なんでもないとき「ぐっ」
なんか潰されたみたいな声出してた。らあしくないっていうか、わざとらしいっていうか。
「……オイ、アクセル」
「んー?」
せっかくいい感じのベッドにうつ伏せに寝てたのに、レッドがグイグイ押してくるからゴロンと転がって仰向けにされた。天井のライトが眩しい。仰向けって気分じゃないんだよな。レッドの手がどっか行ったから、逆向きに転がって元に戻る。
レッドのお腹の上。レッドとボクの身体がちょうど十字になるように寝てる。最初にベッドの上に居たのはレッドの方だから、ボクはベッドに対して正しくない方向で寝てるわけだ。そうすると大きいベッドだけど足ははみ出る。足がぶらんぶらんって、宙に浮いてるのがちょうどいい。
「重い、どけ」
「レッドは戦闘用でしょ? ボクなんかの体重で重いって、あるわけないじゃん」
「いくら戦闘用でも助走つけて飛び込んで来られちゃ、悲鳴の一つも上げたくなる」
「まあまあ、いーじゃん。二人っきり、久しぶりなんだもん。なんならお詫びにボクに好きなことしていーよ」
うつ伏せになったまま、ちらっとレッドの顔を見上げる。なんだかんだ優しいから、ボクが言い張ってたら払い除けたりしない。
レッドの手がまたスッと伸びてきて、ボクの顎の下をくすぐった。
「あは。あはは! くすぐるのはダメ!」
「好きなことしていいんだろ」
「ボクが嫌がること以外!」
「笑っている……ってことは、嫌がっちゃいないな」
「あははっ。ダメだってば! ボクの皮膚センサーは繊細なんだから!」
「ああ知ってるぜ。こいつがよく効くもんな」
「ヤダヤダ。あははは!」