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    monngeEX

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    ジルユマ 3時間経たないと出られない部屋です!匂いの元はラッコ鍋をイメージしてます笑

    3時間経たないと出られない部屋『三時間経たないと出られない部屋』
    ドアの上そんなプレートが抱えられていた。
    「どうやら閉じ込められたようだな」
    同じ部屋に閉じ込められたジルチさんが、ふむ…と冷静に状況を分析している。気づいたらジルチさんと二人、閉じ込められていた。こんなわけのわからない部屋に1人じゃないだけ心強い。この状況でも頼れる仲間がいることに安堵していたけれど不服そうな人?がもう1人
    (ちょっとー!オレ様ちゃんもいるけどー!?)
    ボクにが捕まればもれなく死に神ちゃんも一緒だ。ボクとジルチさん2人、死に神ちゃんもいれたら正確には3人閉じ込められたことになる。
    (あ、ごめん。うーん死に神ちゃん壁の外みれる?)
    (外に保安部はいないみたい とりあえず危険はなさそうぽいけど…)
    この部屋は大きなベッド1つとお風呂とトイレ。普通のホテルのよう簡素な部屋だ。
    三時間いるだけなら問題なく過ごせそうだった。
    「ひと通り調べたが…今のところ危険はないようだな…しかし気を抜くなよ」
    「は、はい!」
    そうだ。なにが起こるかわからない。ジルチさんの言葉で気を引き締めなおし、辺りを警戒したことで部屋の異変に気づく。
    「なんか熱くないですか?クラクラするような…」
    「そうか?体調が悪く感じるならそこのベッドに腰掛けたまえ。私が許可する」
    「は、はい すみません…」
    ボクだけ緊張しているからかなぁ…こんなときでも冷静なジルチさんはすごいなぁと思いながらお言葉に甘えてベッドに腰掛ける。
    (ご、ご主人様…たぶんこれ… このままだとオレ様ちゃんも影響されてあられもない姿にー!アダルト姿はご主人様にはまだ早いかな~ちょっとログアウトするね~)
    (え?!死に神ちゃん?)
    死に神ちゃんがなんのことかわからないことを言って急に消えてしまった。ボクの体調が悪いと死に神ちゃんも影響されるからそれのせいだろうけど…原因を知ってるんだったら教えてほしかった…!
    「たしかに顔が赤いな…熱はないようだが」
    「っ!?」
    いつの間にかジルチさんが目の前にいて額をボクの手に当てて熱をはかっていた。触れられていることに妙にドキドキしてしまう。ボクより大きな男性的な手が不思議と気持ちがいい…
    「あぁ。いきなり触れてすまない」
    「い、いえっ」
    ボクがびっくと反応してしまったからか謝られてしまった。
    どうしてこんなに心臓が早いんだろう…な、なんかジルチさんが格好よく見えるし…
    不思議そうに見てくる真っ赤な目をまともに見れない。
    「? どうしても辛いなら眠っていいぞ。この状況で意識を手放すことはおすすめしないが」
    「いえ!大丈夫ですっ!」
    確かに体が火照っぽいし落ち着かないけど我慢できないほどじゃない。本当はさっきみたいに触ってほしいけどそこまでしてもらうまでの仲ではないし子供みたいで恥ずかしい。
    というか二人きりになるの初めてだなぁ…ジルチさんは探偵らしくて頼もしく、尊敬している。この状況じゃなかったらもっとお話して打ち解けたいんだけど。ふわふわドキドキとした時間が流れる。
    なんだかんだ1時間経っただろうか?
