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    海袖 萌(みそで もえ)

    DCMK 快新(広義)メイン、時々降新あるかも?
    ちょっとえっちならくがきと、タイツに投げてたサルベージ予定のないネタメモを置いています。

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    POIPOI 12

    大学生快新
    付き合い始めてわりとすぐやらかす話
    はっとりとかあかいさんが出てきます

    #快新
    fastNew

    escapeescape

    飛行機の自席で、工藤は頭を抱えている。なんて恥ずかしいことをオレはしていたんだろう。後悔と羞恥心と寂しさが混じり合って頭から湯気が出そうだ。そもそも両想いになったのだと思ったこと自体勘違いだったようで。アイツ、オレのこと好きって言ってなかったっけ…言ってたよな…でも友愛だったのかな。キスは?キスもしたけど?!…ああ、ダメだ、オレが恥ずかしくて酒入ってる時にしちまったんだ。酔った勢いの可能性が出てきてしまった。
    …などと、はっとした顔をして笑顔になったかと思えば俯いて頭を振っている。百面相とはこういう時に使うのだろうか、と、工藤の横の席に座っている老人は思った。
    工藤としては、付き合ってるしキスもしたから次はえっち!どっちがどうとかまだわかんねぇけど0距離でくっつきたい!!オレだって男だしオレから誘ってみせる!!という思惑があって、最近黒羽に対して積極的に話しかけに行っていた。ボディタッチも頑張った。なのに黒羽は話していても距離があるし、肩にくっついても気付くと離れているし、横並びに座って話しながら太ももに手を置いてみてもコーヒー淹れてくるわと席立ってしまう。
    なんでかな、と工藤は大いに悩んだ。露骨すぎたかな、もしかしてそういう関係持ちたくないのかな、清いままがいいとか。有り得る。怪盗キッドは白のままでいて欲しいのはオレの解釈的にもあってる。いやでもアイツ今は黒羽快斗だし。…そうは言っても工藤自身は欲しくなってしまったのだ。せめてそういうことについてきちんとお互いの気持ちを伝えあうべきだ、相談すべきだ、そう思っていたある日。大学構内を歩いていると、女の子と話してる黒羽を見つけた。肩をくっつけて内緒話をして2人で笑っている。オレにはしてくれないのに、なんで…とお腹の奥がぎゅうっと苦しくなった、そのとき、ふとある可能性が工藤の頭の中に浮かび上がってきた。もしかしてオレ勘違いしてた?!付き合えてるって思い込んでた?!だからくっつかれたら気持ち悪いって離れてた?!
    …この時工藤は探偵として誤った判断をする。冷静な彼ならば、「付き合っているかどうかの判断」について、調査をし、証拠を集め、ありとあらゆる視点から、たったひとつの真実を導き出せたはずだ。しかし工藤はそれどころではなかった。自分の行動が恥ずかしくて恥ずかしくて、居ても立っても居られなくなり、即飛行機のチケット取り搭乗待ちの間にアメリカに帰国していた赤井に連絡入れて、彼の住むアメリカに逃亡したのだった。

