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    ほ。こ

    若様が大好き。若様を執拗に追いかけ回し粘着しまくるロが好き。ロ→→→→→ドフすきすき。同じ話を書く。

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    ほ。こ

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    短い話
    若様は他人の機微に敏感なのでこんなことにはならない!(怒)けど、泣くロちゃんかわちなので見たかった

    #ロドフ
    rodov.

    すれ違うロドフ いるだろうな、と思っていたので、ローが目の前に現れても、特別驚きはなかった。おれたちの再会はこんな夜なのか、とドフラミンゴはぼんやり考える。しんしんと降り積もる雪の日。毛を逆立てそうな勢いでこちらを睨み付けてくるトラファルガー・ローをみて、奇妙な懐かしさが湧いていた。見る限り健康そうな……少なくとも痩せ細っていたり薄汚れているということもなく、もちろんその顔に、白い痣も見られない。怒り心頭といった様子のローがずんずんと近付いてきて、ドフラミンゴの胸倉を掴んでくる。一目で記憶があると分かった。そして今も、自分を憎んでいるのだろうことも。
    「ドフラミンゴ」
    呼ばれて、「あァ」と短く返す。ドフラミンゴに記憶がないなどとは微塵も考えていないからこそこんな暴挙に出ているのだろうが、あまりに前時代的なローの言動にドフラミンゴはつい笑ってしまった。それが癪に障ったのか、横っ面を殴られる。相変わらずのへろへろパンチに、やはり笑いを誘われた。それは更にローの怒りを増大させてしまったようだ。夜とはいえ人通りがないわけでなく、ドフラミンゴは暴れるローの首根っこを掴んでタクシーに押し込んだ。
    運転手の迷惑そうな視線をルームミラー越しに受けながら、仕方なく自宅の住所を告げる。
    「てめェ、聞いてんのか」
    移動の最中、ずっと何事かを捲し立てていたローが声を鋭くした。構え構えと騒ぐ猫のようにも思えてくる。ほとんど聞いていなかったが、「聞いてるよ」と返事をして、窓の外、飛ぶように降る雪を眺めた。

     
     怒りが性欲と結び付くのは、理解できなくもない感覚だ。支配欲や征服欲を満たし、同時に相手を貶めることもできる実に安易な行為である。自分がその対象になるとは思いもよらなかったが、ドフラミンゴはそれを受け入れることにした。殴り倒してさっさと追い出しても良かったし、社会的に抹殺することだってしようと思えば出来たけれど、まぁいいか、と思った。そんなわけで、体が空いていて、更には気分が向けば、ローの復讐ごっこに付き合うことしたのだった。
    最初──特に一回目は酷かった──は乱暴だった行為も、回数を重ねる内に段々マシになってきて、数ヶ月が経った頃には気遣いらしきものを見せるようになり、頻度も減っている。満足したのか、それとも黙ってされるがままのドフラミンゴに面白味を感じなくなったのかは知らないが、ローが飽きたのなら結構なことだと思っていた。近頃は家に来るたび酒やつまみを差し入れたり、ただドフラミンゴをじっと見ていたりする。ローが本当はどういう人間なのかを、ドフラミンゴは知らない。前世、ファミリーに置いていた二年半は狂気に染まっていて──そこを気に入ったのだが──十三年後に本懐とやらを果たしに来たローは、ドフラミンゴからすれば、期待外れの目をしていた。正気に戻った、とでもいうべきか。そうであるなら、今はどんな目をしているのだろう、とふと思う。
    向かいのソファーに座った筈のローがいないことにその時気付いて、ふと横に首を回せば目当ての男は隣にいた。
    「いつもいつもぼうっとしやがって」
    という声が聞こえて、また何かを喋っていたらしいと知る。それには答えずに、ドフラミンゴは今世においては初めて、ローをよくよく観察してみた。幼い頃の印象が強く、顎髭を生やしている指名手配書を目にした時同様、かすかな違和感を覚える。右腕として育てようと思っていた子供の末路に、落胆したことを思い出す。この平和な世の中で、復讐を胸に生きるのはさぞ根気のいることだろうなと感心さえしていたというのに、瞬いた金の瞳には怒りも憎しみも浮かんでいないように見えた。数秒視線を交わせて、ドフラミンゴは首を捻った。
    「今日もやらねェのか?用がないならもう帰れ。明日も仕事なんだ」
    「何だその言い方……おれは別に、やりに来てるんじゃねェよ」
    傷付いたような顔をしてローが言う。その表情の変化にも驚くが、それよりも発言の内容に引っ掛かりを覚える。
    「あ?じゃあ何しに来てるんだ?」
    「何って」と鸚鵡返しをしたローは、信じられないという目でドフラミンゴを見た。
    「一緒に居たいと思ったら駄目なのかよ?お前にとっておれは何だ?」
    質問の意味が分からず混乱を深めるドフラミンゴを凝視すると、ローはみるみるうちに顔を赤くして、肩も声も震わせて怒りを露わにさせた。
    「ふざけるな、どういうつもりで… 今までっ……
    なんでおれを受け入れたんだ、」
    「なんでって、そうすりゃお前の気が治るかと思ったからさ。おれのことが憎くて仕方ねェんだろ?それに付き合ったまでの話だ…もう気は済んだか?」
    尋ねると、ほんの一瞬前まで赤かったローの顔からどんどん血の気が失せていくのが分かった。顔面蒼白といったその顔色に思わず大丈夫か、と声を掛けようとしたところで、突然ローは立ち上がり、そのまま家を飛び出して行った。

