茶屋の青年、○○盃を交わす「待ち人があんたを待ってるから、くれぐれも遅れちゃあいけないよ」
「…へっ?」
茶屋のホールスタッフの仕事上がりに、フェンジェン村の青年クンジンは出入口で突然茶屋のオーナーでもあり、拳法の師でもあるマダム・ボーに呼び止められた。従兄のクンラオへの何かしらの伝言を頼まれるのだろうかと思いきや、夜中の指定した時間にクンジンにこの茶屋に来て欲しい人間がいるそうなので時間通りに来いという。予想外素っ頓狂な声が出てしまった。夜中?そんな時間に呼び出す人間は誰だ?ぐるぐると思考を巡らせても、朝からフルタイムで働き疲労した脳では思い当たる人物は浮かんでこない。名前や特徴を聞き出そうとしてもはぐらかされて、結局わからずじまいに終わった。さらに、茶屋を出ようとしたら何故か背中に張り手まで喰らい、クンジンは思わず前のめりに転びそうになったがなんとか堪えた。
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