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    uzu_OwO12

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    uzu_OwO12

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    逆行🍁くん×眼帯🪚くん②/アキデン
    なんか続きました。お暇があったらどうぞ。

    巻き戻しの世界で君と②デンジが入院してから数週間後、体調も回復し立って動き回れるほどになった。そして、デンジの希望もあって通院での治療に切り替え、デンジはアキの家へ帰宅することとなった。

     
    「デンジ、ポチタ、そろそろ起きろ」
    「んー」
    「わん」
    ポチタを抱きしめて寝ていたデンジが、眠そうに返事をする。ポチタは既に起きていたようだが、デンジが起きるのを待っていたようだ。
    「起きたら熱測るぞ、頭痛かったり気持ち悪かったりしてないか?」
    「んー大丈夫」
    アキは起きたデンジへ体温計を渡した。

    ピピっ
    「ん。」
    「よし、熱はないな」
    毎朝体温を測りアキに報告する。これはアキがデンジにさせているルーティーンの1つだ。

    「なーこれ毎日しなくてもよくね?おれ元気だし」
    「ダメだ。お前この前体調悪いくせに、無理して倒れかけただろうが。」
    アキに言い返されて、思い当たる節があるデンジは渋い顔をした。

    「ほら、朝飯食うぞ。今日は何ジャムにするんだ?」

    少し不機嫌になったデンジの機嫌を直すため、朝食の話に切り替えたアキの問いかけに、デンジが元気に返事をする。

    「いちご!」
    「わん!」
    ポチタもデンジに担うように元気に返事をする。
    「はいはい、いちごな。」



    公安にて

    デンジの退院後、体調面からデビルハンターとしての業務は不可能だと判断された。
    しかし、体調面や特殊な生い立ちの事から通常の福祉施設への入所は難しく、マキマの指示のもと、特例対応という名目で公安特異4課にて臨時の事務員として働くこととなった。
    そして、業務において必要ということで、今は義務教育課程の勉強をしている。

    「これは昼飯、こっちは昼用の薬と体調が悪くなった時用の薬。昼飯の時はちゃんと薬飲めよ。」
    「へーへー。わかってるわかってる。」
    アキの過保護っぷりに少し鬱陶しそうにデンジが返事をする。
    「はぁ、全く…」

    「そうだこれ、15時の休憩の時に食べるお菓子。前に気に入ったって言ってたケーキ屋のクッキー。」
    「やった!」
    「これ持たすんだからちゃんと勉強やって薬飲むんだぞ」
    「そんなん言われなくてもちゃんとやるし、ガキ扱いすんな」
    「なにいってんだ、そう言うこと言ってるうちはまだまだ子供なんだよ。ガキ。」
    「……」
    アキに言い返されて、なにも言い返せないデンジはムッとした顔でそっぽを向いてしまった。そんなデンジの姿が、ヤンチャ盛りの幼児のようで微笑ましい気持ちになりつつも、あまり言うと本格的にデンジの機嫌を損ねてしまうので心の中だけで止めるアキなのだった。
    「ポチタ、デンジが薬ちゃんと飲むように見といてくれ。」
    「ワン!」
    「それじゃあ、いってくるな」
    「へーへー、いってらっしゃい。」
    先ほどのことをまだ根に持っているのか、適当に返すデンジに見送られながら、アキは部屋を後にした。


    「ずーいぶんと過保護だね。アキくん。」
    「いや、あれくらいしないとアイツすぐぶっ倒れそうなんで。」
    「ふーん。」
    含みのある表情でアキを見つめる姫野に、アキは怪訝そうな表情を浮かべた。
    「…なんですか。」 
    「いやいや無自覚でアレか〜って思って………、こりゃ見込みないな…」
    「最後なんて言いました?」
    「なんでもな〜い。私も新しい恋見つけなきゃだねー」
    「はぁ」
    姫野の急な話の転換についていけなかったアキは困惑しながら曖昧に返事をした。そんなアキを気にする様子もなく、姫野はスタスタと先を歩いて行った。

    「そういえば、今日はデンジ君の護衛兼バディの魔人ちゃんに会いに行くんだっけ?」
    「はい。俺がいない間、デンジが危険な目にあわないようにと、アイツ自身に人を守る行動を身につけさせようと思って。」
    「…魔人が人を守る、ねぇ。確か知能が高いってことで4課に加わった、女の子の姿をした魔人だよね。なんの魔人なんだっけ?」
    「ああ、アイツは“血の魔人”ですよ。」



