは違うのだよ。なはははははは!」
    「なんだぁ?」
    「完全に浮かれてやがる」
    「いい加減どけろ高宮」
    「待たせたな花道。…て何ひっくり返ってんのお前ら」
    洋平が戻ってきた。日直だったので、教材の片付けに駆り出されていたのだった。
    「洋平、学食行くぜ。晴子さんも大絶賛の活躍を見せた天才に、大楠が奢ってくれるってよ」
    「なんだアイツ。朝と全然違うじゃねーか」
    呆気にとられる高宮に、洋平が苦笑いで種明かしをした。
    「花道の奴、晴子ちゃんとバッシュ買いに行く約束したらしいんだよ」
    「「「なにぃ‼」」」
    「それって、ほぼデートのお誘いじゃねーか!」
    「だよな?だよな?やっぱり天才の活躍ぶりが晴子さんの心を動かしたに違いねー!ルカワなんかよりオレの方が活躍してたからな!もう晴子さんもルカワなんか見限ったに違いねーんだ」
    花道はテンション高く、高宮の腹肉をひねっている。
    「いや、それはねーだろ」
    高宮は冷めたツッコミを入れた。昨日並んで応援して、流川の活躍時の晴子の熱狂ぶりを見ている身としては、花道の主張にはとても賛同できなかった。
    「はっはっは、僻むな僻むな」
    「あーあ、なんだよ心配して損した」
    花道はぶすくれる大楠の肩を抱く。
    「ぬっはっはっは!おーくすくぅん?御祝儀なんだからもちろん大盛りだよな‼」
    「うるせー、並に決まってんだろ!」
    「ケチくせーこと言うなっての!ほら行くぜ」
    そう言って真っ先に廊下に飛び出した花道だが、突然ビクッと背中をすくめて立ち止まったので、真後ろにいた大楠は背中に追突した。
    「いてーな急に止まんな」
    「ふぬーっ‼」
    鬼の形相で振り返った花道が突然大楠の襟首を掴む。
    「馬鹿野郎‼きめぇ悪戯すんじゃねーよ」
    「はぁ?」
    「ふぬぅ、しらばっくれてんじゃねー」
    「いや、オレなんもしてねーけど」
    「おいおい、どうしたよ花道」
    「洋平、さっきからコイツがオレの首に息吹きかけてんだよ!」
    「してねーつってんだろ」
    「した!」
    二人を交互に見ていた洋平は、眉をひそめた真剣な顔で聞き返した。
    「なぁ、花道…どこに息吹きかけられたって」
    「ここ!」
    花道が指すのは首の上の付け根、襟足付近である。洋平の眉間のシワがさらに深くなった。
    「なぁ、それ多分大楠じゃねーぞ。てかオレ等の誰でもねぇ」
    「なんで!」
    洋平は大楠を花道の隣に並ばせた。
    「ここが、口。な?タッパ、足りねーんだわ」
    大楠は花道より頭半分低い。しかも花道は猫背だから、襟足は肩よりも前に突き出ていた。
    「ここに息吹きかけんなら、せめてお前と同じくらいの身長がねーと無理。つまろオレらは違うってこった」
    「は……?」
    「他に可能性があるとしたら…そいつは宙に浮いてる、とか、かな」
    花道の顔から血の気が引いて、カタカタと小刻みに震えだす。
    「つまり……どーいうことだ…よ」
    「「「オバケだぁああああああああああああ‼」」」
    クラッカーや花吹雪が舞う。三馬鹿はまるで花道が失恋したときのような大盛り上がりであった。
    「うぉお〜やったな、卒業式以来じゃねーか!」
    「流石女の子よりオバケにモテる男…期待を裏切らねぇな‼」
    「失恋記録が停滞してる分、こっちで頑張ってくれ‼」
    「いやいやいや、おめーら、んなわけねーだろ!ねーよな!洋平」
    「…………」
    洋平は、無言で微笑んだ。
    「…………え、いやいやいやオバケなんぞ実在しな…ひゃぁあああああッ」
    花道が悲鳴を上げて派手に肩を竦ませる。
    「ほら、ほら、今度は確実にオレ達じゃねーぜ。全員前にいたからな!」
    「うひゃひゃひゃっはっは!」
    「やべーぜ花道、お前憑かれてんぜ」
    「ちがーーーーーーう‼オバケなんかいねー!いねーったらいねー!これは全部…トリックだ!」
    花道はムキになって三馬鹿を追いかけ回す。誰もいないなんて認めたくなかった。だって、認めたら…本当にオバケに憑かれたことになる。
    そんなの、怖すぎる‼ 
    「ひぃいいいい!」
    またゾワッとする吐息。反射的に仰け反った背中が、誰かにぶつかった。固まる花道のすぐ耳元で、声がした。
    「邪魔だどあほう」