    朝から工藤を見ていないことに気づいた黒羽が工藤に連絡を入れたのは昼食の頃だった。だがメッセージがそもそも受信されない。電源を落としているようだ。また何か事件に巻き込まれてやしないか。心配していると食堂に服部がやってきた。「服部!」声をかけると彼はギョッとした顔をして、眉間に皺を寄せてやってきた。「オマエなぁ、工藤に何したんや」「え?オレ?ちょい待って、工藤来てないことにオレが関係してんの?」「ハァ?…さっき宮野のねーちゃんから連絡あったんや、工藤書き置き残して消えたらしいで」「は??!!」「なんや喧嘩したんとちゃうんか」「してない!書き置き…なんて書かれてたんだ?」「『旅に出ます、無事なので警察には連絡しないように。帰国したらちゃんと検診受けます』だけ」「んなこと書いても志保ちゃんには怒られるだろ工藤…!つか志保ちゃんなんでオレに連絡してくんないの!」「オマエが原因やと思おたからやろ。安牌でオレに知らせてきたっちゅー具合やろな。で、宮野のねーちゃんがあちこち連絡してくれてな、アイツアメリカ行ったらしいで」「アメリカ??!!」「FBIの赤井っちゅー人んとこに行ってんねやて。まだ到着はしてないらしいけどな」「えええまじで何で急に…」「赤井さん曰くめっちゃ落ち込んだ声で電話かけてきたらしいで。だからオマエと喧嘩したんかと思って」いよいよ原因が自分の可能性が高くなり、黒羽はここ数日の出来事を思い出そうと頭を捻った。「いや、何もしてないんだけどな…強いて言えばアイツ最近パーソナルスペース崩壊してんのかすげ一距離近くてもうオレ襲っちゃいそうだったから距離置いて…おい……て…」
    てーん、と頭の中のライトが光を灯した。
    「それやな」「ーーーー?!そゆこと?!工藤から?!オレに?!?!嘘でしよ!!」
    なんということだ。大事な大事な恋人を性的な未熟さで傷つけたくないと思って取った距離が、その恋人の心を傷つけてしまっていたらしい。むしろそういうことをしたいと望んであの距離に来てくれていたのだ、鳩と花びらを大量に舞わせたいくらい喜ばしいことなのに自分の行いで鳩も花びらも待機のままだ。
    「あんなあ工藤かて男なんやからそういうことしたいって思うやろ…はよ迎えに行ってこいや」
    「そんなすぐ行けるとこじゃねーんだけど?!」
    「ところでオマエらどっちがどっちなん」「それはノンデリだし今関係ねぇ〜!!!」
    今赤井は本部に在籍しているらしいので、工藤の向かった先はワシントンDCである。詳細の住所をメモして慌てて飛行機のチケットを検索する。値段に眩暈を覚えつつ、大慌てで大学を後にした。

    星空の中を飛行機は悠然と飛んでいる。隣ですここと眠る老人を尻目に、工藤は一睡も出来ないでいた。女の子と話してた黒羽を思い出す。あの時と同じくお腹の奥がぎゅうっとなる。オレもああやってくっつきたかった。胸の奥も針で刺されたような痛みがして苦しくて毛布を抱きしめる。女の子とならえっちすんのかな、どうやって抱くのかな。考えても苦しいだけなのに、何度も何度も思い返してしまう。そしてふと、黒羽が抱く女の子と自分を入れ替えて妄想していることに気付いた。あれ、オレ、抱かれてぇの…?男なのに?顔が強く赤くなる感覚がした。思考の中で黒羽に組み敷かれる自分がいる。マジシャンの美しい指先が、自分の腹部を撫でていく。少しだけ調べた、アナルを使うことは知っている。そこに黒羽のそれが入ってからだを強く揺すられるのだ。先程まで苦しかったお腹の奥が熱を持つ。慌てて毛布で誤魔化したが、自身のそれが力を持ち始めていることに気付いて工藤は焦った。しかし、それも一瞬で落ち着くことになる。(でももう、抱かれることはない。)付き合ってもないのだから、と思うと熱は消え、また奥底は痛みを持つ。ため息をついて工藤は飛行機の天井をぼうっと眺めた。

    工藤がワシントンDCに到着した頃、ようやく飛行機に乗ることが出来た黒羽は自責の念にかられ頭を抱えていた。
    オレのバカバカバカお互い初めてだし男同士だしオレ的には抱く側になりたいから工藤に意思確認しなくちゃだけど、もしかしたら清い関係が良いかもしれないって日和っちゃってたし、近付かれるたびにムラムラしてたけど無理矢理なんて傷つけるから絶対ダメだしゆっくりゆっくりって思ってたら工藤のサイン全部見逃してんのバカすぎるだろもー!人心掌握してなんぼのマジシャンが恋人の気持ちも汲み取れないなんて…
    などと頭をぽかぽか叩いてはわしっと掴んでため息をつく。何かあったのかなと隣の席のサラリーマンは心配そうに黒羽を見た。
    ぐんぐんと地上が離れていくのを眺めながら、先程の服部の失言について考えを巡らせた。
    工藤はどっちがいいのかな…抱きたいって言ったら結局逃げちゃわないかな、待て待て、これまでのあいつの行動振り返ろうぜ、何をして欲しそうだったか考えろ…!もう既に失敗した身である。せめて挽回したい。黒羽は工藤の距離がぐっと近くなった日から昨日までの記憶に思いを馳せる。可愛い。オレの恋人、可愛い。よくよく考えたらすごく触ってくれてたしくっついてくれてた。なんて勿体無いことをしていたんだ、オレは…。後悔が滲む。
    つーか許してくれるのかな…うわぁ急に不安になってきた、だって逃亡先アメリカって。しかも両親のとこじゃなくてFBI!もしかしてセックスのお誘いも気付かんような同級生じゃ話になんねぇから大人の男に…?黒羽は青ざめた。はわわ、と情けない声が漏れる。ひ、飛行機早く飛んでくれーーーーー!!!!!!
    そんなことを思ったところで飛行機は決まった速度で空へと駆け上がっていく。


