ご要望ふたつ「らーめん屋」
かすれた柔らかい声で漣が呟いた。自分の胸に頬を乗せて、むにむにとこすりつけている。眠たいのかと思って反対側の頬を指でくすぐると、こちらを見上げてニッと笑った。
上機嫌だ。やっと機嫌が治った……というよりは、元気が出たらしい。色々とご機嫌取りをした甲斐があった。
今日はタケルが地方のお仕事でお泊りだから寂しかったのだろう。何をやっていても張り合いのなさそうな顔をしていた。本人は寂しいなんて絶対に言わないけれども。
かく言う自分もタケルがいないのは寂しい。忙しいらしくLINKのメッセージもなかなか返ってこないし。
そんなわけで二人で寂しさを分け合っていた。……というところでもある。
「満足したか? 今日はもう寝るか?」
1674