I would like extra syrup please 他人と接するのが苦手というわけではないんだよな、と和らぐ表情を見ながらスミスは思う。思っていたよりも乾いていた喉に冷えたカフェラテが美味かった。
初デート――だとスミスは認識している――に訪れた大型のショッピングモールにて、最初の希望を上げたのは意外にもイサミの方だった。
「靴を新しくしたいんだ」
言われて、スミスは無意識にイサミの足元へと視線を落とす。服に合わせたのだろう白地に黒のラインが入った靴は服と違って下ろしたばかりではないが、普段あまり見ない靴だ。傷も汚れも少ない。
「普段用じゃなくて、仕事用の」
「ああ」
そう言われてみれば、確かに仕事用にしているスニーカーは随分とボロボロになっていたことを思い出し、そんな細かなことまで記憶している自分にスミスは苦笑する。我ながら観察しすぎだな、とは思うものの、イサミのことは見ずにいられないのだから仕方がない。
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