    飛行機の時間も移動時間も黒羽の願望通り早く、とはいかなかったがなんとか目的地に辿り着いた。ごくり、と唾を飲み込んだ。チャイムを押そうとした瞬間、扉が開き、中から目つきの悪い長身の男が出てきた。赤井秀一、その人だ。突然のことで驚いた黒羽は扉から飛び退いた。「驚かせてすまない、坊やは今眠っていてね。チャイムで起こすといけないと思って気配を感じたからこちらから開けさせてもらった」「あ、…いえ、その…ご迷惑おかけしてすみません…」「いや」赤井は扉を開けたまま入り口横の壁にもたれかかった。煙草を一本取り出し、火をつける。黒羽はそれを訝しげに見ている。「しょげてアメリカまで飛んできた坊やの為だ、君だけが悪いわけではないとわかってはいるが、念のため勝負しておこうか」「…はい?」「まぁ建前は『傷つけるような奴に坊やは任せられんよ』かな」ピリッとした殺意を感じる。「ルールは簡単だ、オレを抜いて扉の中に入れれば君の勝ちだ。建前は言ったが本音としてはまぁ痴話喧嘩くらいよくある話だからちゃんと話し合いなさい、だからな。ただこれを越えられないような奴には坊やのような難事件は任せられないのも本音のひとつだ」
    緑の瞳がきらりとこちらを見据える。彼はスナイパーでジークンドーの使い手だと工藤から聞いたことがある。動く目標に対しても正確な射撃が可能、ということは動体視力がいいということだ。そしてジークンドー。かなり動きが速い武術。
    (相性悪…)
    だがここで引き下がるわけにはいかない。「わかりました、やります」「いい返事だ。では3で開始だ」
    足を肩幅まで開く。「one,」
    姿勢を前傾にして構える。「two,」
    手のひらに煙幕ボールを3つ出す!
    ボウン、と煙が廊下と部屋の玄関付近に充満する。とは言えあまり意味がないことは黒羽も承知だ。彼は気配で位置を判断出来るタイプだろう。その通り、と言わんばかりに煙の中から黒羽に向かって手が伸びてきた、のを後ろに避けて、そのまま玄関に背を向けて離れる形で反対側の壁を走って登り、天井ギリギリでバク宙をして扉側に体をねじ込む。廊下の天井に水平になるように赤井を越えて、扉の上部分を掴んで体を滑り込ませた。煙が晴れる。黒羽の体は…部屋の中に収まっていた。「ふ、君の勝ちだな」「…手抜きました?」「どうかな…?」殺気は消えている。腑に落ちないが試験には合格したらしい。「さて、今の騒ぎで人が来るな…うまいこと言いくるめておく。そのまま仕事に行くから君は坊やが起きたら話し合いなさい。帰ってくるからそれまではふたりともここにいること」「あ、ありがとうございます」「一応言っておくが人の家でセックスはしてくれるなよ?」「しませんよ!」はは、と笑い声がして扉が閉まった。「工藤の周りの大人、食えない人が多すぎる…」黒羽は大きくため息をついた。

    部屋の中を見渡すと扉がいくつかあって、奥の部屋だけきちんと扉が閉まっている。寝室のようだ。少し緊張しながら奥へと進むと、その寝室の扉がいきなり開いた。「赤井さん、なんかすげー音してたけどなんの音……」工藤が部屋から出てきた。チャイムの方が起こさなかったのでは、と思うほどの大きな爆音がしたのだ、起きてきて当然である。そこまで計算に入れてたのかはわからないが、ふたりきりになった瞬間彼は起きてきたのだ。「なんでオメーがここに…!」言い終わる前に黒羽に抱きつかれて工藤は言葉を失う。なんで。付き合ってないんじゃねーのかよ、なんで抱きしめるんだよ。なんでこんな、アメリカまで来てんだよ。言いたいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。「やっと会えたぁ…!」嬉しそうなその声に、工藤は自分の勘違いを悟った。

