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    masasi9991

    @masasi9991

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    おみやげを買ってきたデググラ

    ##デググラ

    うっかりのおみやげ 今日のおみやげ。片手に下げた袋の口から、真っ白い湯気が立ち上っている。湯気はほかほかで、袋を握っているおれの手もじんわりとあたたまる。夕暮れの寒さの中で、それはとてもわくわくするあたたかさだった。それにおいしそうな匂いも漂っている。
     わくわくの足取りで家に帰るところだった。これが冷めてしまわないうちに早くお家に帰らなければ! いつもより遠回りになってしまったので、慌てて速歩きだ。しかしわくわくでもあるし、急ぎすぎて袋を振り回しちゃいけない。中身は大切なものだ。
     わくわくしながら慎重に、速歩きで、なかなか難しいが……しかし家に帰ってこれをみんなで食べることを考えると、ちっとも苦にはならない。
     そんなこんなで気がつくと、もう見慣れた我が家の前だった。玄関が開いて、ちょうどグランツが出てきた。
    「おおい」
     呼ぶとグランツがパッと顔を上げてこっちを見た。おれはいつものように片手を上げて大きく振ろうと思ったが、今日はおみやげを持っていたことをぎりぎりのところで思い出す。こっちを上げようとしたりもう一方を上げようとしたり、一人で手こずっているとグランツがケラケラと笑ってくれた。
    「おかえり」
     とグランツが駆け寄ってくる。しかしおれももうお家に着いた。二人で玄関の前だ。
    「ただいま戻りました。グランツは今からお出かけか?」
    「いいや。キミの帰りが遅いなと思って、迎えに行くところだったんだ」
    「あっそれは……ご心配をおかけして申し訳ない。実は帰り道で迷子になってしまいまして」
    「このビレッジの中でか?」
    「うーん、ついうっかり。新しいお店を求めて歩いていると、新しい発見がなかなかたくさん……」
    「あはははは。長年住んでるビレッジにも、まだそんな場所があったんだな! 今度はおれも一緒に連れて行ってくれよ」
    「もちろんだとも!」
     グランツがおれの手をぎゅっと握って家の中へと引っ張る。いつものあったかいグランツの手だが、しかしそのぎゅっに詰まった感触に、非常に激しくちょっとだけ切なくなった。ずいぶん、心配をかけてしまったなと。あとで埋め合わせをしなくては。ともかく今は、お返しに力を込めてぎゅっと握り返す。
     すると玄関に入って振り返ったグランツは、うれしそうなニコニコ顔だった。笑顔だ。グランツの笑顔、とてもいい。ジーンとくる。
    「デグダス、靴を脱がないと家に上がれないぜ」
    「うむうむ。しかし今、両手がふさがっていてどうしたものかと考えているところなんだ」
    「ふはっ、はははっ。おれが脱がせてやろうか?」
    「それはとてもありがたい! ……いやしかし」
     そうしてもらうにしても、一旦この手を離さなければならないと思うととてももったいないような。そもそももう片方の手がふさがっているのはどうしてだったか?
     あ! 買ってきたおみやげのことを言うのを忘れていた! このほかほかのおいしそうな出来たてのおみやげを! せっかく新しいお店を見つけたというのに!
     なんだかグランツの笑顔を見ていると色々細かいことが吹っ飛んでいってしまうな。ぎゅっと握りあった手を見つめつつ、しみじみと考えた。
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