黒曜石の夢魔族との出会いは最悪だった。
ダイたちに武器を創って携えてきた魔族の男をひとめ見て、心の中に沸き上がる黒い憎悪を隠すのに必死になった。
故郷は魔王軍の超竜軍団に滅ぼされた。遠征していたオーザムから文字通り飛ぶように帰還したこの目に映ったものは…。あの無惨な光景を、一生忘れる事はできないだろう。
超竜軍団を率いていたのはダイの父親だと知って、どうしたらいいのか分からなくなった。その人もダイを守るために命を落とした。灰すら残さずバーンによって焼き尽くされたという。それでもダイは苦しみと哀しみのさなか前に進んだ。
思考が止まった。
思考が止まると、思い出されるのは故郷の凄惨なあの光景だ。何度も、何度も、それは頭の中で繰り返し再生された。
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