閉園時間にはまだ早い仕事終わりに新幹線に飛び乗った。目指すは大阪。念の為にと事前に渡されたチケットもしっかり財布の中に入っている。
少しくらい予習をしようと思ったけれど、疲労のせいで先にホテルで待っている恋人にメッセージを送った途端に眠気に負けてしまった。
新大阪で降りて、親切な看板に沿って目的地へ向かう。もう夜も遅いと言うのに同じ目的地へ向かう家族連れやカップルがいた。みんな浮き足立っているようだ。僕も明日、彼らに混ざっているのだろうかと思えば足取りが軽くなる。
頭に耳をつけたままだったり、ポップコーンをぶら下げたままだったり、疲れた様子ではあるけれど、楽しそうな人たちが改札に入れ違いで吸い込まれていく。指定されたホテル。部屋は最上階。二部屋ある内の片方の部屋の前で電話をすると、彼がそれに出る前に扉が開いた。
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