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    kyou_t0506

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    kyou_t0506

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    イヌ武、年齢操作(逆転)オメガバース

    【運命の番】
    イヌピー(10)後にα診断
    武道(25)Ω

    落ち着け、青少年!レンタルショップの仕事を終えて、そのまま家へは帰らず幼馴染の佐野真一郎が経営するバイクショップへ向かった。頼まれていた新作映画のDVDに空きが出たからだ。俺たちの職場はそんなに離れていなくて、ものの数十分も歩けば店前にバイクが並んだ店舗が見えた。同い年なのにちゃんと店を持って、凄いなぁと感心させられる。本人は「毎月赤字なんだ、凄くねぇよ」とは言うけれども俺からすれば好きな仕事に就けて、楽しく仕事が出来るなんて羨ましい限りだ。
    「こんにちは、真一郎くんいますか?」
    「おー、武道じゃん」
    店に入ってすぐにある椅子に座り、タバコを吸っている綺麗な男の人が声を掛けて来た。
    「ワカくん、こんにちは」
    今牛若狭、彼も俺の幼馴染だ。相変わらずのイケメン。
    真一郎くんといい、なんで俺の周りってこんなかっこいい【α】ばかりなのだろう。
    「あれ?ワカくん、この間禁煙するって言ってなかったっけ?」
    「六時間後には吸ってた」
    「もー…。
    出来もしない禁煙宣言やめなよ、真一郎くんは奥?」
    「あぁ、やんちゃ坊主が遊びに来て相手してるよ」
    やんちゃ坊主?マイキーくんかな?真一郎くんの弟の万次郎くんを思い浮かべながら店内に入ればバイクを整備している真一郎くんの傍に男の子が座っていた。
    マイキーくんじゃない?
    「真一郎くん」
    「おっ、武道じゃん!いらっしゃい!」
    真一郎くんは手を止めると満面の笑みで声を掛け、立ち上がった。中断された作業にその手元を見ていた男の子もこちらを振り向いた。

    すん。

    そんな、鼻を啜る様な音がしたかと思った途端。
    身体がぎゅうっと締め付けられた。
    「うぇ?!」
    「は?」
    締め付けられた、のでは無くて抱き着かれたのが正しい。先程まで、真剣に真一郎くんの作業を見つめていた男の子が何故か俺の腰に抱き着いてきたのだ。
    「青宗、離れろ」
    真一郎くんの言葉も虚しく、しがみつく男の子は「やだ」と一言言葉を漏らして首を振った。
    更にぎゅっと抱き着く腕に力が篭もり「ぐぇ」とカエルが潰れたような声が漏れる。子供とは思えない馬鹿力だ。一体何がどうなってんの?
    「あのな、そいつ弱弱だから。青宗の力で壊れちまう」
    「よぇーの?」
    僅かに腕が緩み顔を上げてこちらを見つめてくる。歳の頃はおそらく小学高学年くらいか、お人形さんみたいに綺麗な男の子だった。そんな子が真一郎くんのお店に出入りするなんて。若かりし頃、真一郎くんは黒龍という族の総長を務めていた。そのせいもあって未だに真一郎くんを慕って来るお客もその筋の人が多く、中身はいい人たちなんだけど外見強面の人も少なくは無い。
    そんな中に何故かこんな男の子。
    「真一郎くん、まさか」
    「変な誤解やめてね、俺マジで泣くし。俺こう見えて一途」
    いや、キラキラと漆黒の瞳を輝かせてこちらを見ないで。そんな真一郎くんの眼差しを無視して、俺は腰を下ろすとしがみついてきた男の子と目線を合わせた。
    「あー、まぁ…俺は弱いかな」
    真一郎くんも強くは無かったけど、俺はもっと弱い。なんたって、Ωだし。
    「だったら、俺が守ってやる」
    「君さ、小学生でしょ?子供は大人に守られてたらいいと思うよ」
    「だって、お前」
    首筋に鼻を寄せられてすんすんと匂いを嗅がれる。仕事上がりで汗臭いだろうに、だ。
    「ちょ、えっと…青宗くん?」
    項を守るチョーカーをしているとはいえ、あまりそこに顔を寄せられるのはいい気がしない。相手が子供だとしてもだ。腕に力を込めて引き離そうとした時だった。
    かぷ、とチョーカーの上から首筋に噛み付かれた。
    噛み付かれたのは項ではなく首筋だし、甘噛み程度だと言うのに何故か腰が砕け、この場に尻もちをつく。
    「青宗ー?!」
    「こいつ、俺のだもん」
    慌てて真一郎くんに青宗くんは引っペがされて離れてくれたけれど俺はしばらく立ち上がることが出来なかった。
    もしかして、青宗くん…α?



