転生武田家〜馬場信春との出会い「——それでですね、この提案で進めると予算が30万ほどかかりまして……はい、はい……」
戦国時代に名を馳せた武将たちが転生した世界にて、一人の武将が労働に勤しんでいた。その名は『内藤昌豊』。彼は新米のコンサルタントとしてこの世界の常識と社会人経験を積んでいる。
「……承知しました。今週中に契約書を作成しますので……はい……本日はありがとうございました。失礼します」
時刻は13時を過ぎ、昼休憩にしようと席を立つ。キッチンの冷凍庫にある冷蔵庫からパスタを取り出して電子レンジで4分半待ってから食べ始めた。
「ふぅ……この生活にもだいぶ慣れてきたかな。最初はひとりぼっちで戸惑ったけど、まさか取引先が相模の獅子が社長の会社だとは思わなかったよ。僕以外にも転生した武将がいたなんてね。ところで、御館様や信春たちは一体どこにいるんだろう。ずっと探しているけど見つからないんだよね。少なくとも僕の会社にはいなかったし、街中探してもいない。もしかしてこの世界にはいないのかも……」
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