    数日後、マキマの執務室にて

    「おうおう!ひれ伏せ人間!ワシの名は”パワー”!!」
    「バディ兼ごえいたいしょーとやらはウヌか!?」
    声高らかに名前を名乗り、騒々しく声をかけてきた魔人にデンジは目を白黒させる。
    「パワー!?名前パワー!?つーか魔人なの!?」
    「ていうか、バディとかごえいってなに!?」
    謎の魔人が現れ、さらに知らない話をされて混乱気味にデンジが問いかける。
    「んん?なんじゃウヌ、なーんも聞いとらんのか?それじゃあこの、聡明で!美しい!パワー様が教えてやろう!」
    やたらと大きい身振り手振りをしながらパワーが話し出す。
    「まずワシはたいそう賢く優しいため人間に協力してやるのじゃ。そのためのバディじゃな。しかし!ワシと組むバディが貧弱な奴のため、貧弱じゃなくなるまで守ってやるのじゃ!そのためのごえいじゃな!どうだわかったか?」
    「わけわかんねー」
    「なっ!!こんなに丁寧に説明してやったのに分からぬじゃと!?貧弱な上にバカなのか?」
    「あ?誰がバカだって!大体、女の子に守ってもらうほど弱くねーし!!」
    「はぁ??そのひょろひょろ具合で?……ふん!ならば良い!己の貧弱さをワシが分からせてやろう!!」
    「は?…うわっ!」
    パワーのわけの分からない言い分に困惑していると、その隙をついたパワーがデンジを抱き上げる。
    その様は、いわゆる“お姫様抱っこ”というやつである。

    「降ろせっ!!クソ悪魔!!ふざけんな!!」
    自分より一回り小さい女の子に抱き上げられ、赤面しながらデンジが騒ぐ。
    それを面白がったパワーが、デンジを抱えながらくるくる回る。
    「ほれほれ〜降りれるものならおりてみろ〜」
    2人がギャーギャーと騒ぐせいで、もはやここは保育園のような有様である。

    「お前ら!いい加減にしろ!!」
    あまりの騒がしさにブチギレた、2人の監視兼保護者の早川アキの怒声が響き渡る。
    そして、アキの声でピタッと2人が静かになる。
    「はぁ…とりあえず、パワーはデンジを降ろしてやれ。」
    アキにそう言われパワーはしぶしぶデンジを降ろした。降ろされたデンジは、俊敏な猫のようにピャッとアキの後ろに逃げ込んだ。もう抱えられるのはごめんなのである。

    「デンジ、今朝話しただろう。お前の護衛兼バディとして今日は会う奴がいるって。」
    「あ?そんな話してたっけ?」
    デンジの朝はパンへ綺麗にジャムを塗り、相棒のポチタと美味しくいただくことしか頭にないため、アキの話は話半分でしか聞いていなかった。
    「はぁ、大事な話だからちゃんと聞けって言っただろう。」
    デンジの様子に呆れながら、アキが再びパワーとの件についてデンジに説明した。
    「いいか?今度はちゃんと聞けよ。」
    「へーい…「デンジ」わ、分かったってちゃんと聞きゃーいいんだろ。」
    やる気のない態度のデンジを嗜めつつアキが話し出す。
    「明日からポチタは別の任務でデンジとは一緒にいられない日ができる。お前を1人にはできないから、パワーについてもらうことになった。」
    「ポチタだけの特別な任務だろ?でもいつもじゃないじゃん。」
    「そうだとしても、お前を1人にはできないんだ。あと、これはパワーに人を守らせるための訓練でもある。そして、お前はその補助員として選ばれた。」
    「へー」
    「だから、これからパワーも一緒に住む事になるからな。」
    「えっっ!?コイツと!?」
    朝、アキの話を全く聞いていなかったデンジは驚きのままパワーを指差す。指をさされたパワーはなぜか得意げな顔をしていた。
    「はぁ…この話も朝しただろ。とにかく、これから長く一緒にいるんだ、仲良くするんだぞ。」
    デンジは少し嫌そうな様子だったが、改めて見たパワーが可愛い容姿の女の子である事を認識して「まあ可愛いし、多少のわがままは…」と何やら呟いていた。