    ◇◇◇




    そんなことがあって、俺はあまり真一郎くんのお店に行かなくなった。
    青宗くんと顔を合わせ辛いというか、あの日の夜に何故か周期が狂って軽いヒートのような症状が出てしまったのだ。高学年と思ったけれどまだ小学四年生らしい。二次性確定診断検査は中学に上がる前にされるからまだ正確には分からないけれど多分、きっと彼はαだ。
    「花垣くーん、お客さんです」
    同僚の長谷川さんの声がして急いで手に持っているディスクを片付け、受付カウンターに向かう。しかし、そこで待ち構えていたお客さんの姿を目にした俺は息を飲んだ。
    「花垣」
    君ね、ひとまわり以上年の離れたお兄さんを呼び捨てか。まぁ、良いけど。というか、誰から聞いたのかな?ここの場所。
    「青宗くん、どうしたの」
    「花垣が真一郎くんのお店に来ないから、どうしたのかなと思って」
    そりゃぁ…君が居るからとは言えず、とりあえず仕事が忙しいとだけ言っておく。そういえば、青宗くんはホッとしたように口元を弛めた。
    「そっか…俺、嫌われたのかと思った」
    きゅん、と胸が高鳴る。笑うと年相応に可愛いし。あっ、決してそういう趣味はありません。俺一人っ子だし、弟ってこんなのかなと思っただけです。
    「仕事、何時に終わる?」
    「え?」
    「一緒に帰る」
    駄目か?とばかりに小首を傾げてエプロンをクイされて、駄目って言える輩はいるか?!居ねぇよ。
    「あと、一時間…待てる?」
    「待つ」
    テキパキと仕事をこなして、何時もは長谷川さんの小言を聴きながらの作業なのに今日は何も言われず定時に上がることが出来た。
    それでも長谷川さんの口から帰る前に「あの子、毎日来ないかしら」とボソリと漏らされた言葉を俺は聴き逃してない。
    「真一郎くん所に行くの?」
    俺の手をしっかり握って、先を歩く青宗くんに自然と着いて歩くようになる。方向は真一郎くんのお店方向だけれども、青宗くんは首を振った。
    「いや、俺ん家に」
    「青宗くんの?何で」
    「俺のマブに紹介する」
    「まぶ、…お友達か」
    「俺のマブも良い奴だ、花垣もきっと気に入る」
    小学生のお友達を紹介されてもなぁ。
    それでもぎゅうっと握られた手が絶対離すものかと物語っている。逃げる事も出来ず、青宗くんのペースで歩いているといきなりグンと手を引かれ先を歩いていた青宗くんの姿が消えた。
    …のではなく転んだのだ、それはもうド派手に。
    「ちょっ!だっ、大丈夫?青宗くん」
    「痛ぇ」
    短パンから除く膝小僧が両方とも擦りむいて出血してしまっている。それを慣れたように服の裾でゴシゴシ乱暴に擦るもんだから俺も「ぎゃぁ!」と、悲鳴を上げた。
    「ちょ、駄目!バイ菌入っちゃうから!ほら、おんぶしてあげるから家の方向教えて」
    「おんぶとか、女かよ」
    「怪我人と言いなさい。ほら、大人に子供は甘えていいんだよ」
    腰を落として、ポンと肩を叩けば青宗くんは頬を仄かに染めて背に回って乗っかってきた。
    うん、子供はこうでなくっちゃ。と、そんな甘い考えは最初だけだった。そう、忘れていた。俺はこの子になるべく会わないように警戒していたじゃないかと。