    「ッ!!!!!!!」
    即座に振り返る。
    真後ろに流川が、立っていた。屋上へ向かう途中だったのか、手には弁当の包みを下げていた。ほぼ同じ身長に花道にぶつかられても揺らがない体躯。白い仮面のような無表情、まさに花道の首と同じ高さにある…唇。引き結ばれていた口が、開いた。
    「廊下の真ん中で暴れてんな、サル」
    「なんだとオラァ!」
    「悪かったな」
    殴り合いになりそうな気配に、素早く洋平が間に入った。いきり立つ花道を残る三人が檻のように囲む。腹も減ったし昼休憩は短い、これ以上の面倒事は避けたいのが、この場の花道以外の総意であった。
    「ちょっとふざけすぎたみてーだ」
    「……ふーん」
    桜木軍団全員の祈りが通じたのか、流川は花道をこれ以上刺激することなく去っていった。四人はホッと安堵の息を吐く。
    花道は、まだ拳を握りしめたまま流川の向かった方角を睨み続けていた。洋平が脇を小突いた。
    「ほら、行くぜ」
    「わかった……」
    「は?」
    花道は探偵のように、指を突き出した。
    「わかったぜ。オレに息吹きかけた犯人は……ルカワだ‼」
    「はぁあ⁉」
    「この世にオバケなんかいるわけねーんだよ!ぜってー人間の犯人がいる。そいつはオレくらいのタッパがあんだろ、つまり!犯人は、ルカワだ‼あの根性悪以外ありえねー‼」
    「いやさっき流川いなかっただろ」
    だが華麗なる迷探偵花道には、高宮のツッコミも届きはしなかった。
    「あんにゃろ、試合でオレが活躍したのを妬んで嫌がらせしてやがったんだ!しかも、オレが晴子さんと上手くいきそうだから、妨害するつもりなんだ‼きっとオレと晴子さんの会話盗み聞きしてやがったんだ、そーに違いねー!なんて陰険なヤローなんだ‼」
    「違うと思うぞ…だいたい」
    流川は晴子のことなど眼中にない、と言いかけて野間は口をつぐんだ。不良と言えどそのくらいの品性はある。
    「どーするよ、アレ」
    大楠に耳打ちされた洋平は、ケラケラと笑った。
    「ま、別にいーんじゃね、正体不明の相手じゃ戦えねぇ。花道にゃ、言いがかりだろうが何だろうが、犯人が必要なのさ。敵さえ明確なら、花道は負けねぇよ」
    洋平の脳裏に、高校入学前に起こった事件が頭をよぎる。
    「それもそーだな」
    「厄介ごと押し付けることになるけど……まぁ、流川なら気にしないだろ……たぶん」



    それからしばらく時間が飛んで、放課後のバスケ部である。
    キャプテン、赤木剛憲は落ち着きなくチョロチョロする赤い頭を見ては、苦虫を噛み締めた。
    「何ををやっとるんだあの馬鹿は」
    今日花道は練習に遅れてきた。それはいい、晴子から聞いている。
    だが、ウォームアップや基礎練習をしている最中、不自然に流川のいる方へとじわじわ寄っていくのである。
    「何やってんの、桜木花道!」
    彩子に叱られて渋々元の場所に戻るが、しばらくするとまた流川に寄っていく。
    全体練習に混じってからは、更に奇行に拍車が掛かかった。まるでスクリーンアウトのように流川の前に立ち塞がり、流川の動きに合わせて前を塞ぎ続けている。
    流川は流川で、初めこそ文句を言ってどかそうとしていたが、途中からは練習用の案山子と割り切って、抜いてパスやドライブを決めるようになった。
    花道の行動を挑発と取ってムキになったのかもしれない。近頃の流川からは、期待のスーパールーキーという皮が剥げて、とんでもない問題児の本性が現れつつある。赤木にとって更に頭の痛い問題であった。
    「なんなんだろうな、あれ」
    押し合いへし合いする二人に、パスを出していた木暮の手も止まった。あまりに気になりすぎて、誰も練習に身が入っていない。
    「赤木の指示か?」
    「んなわけあるか。いい加減にしろ桜木!流川の練習の邪魔をするな!」
    「い、いや違うぞゴリ、邪魔してんのはオレじゃねー!こいつ!」
    「うるせー、いい加減にしろど下手くそ」
    「なんだとゴルァ‼」
    「真面目にやれ、こんなザルディフェンスじゃ練習相手にもならん」
    「なんだとぅ!嫌がらせ陰険ギツネが‼」
    木暮が間に入ったので、赤木は振り上げかけた拳を下ろした。。
    「まあまあ二人とも。桜木、今日はどうしたんだ」
    「メガネくん!このキツネがオレに嫌がらせを…うひゃぁ!」
    悲鳴を上げる花道に、木暮は目を丸くする。