    こうして、騒がしくも再会を果たした2人は最初こそ言い合いをしていたが、元々の相性の良さからすぐに仲良くなり、2人でくっついていることが常になった。
    そんなある日の事、いつものように迎えに行くと、デンジが何かを持って嬉しそうに駆け寄ってきた。
    「じゃーん!四年生まで終わったぜ〜!」
    デンジが持ってきたのは小学生四年生までの国語と算数のドリルだ。
    「もう終わったのか、早いな。」
    「すげぇだろ!めちゃくちゃ頑張ったんだぜ!
    …だからよ、ほら、例のアレ!」
    「ああ、アレか。」

    デンジがこんなに張り切って勉強をしたのは理由がある。それは、デンジが公安に通うようになり勉強を始めた頃、アキとある約束を交わした事が関係している。

    「え〜〜!勉強すんのぉ!?俺がぁ?」
    「そうだ。今の状態で、デビルハンターなんて無理だからな。事務仕事をするためにもある程度の教養はつけてもらう。」
    こう言っているが、そもそも最初からデビルハンターなんて危ない仕事を今はただの子供であるデンジにさせるつもりはなかった。たとえデンジが健康体であっても、なんだかんだ言って同じように学習の機会を持たせるつもりだったのだ。程よく今の状況を利用しているが、今のアキはデンジが危険に晒されるのは絶対に避けたかった。
    「ちぇ、せっかく悪魔を倒しまくってマキマさんに良いとこ見せようと思ったのに。」
    デンジはよっぽど勉強が嫌なのか、机に突っ伏して不貞腐れている。そんなデンジを見かねたアキはある提案をした。

    「デンジ、聞け。」
    「……んだよ。」
    「小学四年生、ここまで終わったら1つだけ何でも願いを聞いてやる。」
    アキの提案を聞いて、ふせっていたデンジが起き上がる。
    「…なんでも?」
    「ああ。何でも」
    「エロ本10冊買うとかでも?」
    「…お前そればっかりだな。そんなんで良いのか?」
    「え!もっと高けぇもんでも良いの!?」
    「まぁ、俺が出せる範囲なら。」
    「まじか!ふーん。いいぜ、やってやるよ!」
    アキの提案を気に入ったデンジは不純ながらもやる気を見せ始めた。
    「よし、決まりだな。ちゃんとやるんだぞ。毎日確認するからな。」
    「おう!どーんと任せてくれよ!こんなのすーぐ終わらすぜ!!」

    そういう訳で、この約束でかなりやる気が出たデンジは、元来の要領の良さも相まってかなりの速さで四年生まで終わらせたのだ。

    「で、何がいいんだ?前言ってたやつか?」
    「んーとね、違くて…ちょっと行ってみてーとこがあるんだけど、そういうのでもいい?」
    いざその時になると、何故か遠慮がちになってデンジが尋ねる。
    「ああ、そういうのでもいいぞ。」
    「やった!前テレビで見たトコでな、あの魚がいっぱいいるとこ。えっと、何だっけ…」
    「水族館か?」
    「そう!ペンギンとかアザラシとか見てぇんだ!きっとポチタみたいで可愛いんだぜ。楽しみだなポチタ!」
    「わんっ!」
    デンジが目をキラキラとさせ楽しそうに語る。

    ポチタみたい…?どちらかと言うとイッカクとかではと、頭の中でツッコミを入れつつ存外に可愛いらしいお願いをしたデンジに、アキは顔を緩ませた。

    「ちょうど今週末、3人とも休みだからそこで行くか。パワーも一緒に行く、でいいか?」
    「もちろんじゃ!何当たり前のことを聞いておる!!この可憐で美しいパワー様を置いていくなどと…」
    「はいはい、パワーもいくんだな。」
    パワーも随分と乗り気で楽しそうだった。そんな2人を見ながら、アキも前の世界のことを思い出していた。あの時は墓参りがメインで遊びに行くという感じではなかったため、アキも3人で出かけられることが嬉しかった。そして、これからたくさんこういう事ができたらいいと思うのだった。

    「ペンギン、アザラシ、イルカ全部見てぇな!楽しみだぜ!」
    「そうじゃな!全部丸々としてて美味そうじゃった!」
    「はぁ!?食うんじゃねぇよ!」
    2人がまだ行ってもいない水族館の話題で盛り上がり騒いでいる。そんな2人を微笑ましく見ながら、デンジがテレビで見た水族館を調べなければとアキは1人思った。
    こうして、週末3人で出かけることが決まったのだ。



