蛇の瞳を見ると石になる。「だから俺はああするしか無かったんだ…」
「ああ、そうだな」
「裏切るつもりなんて本当になかったんだ。だけどああしないと俺は石神にとっくに殺されてた…!」
「そうだな、あんたが無事で良かったよ」
項垂れて誰に向けてなのかもわからない言い訳を面面並べ立てる男を否定する事もなく、ただ肯定してやる。
ヤケになった様子でグッと酒を煽る男の空いたグラスにブランデーを足してやれば、男は青宗へ縋るような目を向けた。
「俺を、殺しに来たのかと思ったのに、どうしてあんたは…乾さんは、そんなに優しいんだ」
「だってあんたから話を聞いてみなきゃわからねぇからな」
そう言って青宗は微笑した。
その笑みはまるで全てを赦し受け入れてくれるような慈愛に満ちたもののように見えた。
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