野宿のときの「わざわざこんなところに入り込む必要があるか?」
「ある! なんにもわかってないなぁ、レッドは」
「ああん? いったいどんな理屈があるのか説明してもらいたいもんだぜ。お前の気まぐれには――」
「ボクの話じゃなくてレッドの話。レッドは、レッドのことちゃんとわかってないなぁって思うんだよね」
振り返って肩越しに、レッドの顔を見上げる。もう辺りは暗いし体勢のせいでよく見えない。ていうか、目、合いそうになったのに逸らされた。
そのくせちゃっかり両手はボクの肩の上に置いてあるんだからしょうがないなぁ。めんどくさそうに文句は言うけど膝の上からボクをどかそうとしないもんね。
「だってさ、アジトでは寝るときいつもボクを抱いて寝るじゃん」
「だ……人聞きが悪いことを言うな」
「周り誰もいないよ。レプリも人も、メカニロイドもね。じゃなきゃ落ち着いて野宿もできないよ。そもそもホントのことだし」
「今は交代でスリープモードに入るだけじゃないか」
「そ。最初はレッドからね。でも短いスリープモードでもいつもと同じ状況にした方が回復効率がいいでしょ。つまりボクはレッドのためにいつも通りの環境を整えてあげてるってワケ」
「それはまた……」
苦笑いの混じったため息みたいは返事。でも言い返せないって感じは、図星ってことだろう。
「ふふん。ぐうの音も出ないでしょ」
「……そうやって台無しになるようなことを言わなきゃな」
「ねえ、ボクがスリープモードに入るときもこの体勢のままだよ。いいね?」
「ハイハイ。わかったよ」
そう返事をしてからすぐに、肩に置かれてたレッドの腕がすっとお腹の方に落ちてきた。さり気なく、ぎゅっと後ろに引き寄せられる。ちょっと体重がかかってて重い。