    「ど、どうした?」
    「このキツネが、わざとオレの首に息を吹きかけてやがるんだ!」
    「吹きかけてねー」
    「そりゃ眼の前にいるんだから当然だ。嫌なら離れろ」
    「イヤ…それは、その……」
    ごく当然の赤木の指摘に、花道はモゴモゴと言葉を詰まらせる。
    「どうした、何か理由があるのか?困ったことがあるなら言ってみろ」
    「うぅ…メガネくん……」
    優しい言葉にほだされた花道は、昼間あった怪異現象について洗いざらい話したのだった。
    「はぁ……誰かが息を吹きかけてくる」
    一体何が飛び出すか身構えていた木暮は、あまりに荒唐無稽な話に困惑した。
    「くだらん!お前の気のせいだ」
    「すまない桜木、なんでそれが流川が犯人になるのかが、わからないんだけど」
    「だって、だって!オバケなんかいるわけねーんだ!口がオレの首に届いて、オレを脅かして喜ぶような奴なんてルカワぐれーしかいねーんだから、ルカワに決まってる」
    バスケ部全員練習をやめて、聞き耳を立てていた。誰もかれもが笑いをこらえ俯く中、桑田がポツリと呟いた。
    「桜木って、オバケ怖いの?」
    「違うわぁああああ!アレはオバケじゃねーし!そもそもオバケなんかいねー」
    花道の剣幕に恐れをなした桑田は、慌てて赤木の背後に隠れた。
    「やめろ桜木。そもそも、流川が犯人だとしてだ。なんでお前は流川の前に立とうとするんだ。離れておけば、息を吹きかけられることもないだろう」
    花道はまた言葉に詰まった。
    「そ、それは……コマル」
    「どうしてだ?」
    「う〜〜〜〜〜〜、だって……ルカワが犯人じゃねーと、オバ…ケって…ことに…なるじゃねーか……べ、別にオバケが怖いわけじゃねーからな!そんな非科学的なものはいねーんだから、だからやっぱりルカワが犯人なんだ」
    「どーいう理屈だ」
    「ああ、なるほど…つまり桜木は、流川が犯人であって欲しいんだな」
    流川から離れた時に怪奇現象が起こって、流川じゃないと証明されてしまっては困るのだ。だから、流川の息がかかる場所にあえて立っていた。
    その時である。これまで一言も発せず、まるで蚊帳の外で突っ立っていた流川が険しい顔をした。
    「濡れ衣だ……」
    「うるせーうるせー!なんとでも言え‼」
    しかし流川は言い返さなかった。代わりに、花道の背後に回ると。
    「痛ッでぇえええええええええ‼」
    羽交い締めにした花道の首筋に、思い切り噛みついたのだった。
    「!!!!!!!!!!!!」
    あまりの出来事に、部員全員が意表を突かれ硬直した。
    「なにしゃがんだこのキツネ‼」
    「るせー」
    「あぎゃぁ!」
    がぶ、がぶと流川は追い打ちのように噛みつく。
    「お、おい流川…何やってんだ」
    「オレは息吹きかけるなんて手ぬるい真似はしねーす」
    「は?」
    「息だけなんて手ぬるいす。嫌がらせするなら…オレだったら噛む。そっちのがダメージでけーす。だから、コイツに嫌がらせした犯人はオレじゃねー。濡れ衣」
    「ええと…濡れ衣を晴らしたいから、噛んでるってこと?」
    「そう」
    合間合間に流川は噛みついているから、花道の肩から首は歯型だらけになった。
    「痛い痛い痛い!ヤメロ狂犬病が伝染る‼」
    「犯人じゃねーって言え」
    「ぜってー嫌だ!」
    「なら止めねー」
    「バカバカしい!さあ、練習だ練習だ」
    「ぎゃぁあああああああ!誰か助けてくれ‼」
    「うるせー、冤罪反対」



    結局その日は、練習時間がなくなると宥められて流川は離れたが、花道の受難はまだ終わらなかった。
    息を吹きかける犯人と同様に、流川も不意打ちで噛みついてくるようになったのである。あえて同じ行動をとることで、別人であることを証明できると流川は考えているようだった。流川の襲撃は約二週間続き、桜木軍団に笑いとからかいの種を提供し続けた。
    なお諸悪の根源である、首に息を吹きかける何者かはいつの間にかいなくなっていた。不意に噛みついてくる大男に恐れ慄いたのかもしれない。
    最も流川の襲撃の方に意識を持っていかれていた花道は、息を吹きかける存在のこと自体をすっかり忘れていた。
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