ホ医薫零進捗② もうすぐ日付けも変わりそうな時間帯、羽鳥と佐倉山を乗せたスポーツカーは、夜の国道を静かに走っている。
車内にさり気なく散らしたフレグランスの香り。重厚なレザーシート。そしてブルーに光るパーツライトが、落ち着いた空間を作り上げていた。助手席に座る零は、膝に手を置いてリラックスした様子で窓の外を眺めている。
(今日……いける感じじゃない?)
そんな落ち着いた車内で、薫の心は逸って仕方がなかった。先ほど頬に触れられた指先の熱が、まだクリアに残っている。久しぶりなのだ。零に触れたい。抑え込んでいた熱い感情が揺さぶられる。家に着いたら、どうしてやろうか。この男はいつもベッドに行く前にシャワーを浴びたいと言う。その前に、彼の細く引き締まった腰に触れて、抱き寄せて、キスをしよう。それから――
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