    しばらくしてジルチさんもボクの隣に座ってきた。コート脱いで手を額に当てて前屈みになって、はぁ、とため息をついていた。その様子は普段のジルチさんらしくなくて、そわそわと落ち着きがないようだった。ボクと同様顔が赤くなっている。
    「あのもしかしてジルチさんも、ですか?」
    「そんなわけないだろう」
    ボクと同じく体調が悪いのかなと心配したけれど強い口調で否定される。明らかに顔が赤く体調か悪そうなのに…嘘をつかれることに違和感を覚えながらも、熱がある前提で質問を続ける。
    「でも、ボクと同じ症状になってるなら偶然なわけないですし、もしかして毒とか!?」
    「…君、これがなんなのかわからないのか?」
    逆に問いかけられて言葉に詰まる。それは、この症状を知っているような言い方だ。死に神ちゃんもジルチさんもなんで教えてくれないんだろう?探偵なら自分で正体を当ててみろってことなのかな…なにかヒントが得られないかなとジルチさんをじっと観察してみる。そこまで深刻そうじゃないし命に関わる毒ってわけでもなさそうだけど…。
    「ちなみにユーマくんは今どんな感じだ?」「え?あ、あぁなんか、頭がふわふわとしてる感じです あ、あと妙に人恋しいっていうか…」
    「はぁ、君はその程度で済んでいるのか。個人差があるみたいだな…私のほうが効きが遅かったしな…」
    「じゃ、じゃあジルチさんのほうが重いんですか!?ボクになにかできることがあれば…」
    「いや、ユーマ君はその程度なのだろう?それならなにもしないほうがいい…。」
    ここまで元気がないジルチさんは初めてみる。
    だったら比較的大丈夫なボクが看病すべきな気がする。そういえば触れてもらった時に疼き?みたいなのが治まってたっけ…ボクのほうも人のぬくもりを感じたいしお互いに良いかも…そう思いながら軽くジルチさんの手に触れる。
    最初ジルチさんは驚いていたが、抵抗せず受け入れてくれてる。ちょっと恥ずかしいけどこれくらいなら大丈夫だよね…
    許容されていると思い、ボクは看病みたいに、すりすりと手を撫でいた。
    するといきなりボクの口にジルチさんの顔が近づいてきた。
    「んっむぅ!?」
    口を開けた瞬間舌をいれられてちゅるちゅると吸われ急な刺激に腰がくだけそうになる。さっきの手より、よっぽどすごい。ボクはなにが起こっているのかわからずそのまま終わるまで耐えていた。
    「はぁ、はぁ、…」
    息を整えながらお互い無言のまま見つめ合う。そしてもう一度キスをした。
    本来なら、なんでこんなことを?と聞くべきなんだけど、今、何も言いたくなかった。
    言葉にしたら、やめられてしまう、そんな気がしたから。やめてほしくない。このまましていてほしい。
    (たぶんこの部屋のせい、だよね…)
    頭がふわふわしてなにも考えられない。なによりこの刺激が気持ちがよすぎる。おかしくなりそうだ。酸素が足りなくなって脳が正常に動かない。
    (すき…)
    熱に浮かされて朦朧しながら、なぜかそんなことを考えてしまった。 ボクの症状は治まるどころかどんどん酷くなってもっとジルチさんをほしくなる。
    (ジルチさん、す、すき…すき…)
    思考が唾液で溶けていく。こうして求めてくれるのが嬉しくて仕方がない。今までジルチさんは仲間としてみていただけで、恋愛感情はなかったのに、ずっと恋してたんじゃないかと錯覚しそうになる。
    ふーふーと、どうにか酸素を吸って涎をごくんと飲み込み、現状を再確認する。
    「こ、これって…」
    「ーっ この部屋に充満している匂いがある。恐らくそれが原因で欲情を刺激されている」
    「よ、欲情…」
    あまり慣れない単語にぼっと顔が赤くなる。言われてみれば甘い香りがするような?ってことはジルチさんも…よ、欲情してるんだよね…ボクより辛いんだよね?…
    「あの、もっと…」
    「だめだ。許可しない。こうして殺さずにこんな部屋に閉じ込めているのは仲間割れが狙いなんだろう。それでは思うつぼだ…これ以上君を傷つけたくない」 
