ダンクーガモンハンパロ 簡単な依頼のはずだった。頼まれた分の薬草と草食獣の角を数本持ち帰るだけ。後は拠点まで戻れば達成だった。
それが、どういう訳か目の前で赤い巨体が唸り声を上げている。
「ちくしょう…! なんで、こんなところに…!」
火竜リオレウス。本来ならば、こんな森の奥地にまで来るはずはない。縄張り争いに負けたか、獲物を追って迷い込んだか——こちらを睨みつけ姿勢を低くする相手を前に、考えている余裕は無かった。
「やるしかねぇ……かかって来やがれ!」
忍は叫びながら二対の剣を抜いた。鈍い光が森に差し込む陽光に混ざる。
それと同時に、リオレウスも咆哮した。ビリビリと空気が震え、体内で生成される炎が周囲の温度を上げる。忍の額に汗が滲んだ。
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