題名が思いつきません監督生ーーユウがオーバーブロットした。
アフターケアの意を込め、また女が男子校にあるボロ家に住んでいるという危険すぎる状況をどうにかする為、彼女にはきちんとした家が必要だった。雨風が凌げて、化け物も不埒な輩も出なくて、暖かく出迎えてくれる家が。
優しく愛を注げる存在が。
選ばれたのは、リリア・ヴァンルージュであった。
両手で持てるほどの大きさの鞄を放った。ディアソムニアの空き部屋などという暗さしかない場所はオンボロ寮を彷彿とさせ、なんだか落ち着く。ユウはそのまま床に倒れ込んだ。疲れている。
学園外での活動が、しかも自分の大好きな演劇が、こうも自分を苦しめてオーバーブロットにまで発展したなんて考えたくなかった。人を殺しかけたなんて思い出したくなかった。でも今日からは自由だ。もう男のふりなんかせずに済む。その代わり何があっても女だからと言われるかもしれない。
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