    今日は待ちに待った水族館に行く日、しかしデンジはベッドでポチタを抱えながら浮かない顔をしていた。
    「(なんか、頭イテェ…。どうしよ、今日は出かけんのに…)」
    「くぅん」
    浮かない顔をしているデンジを心配そうにポチタが見ている。
    「どうしようポチタ。今日すげー楽しみにしてたのに、なんか頭いてぇ…朝飯食ったら治るかなぁ」
    「わぅ…」
    お互いに浮かない顔をした2人がベッドでヒソヒソと話していると、2人を起こしにアキが部屋へとやってきた。
    「デンジ、ポチタそろそろ起きて準備するぞ」
    「そ、そうだな!準備しねーと!」
    体調が悪いことをなんとか隠したいデンジは、勢いよく起き上がり不自然なほど大げさに返事をした。当然、アキがそんな様子を見逃すはずもなく不審にそうに問いかけた。
    「どうした?何かあったのか?」
    「い、いや、なんもねーよ!準備しなきゃだろ!水族館行くしっ」
    「そうだか…とりあえず準備の前に熱測るぞ」
    「(体温計っ!やべぇ…なんか体熱い気がするし、今測ったら体調悪りぃことがバレる…)」

    毎朝の体温検査を思い出し、焦るデンジは一縷の望みをかけてアキに問いかける。
    「なぁ…今日はさ、おれ元気だし熱測るのなしとか…」
    「ダメに決まってるだろ。どうしたんだ?もしかして体調悪いのか?」
    「いや!全っ然そんなことねぇ!ちょっとめんどかっただけっ」
    当然の結果であるが、自らの首を絞める結果となり更に焦ったデンジはとりあえずその場しのぎの言葉で乗り切った。
    「そうか…なら、ほら」
    「おう…」
    とりあえず受け取ったが、今測ると確実にまずいと分かってるデンジは必死に頭を巡らせた。そして、ある作戦を思いついた。
    「熱測ったらそっち行くし、アキは準備してていーよ」
    「ん?別にお前が熱測ってからでも、準備は間に合うが…」
    「いいからっ!待ってる時間がもったいねーだろ。ちゃんと熱測ってからそっち行くし」
    「まぁ、そこまで言うなら…」
    そう言って、アキは部屋を出て行った。

    「なぁポチタ、頼みてぇことがあるんだけど」
    「わぅ?」
    そう言ってデンジはポチタの脇、正確には左前足の下に体温計を挟んだ。その様子を見ていたポチタは困惑した顔でデンジを見つめる。
    「ポチタ頼む!今回だけ!どーしても水族館行きてぇんだ。」
    デンジの体調のことはだいぶ心配なポチタであったが、大概デンジに甘いのもポチタであったため、しぶしぶデンジの代わりに体温を測った。
    「よしっ!いい感じ」
    36度台の正常な結果の体温計を見て、デンジは機嫌良くアキたちのいるリビングへと向かった。その足は少しふらついている。


    「あ、やっと起きてきたか…デンジ大丈夫か?」
    「へあっ!?」
    まさか顔を合わせて早々に異変に気付かれるとは思っていなかったデンジは、思わず変な声で返事をした。
    「お前、顔色悪いぞ。やっぱり体調悪いんじゃないか?」
    「そ、そんなこたぁネエデスヨ…きのう楽しみすぎて、ちょっと寝るのが遅かったから、寝不足的な!ほら、熱出てねぇだろ!」
    ここぞとばかりに、捏造した正常値の体温計をアキにみせつける。
    「確かに熱はないみたいだが…」
    「だろ!さ、飯食お〜と!」
    そう言って飯食えば何とかなると思い込みながら食事をかき込むデンジだったが、体調が悪いのはまごうことない事実であり、無理に食事をかき込んだせいで気持ち悪さが増していく。
    「デンジ、ストップ」
    どんどん顔色が悪くなっていくデンジを見かねたアキが声をかける。
    「お前、体調悪いだろ」
    「…」
    アキの問いかけに何も答えず、デンジは黙り込んでしまった。
    「デンジ、体調が悪いならちゃんと言うように言ってるだろ。とりあえず、そんな状態で出かけるのは危ないから、今日は水族館にいくのはやめにしよう」
    「…やだ」
    「デンジ」
    「だって、せっかくじゅんびしたのに…もしかしたら、もうちょっとしたら、だいじょうぶになるかもだし…それに、」
    「ダメだ。そもそもお前の体は心臓に病を抱えてるんだ。体調が悪いときは絶対安静だし、無理して万が一にも病状が悪化したら…え、」
    「…っ、ぐすっ」
    デンジが、泣いている。まさか泣くとは思っていなかったアキは動揺して急にあたふたし始めた。
    「デ、デンジ…怒った訳じゃないんだ…ただお前が心配で…」
    「チョンマゲがデンジ泣かしよった〜」
    「パワー…」
    「お〜こわいこわい」
    アキに睨まれたパワーはニャーコを連れてどこかへいってしまった。