    初めはアッチ、コッチと青宗くんは家の方を指示してくれていなのだけど気がつけば項に鼻を擦り付けられていることに気づいた。
    「青宗くん、右、左どっち?」
    「…みぎ…」
    どこかウットリとした様子で告げられる言葉に思わず緊張に喉を鳴らす。大丈夫か?
    ぺろ。
    だ、い、じょ、う、ぶ、じゃ、ねーなっ!!!
    チョーカーの上から、青宗くんは俺の項を舐め始めた。
    「青宗くん、どっち!」
    肩から伸びた腕が左方向を指す。ぺろぺろと項を舐められながら、漸く辿り着いた家のインターフォンを俺は力一杯に押した。
    「はーい」
    中から女の子の声がして、玄関が開く。青宗くんのお姉さんと分かるくらいの可愛らしい女の子がでてきた。
    「ごめんください、この子のお家で合ってますでしょうか」
    背を向けて女の子に青宗くんを見せる。そんな最中も青宗くんは俺の項を舐めるのを辞めてくれない。いい加減にしてよ、俺の襟元は涎でベチョベチョなんだけど。
    「青宗」
    「赤音…?」
    「そう、足怪我したの?手当するから降りなよ」
    怪我は確かに一番大事だけどぺろぺろの事はスルーなんね、お姉さん。
    「やだ」
    カブ、と噛み付かれた。
    「ひっ!」
    チョーカーの上からだし、未発達の歯で噛み付かれたくらいではどうってことは無いけれど応えるものは応える。
    「お兄さん、Ωなんですか?」
    「ん?バースの事、良く知ってるね」
    「この間授業で教わったばかりだから。青宗、まだ調べてないんだけどこの調子だとαなのかなぁ」
    こんな子供でもフェロモン感じ取ったりするもんなのか?俺、ちゃんと薬飲んで管理してるんだけどなぁ。
    「青宗、鼻が利くから何か感じるものがあるのかも」
    犬ですかね?
    「赤音…」
    「なに?」
    「コイツ、…おっきくなったらお嫁さんにする」
    「んんっ!俺はお嫁さんが欲しいんだけどな!」
    「花垣は雌だから、無理だ。俺の嫁」
    「一度決めたら聞かなくて、ごめんなさいね?諦めて、お嫁さんになってあげて」
    にこにこと笑顔絶やさず言われるお姉さん。
    「いや、ホント!この子、早く引き取ってくださいよ」
    あと俺とこの子、いくつ離れてると思ってんの!
    絶対、無理です!







    六年後。

    αとして本格的に目覚めた青宗くんが実は運命だと気付いたのは彼が精通した頃だった。一気にαのフェロモンが開花して、俺はそれに充てられちょっとした事件になりかけた。運が良かったのはそれが真一郎くんのお店で起こり、周りに抑えてくれる人が沢山居たから。
    それからの青宗くんは容赦なく俺を番にしたがったんだけどとりあえず高校は出ないと駄目だと(大人の威厳醸し出し)言い聞かせて逃れているのだけれども。
    「あ、あの、近い…近すぎ」
    「武道は俺の運命だろ。1ミリとて離れたくねぇ」
    「その、フェロモンもう少し抑え…」
    「俺の匂いで閉じ込めたいだけだ、気にするな」
    「いや、もうホント勘弁して」
    「いいな、その困った顔…すげぇ…クる…」
    「ひーっ!落ち着け!青少年!」

    前途は多難である。
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