とりあえずやってみる500年前炎神フレンズテノッチがポテチの袋を開ける。
袋は裂け、中身は全て床に散った。
床に落ちたポテチを眺めて、呆然と立ち尽くす。
(テノッチがそばに居るサンハジに目をやると、サンハジはテノッチの失態を鑑賞しながら、袋のギザギザを切って開封したポテチを食べている)
「テノッチ、何やってんだ。あたしが開けてやる」
ここはいつの間にか『ポテチの袋上手く開けられるか選手権』会場になったようだ。テーブルに積み上がったポテチ(誰だこんなにポテチ買い込んだ奴)のひと袋をガサツに掴み、ワンジルは渾身の力で思いっきり横に引っ張った。
爆発でも起こったかのように、ポテチは勢いよく飛散した。そして自由を手に入れたポテチたちは悲惨な結末を辿ることとなった……ポテチたちは壁やサンハジとテノッチの顔面にぶつかり、一瞬で人生…いや、ポテチ生を終えたようだ。ポテチだったものは無惨にも粉々になり、原型を留めているものはほぼいなかった。
「ふう、あたしの負けだね。覚悟はできているかい?トゥパック」
今しがた帰ってきたところをワンジルに呼び掛けられ、トゥパックは怪訝な顔をした。辺りを見て何となく状況を理解する。
「いや俺はやるまでもないだろ」
マーヴィカが帰ってきた。
「炎神様、このポテチを開封していただけないでしょうか」ワンジルが言う。
良いだろう、と快く承諾したマーヴィカは、ポテチの袋をウキウキワクワクしながら持つ。
炎神が開けたポテチは、飛散した同胞達と同じ運命を辿った。
ブルキナとメネリクが帰ってきた。
ブルキナは思った。なんか知らんが、テノッチ、ワンジル、マーヴィカがこちらを見ている、と。
(奥にいる巨人は大きなお皿をテーブルに用意していて、暗くて無口な大祭司はモソモソ何かを食べている)
ブルキナは部屋の床や壁を見て状況を確認し、呆れて箒を持った。
「こっち見てねーで、はよ掃除しろ」
メネリクが箒を持ってひと暴れしたが、それはまた別のお話。
メネリクの相棒の忠実なンゴウボウはポテチの袋でガサガサ音を立てて遊び、ブルキナの相棒コンガマトーはメネリクが皿に盛ったポテチを嬉しそうに食べた。
スンジャタが帰ってきた頃には皆仲良くテーブルでポテチを囲んで酒を飲み、何故かサンハジは羽冠以外脱がされていた。おしまい。