    既にちゅーまでしておいて!?とちょっと思っちゃったけど、たぶんジルチさんはギリギリのところで踏みとどまっているんだろう。この興奮を疼きを静めようとしているのがわかる。
    「それなら大丈夫です…嫌じゃなかったので」
    「ユーマ君…勘違いしてしまいそうになることは言わないでくれ。この部屋の影響だ。正気に戻れば後悔するだろう」
    でも本当に嫌じゃなかった。ボクはジルチさんだからキスしてもいいと思ったけど、この部屋のせいと言われたら否定できない。ジルチさんの言う通りこれは一時の感情なのかもしれない。
    「せめて手を繋いでいませんか?」
    そう言うとジルチさん目を開いて驚いた。この感情は部屋のせいだと理解した上でボクがそれでも触れたいと言ったのが意外だったんだろうか。
    「わかった。しかしさっきみたいに撫でないようにしてくれ…」
    「え?どうしてですか…?」
    「我慢できなくなるから…」
    ジルチさんは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら言ってきた。
    普段は絶対見れない恥ずかしがるジルチさんを見てしまい失礼ながら可愛い…!と思ってしまった。そしてそのまま手を繋ぐ。我慢できなくなったら何をされるんだろう…!とはしたなく思ってしまったけど、だめだめ!と自分に言い聞かせて動かさないようにする。能力共有の為に何度か繋いだことはあるけれど、やっぱりボクより大きくて男性的な手にドキドキする。ぎゅっと握りしめるとジルチさんも握り返してくれた。お互いに無言のままで手を繋いでいたけど、不思議と気まずくなく、ずっとこうしていたいような感覚になる。好きな人と一緒にいたいってよく聞くけどこうゆうことなのかな…?
    ガチャリ
    その希望が叶えられることなくドアが空いた。いつの間にか三時間経ったみたいだ。
    「空いたな…ユーマ君大丈夫か?」
    「あ、はい…ボクは大丈夫です…」
    物足りなさみたいなのはあるけど他者に触れていたからか比較的体は大丈夫だった。
    外の空気を吸って頭がクリアになってくる。
    というかボクより我慢していたジルチさんのほうがすごい。結局最初のキスだけで後はなにも手を出されなかった。
    「このことは所長達に報告するとして…中での出来事は公言しないでもらえると助かる。無理矢理してしまった立場で言えることではないが」
    「あ!いやいや!!ボクのほうから触っちゃったせいなのはわかってますから!大丈夫です」
    ボヤかされたけどちゅーしたことはボク達だけの秘密にしようということみたいだ。もしくはなかったことにしたいか。元々恋人でもないし、あぁなったのは部屋のせいだ。でもそれでも寂しい気持ちになった。ジルチさんは不本意だった。ボクとそんなことをしたくなかったのだ。そこまで考えて悶々としているとジルチさんが声をかけてきた。
    「もし正気に戻って…私としたことを君が後悔していないのなら部屋にきてくれないか」
    「え?」
    もしかしてジルチさんもこのまま終わらせたくないと思ってる?期待と安心が入り交じってなぜか泣きそうになる。
    まだ熱が抜けきっていない。今の状態じゃわからない。これが恋愛感情なのか気の迷いなのか、なんなのかまだ自分では決められなかった。それでも確かめたい。ジルチさんの気持ちも知りたい。ボクはわかりましたと返事をしてジルチさんと一緒に探偵事務所に帰った。

    「よし…」
    その日の夜ボクはホテルのジルチさんの部屋の前にいた。時間が経ってあのふわふわした感じはなくなっていた。正しい思考ができてる、と思う。嫌じゃなかったというのは嘘じゃない。緊張と不安。これは謎迷宮に入る感覚と似ていることに気付き苦笑する。これからなにが起こるかわからない。この謎は自分1人じゃ解決できそうにないな。この中にいる人と一緒に推理しよう。そう思いながら部屋をノックした。
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