    お互いの誤解を解いて、どちらがどちらをするか決めたところでもう工藤は黒羽にべったりだった。相当寂しい思いをさせてしまったらしい、と黒羽も反省している為離れることも出来ないが、赤井から人の家でするなよ、と言われている為がばりと襲いかかることも出来ず、自身がギチギチに張りつめて痛くても、ぐっと我慢するしかなかった。抱き合う形で座っている為工藤にもそれが当たっているが、工藤は「何もしてこねーってことは赤井さんにここではするなって言われたんだろ?」とくつくつと笑っている。笑ってゆれる髪や吐息が黒羽をくすぐってくる。なんでこんな愛おしい生き物から、傷つけたくないとは言え距離を置くことが出来たのか自分でもよくわからない。キスくらいなら怒られないかな、と口を近付けると、工藤は恥ずかしそうに、けれど今度は酒の力など借りぬと言わんばかりに唇を尖らせた。唇が重なりかけた、そのとき、玄関の鍵が開く音がして咄嗟に2人は離れた。「…ぜってぇカメラ仕込まれてた…」「たまたまだろ…」苦笑いをする2人を見て帰宅した赤井は無事仲直りしたことに笑みを溢した。
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    飛行機の自席で、工藤は頭を抱えている。なんて恥ずかしいことをオレはしていたんだろう。後悔と羞恥心と寂しさが混じり合って頭から湯気が出そうだ。そもそも両想いになったのだと思ったこと自体勘違いだったようで。アイツ、オレのこと好きって言ってなかったっけ…言ってたよな…でも友愛だったのかな。キスは?キスもしたけど?!…ああ、ダメだ、オレが恥ずかしくて酒入ってる時にしちまったんだ。酔った勢いの可能性が出てきてしまった。
    …などと、はっとした顔をして笑顔になったかと思えば俯いて頭を振っている。百面相とはこういう時に使うのだろうか、と、工藤の横の席に座っている老人は思った。
    工藤としては、付き合ってるしキスもしたから次はえっち!どっちがどうとかまだわかんねぇけど0距離でくっつきたい!!オレだって男だしオレから誘ってみせる!!という思惑があって、最近黒羽に対して積極的に話しかけに行っていた。ボディタッチも頑張った。なのに黒羽は話していても距離があるし、肩にくっついても気付くと離れているし、横並びに座って話しながら太ももに手を置いてみてもコーヒー淹れてくるわと席立ってしまう。
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    海袖 萌(みそで もえ)

    DOODLE大学生快新

    タイツでメモがてら書いたものを加筆修正しました。小説と言えるほどまとまりのある文体ではなくネタメモ感覚です。①〜③まであります。
    君との恋路の歩き方③初夜編奢るからと工藤は言って、服部を大学構内のカフェに呼び出して、どう思う、なんて言うから今朝新聞に載っていた密室殺人の件かと思ったら「黒羽ってオレとセックスしたいって思うのかな」とか言い出すから、服部はよーし帰るかぁと立ち上がるが、工藤に腕を掴まれたため、大きくため息をついて椅子に座り直し、スマホを取り出して一本メッセを飛ばして工藤に向き合う。
    「あんなぁ、そう言う話は当人とせえや。オレが知るわけあらへんやろ」「『え、そんな気ないんだけど…工藤はしたいのか?』とか言って引かれたら終わるだろ!聞けるか!」「恋人なんやから大丈夫やって…しかし工藤は事件より恋に生きるんやな…」おーさみし!と大袈裟に騒ぐ服部に工藤は「新聞に載ってた密室殺人なら朝イチに高木刑事と現場行って解決してきた」と、さらっと返す。「オレを連れてかんかい!」「オメー1限必修だったろ」「くそ…!」アイスコーヒーを飲み干した服部はもう一度ため息をついて工藤に問う。
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