私のかわいいトラ「昔はもっと可愛かったのになー。逢坂くんもそう思わない?」
壮五の目の前にいる女はそう言いながらほとんど水になってしまっているサワーを煽った。
壮五は彼女の目線を追いかける。その先にいるのは女優を横に侍らせている虎於だった。
「確かにもう少し大人しかったかもしれませんね」
「そうなの!手繋ぐのにも何日もかかってさー」
酔っ払っている彼女は机に体重を預けながらくだをまいている。すっかり酒の回った彼女は遠巻きにされて、2人は広い宴会場で孤立していた。
その状況でも多少の理性は残っているのか声量は大きくなく、向かいにいる壮五にだけ届く程度に抑えられていたから壮五は彼女の話を遮ることはしなかった。
「ほんとに初々しくて可愛かったの!16歳の御堂虎於!」
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