    「すまない、心配のあまりキツい言い方になってしまったんだ。頼むから泣き止んでくれ…」
    泣き出したデンジにどうしていいか分からないアキはぎこちなくデンジの頭を撫でている。手に伝わる体温は高い。
    「…だって、すいぞくかん…ぐすっ…せっかく、がんばったのに…」
    「そうだな、でも今日は体を休めよう。水族館は、また今度行けばいいだろ?」
    「またこんど?」
    「ああ、ちゃんと元気になってから行こう。連れてってやるから」
    「きょうだめになったのに、またいけんの?」
    「当たり前だろ」
    アキの言葉にデンジは驚いていた。なぜならデンジの今までの人生に“もう一度”なんてことはなかったからだ。失敗したらそれでお終い、それが当たり前だった。
    「部屋に戻ろう。立てるか?」
    「ん」
    ふらついてはいるがなんとか立ち上がったデンジをアキが支えながら部屋へ戻った。
    「薬とか色々持ってくるから大人しく寝とけよ」
    「うん…なぁ、ほんとにまた今度連れてってくれんの?」
    「ん?ああ、また3人とも休みの時にな。別に水族館くらいだったら、休みの日に何回でも連れてってやるよ」
    まだ信じられないように聞いてくるデンジに、少し呆れながらアキが答える。
    「そっかぁ」
    アキの返事がよっぽど嬉しかったのか、デンジはうれしそうに顔をほころばせた。


    「ふぅ」
    あの後、一通りデンジの世話をして戻ってきたアキはソファに座って一休みしていた。
    「デンジは泣きやんどったか?」
    「ああ、さっき寝たところだから起こすなよ」
    「そんなことせんわ!」
    アキの失礼な物言いにすかさずパワーが噛み付く。しかし、そんな様子から一変して心配そうな少し気落ちした様子でアキの隣に座った。
    「あやつ、あんな体で無理しよって…大丈夫なのか“前の時”よりヒョロヒョロでボロボロなんじゃぞ…」
    「発作みたいな様子は見られなかったし、多少なりとも食事はとれていた。あとは、薬を飲んで安静にしていれば大丈夫だ。念のため病院にも連絡したしな」
    アキの言葉に少しは安心した様子のパワーだったが、それでも釈然としないような表情を浮かべている。
    「……デンジのやつ、スターターロープを引いても、血を飲んでも回復しない体になったと言うのに、無理しすぎじゃ。もう不死身じゃないんじゃぞ。なぜ自分を大事にせん…だいたい…」
    「パワーはデンジが心配なんだな」
    「心配などっ!……はぁ、なぜ高貴で可憐なパワー様がデンジの心配しとるんじゃまったく」
    「今のデンジは嫌か?」
    「そんなわけなかろう!前のデンジも今のデンジもどっちもワシのバディじゃ!」
    そう言い切ったパワーだったが、その表情は段々と不安げになっていく。
    「……ただ、なんとなく今のデンジは急にいなくなってしまいそうな、そんな感じがするんじゃ。前はこんな事考えもしんかったがの…」
    パワーの感じていることは、アキにも心当たりがあった。
    普通とはかけ離れたデンジの人生は、アキの想像以上に多くのものをデンジから奪っていた。その事実が、今のデンジを“チェンソーマン”になる前のデンジを見ているとより鮮明に感じた。
    「それじゃあ、デンジがいなくならないように、ずっと一緒にいたいと思えるように、もっと構って、お前のこと大切だって思い知らせてやらないとな」
    「そうじゃな!あやつ前よりもっと鈍感じゃし。よし!では手始めにこのパワー様が看病してやろう!!」
    そう言うとパワーはドタバタとデンジの部屋へと向かっていった。
    「おいっ、行くなら静かにいけ!デンジ寝てるって言っただろ」
    デンジの部屋へ騒々しく向かうパワーに呆れながらも、こういう日々がずっと続くといいとアキは思った。
    今度こそずっと3人一緒に過ごせるようにと。




    ※しれっと書いておりますが、パワーちゃんも記憶あります。
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