Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐟
    POIPOI 363

    masasi9991

    ☆quiet follow

    何かと戦っている土蜘蛛さんと大ガマさん

    ##妖怪ウォッチ

     蛙の脚なら、一飛びだ。快晴! 雲のない空! 跳ね上がり上昇する。皮膚の焦げるような陽光の熱、息詰まる酸素の淀みを飛び越え、風、風、風、空を横切る風を切り、薄まる熱、大気、まだ俗世の天井に並ぶ程度の、高さ。青黒く光る高層ビルの窓ガラス、最上階、ひと目を避けて打っ遣られた屋上の、砂埃の積もった片隅に社があるのを見つけた。
     脚は緩んで、その隣へ降り立った。裸足の爪の先が灰色の砂埃に浸かる。コンナところに隠れていたのか。舞い上がる砂埃。ビル風の一つで社は今にも崩れ落ちそうだ。人の子供ほどの背の高さもない社の屋根が、カタンと傾いた。爪先に絡んだ砂埃が、泥のようにぬるくなる。
     脚が汚れちまう。ビルの屋上を踵で蹴って、跳ねた。コンクリートの床は水面のように素直に波打ってくれた。水面だ、足先を水で洗って、跳ねる。何しろオレは蛙だから、身体のどこもかしこも濡れているのだ。
     濡れた足の指で糸を掴む。空からゆったりと垂れている。何んにもない青空から白く輝く透明な糸が垂れている。どこに繋がっている? どこにも繋がっていない。だけどそれは垂れている。蜘蛛の糸だから、垂れているのだ。
     糸を掴んでもっと跳ねる。強い風が吹き荒れている。長く結んだ髷が頭の後ろで大いに空を泳いでいる。だが平気だ。糸を掴んでりゃ間違いない。でもま、そいつはオレの、蛙の足だからできることで。
     追っ掛けてきてる不届き者には、どうかな。
     高い空の下でそいつを振り返った。遥か眼下に人の世の街並みがある。こうして見ると、砂埃とおんなじで灰色にまごついている。そこから湧き出た魑魅も似たようなものだ。
     しかしオレの後で蜘蛛の糸に掴まっているのはいただけない。
    「ここは大ガマ様の道だぜ」
     糸から足の指を離し、下に追っ掛けてくるそれに向かって頭をグルングルン回し、狙いを付けた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍💞🐸💞
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works