     何にあんなに狼狽えたのだろう。改まってローのことを考えても、ドフラミンゴにはさっぱり分からない。当然復讐をしに来ているものと思っていたが、違ったのだろうか。それとも自覚がなかったのか。既に一週間音沙汰はなく、何はともあれ終わったらしい。よくよく考えてみれば、馬鹿らしい話だと今更ながら思う。前世は前世でしかなく、現世を生きるドフラミンゴに、過去の罪を清算する必要など最初からなかったというのに。
    終業後、久しぶりに部下たちと飲みに出掛けて、ハメを外し過ぎてしまった。気心の知れた仲間に囲まれていながら、もしかしたら、どこかでは許されたいと思っていたのかも知れない、とそんな考えが浮かぶ。下らないことを考えたくなくて、酒のペースは早まった。珍しく饒舌なドフラミンゴに部下たちは少々驚いたようだが、嬉しそうにしていた。タクシーで家に帰り着くと、ポーチの前に見慣れた男が座り込んでいて、楽しかった気持ちが萎んでいくのを感じる。無視しようかとも思ったが、前回のローの傷付いた顔が脳裏を過り、ドフラミンゴは仕方なく足を止めた。
    「今度はなんだ。何をしに来た?」
    「話をしに」
    静かに答えたローを見下ろす。ドフラミンゴは、ローが本当はどういう人間なのかを知らない。別に今更知りたいとも思えなかったが、ローが対話を望んでいるようなので受け入れることにした。リビングに通すと、ローは大人しくソファーに座って、長い間、膝の辺りを睨んでいた。沈黙に飽き飽きして、シャワーを浴びたいなとぼんやり思ったその時、重々しい声が「復讐なんかじゃねェ」と呻くように言う。
    「へェ。なら、アレはなんだったんだ?」
    「……昔のことは昔のことだ。別に今更言うことはない。ただおれは、お前が、」
    話し声は尻窄みに小さくなっていき、最後の方は聞き取れなかった。早くシャワーを浴びて眠りたい。ボソボソとはっきりしないことを喋っているローに、つい「あ?」と苛立った声が出てしまうのも無理はなかった。俯いていたローが顔を上げる。唇を噛んで、首まで赤く染めながら、ドフラミンゴを睨み付けてくる。
    「お前が!好きだからだよ!」
    ソファーを叩く鈍い音の方へ視線をやると、力み過ぎた拳はすっかり色を無くしていた。
    「復讐なんかで男とやる訳ねェだろ!?今までおれがどんな気持ちでいたと思ってんだ、馬鹿にするな!」
    泣きそうな顔でローが言い募る。怒りながら泣くなんて器用なもんだと、つい現実逃避をしたくなる。あまりの勢いと剣幕に押されて、ドフラミンゴは掛ける言葉を見つけられなかった。黙っていると、苛立った様子で立ち上がったローが「何とか言えよ!」とドフラミンゴを責める。何を言えというのか。どうしたら正解だったのか。
    「……じゃあ、おれはどうすりゃよかったんだ」

    心からの問いかけに、ローの瞳が一瞬揺らいだ。水の膜が膨らみ、今にも零れ落ちそうになった涙を隠すように顔を俯けたローが、力ない声で「嫌だったなら、殴ってやめさせればよかったんだ」と呟く。生気を無くしたようなその様子からは傷心が伺えた。先程の言葉が真実だとして、確かに、好いた相手に復讐故の強姦だとずっと勘違いされていたと知ったら、まあショックだろうな、とドフラミンゴも思う。立場的には自分の方が被害者と言えるが、ローの方がよほど傷付いているのは一目瞭然だった。
    「なるほどな」
    得心して頷くと、鼻を啜ったローが、「順序を間違えたのは謝る」と太々しく言った。
    「フフ… 知ってるか?〝謝る〟って言葉だけじゃ謝ったことにはならねェんだぜ、ロー」
    「悪かった……お前が好きだから会いにきてた。最初…無理矢理やったことも…反省してる……何も聞かれないから、お前も同じ気持ちなのかと思ってたんだ」
    「フ、フフッ、そりゃめでてェ話だな」
    「……怒ってないのか」
    「別に怒っちゃいないさ。寧ろ面白ェなと思ってる。色々と……」
    高校卒業と同時に実家を離れて、一度も帰省していないことをこんなタイミングで思い出す。両親と弟から時折くる連絡も、当たり障りのない返事で躱していた。相手が何を考えているのかなんて、聞いてみなければ分からない。そんな当たり前のことを、今になって気付かされるなんて。おかしくて笑うと、テーブルの向こうにいるローが脱力したような溜息を吐いた。
    「そうか。お前、おれのことが好きだったのか」
    「だから……そう言ってるだろ…」
    悔しそうにしながら、それでも律儀に肯定するローを見やる。頬を赤くする様は子供のようだった。会っていきなり押し倒して、やることをやった癖に。意外な程純粋な一面を知れば、なんだか可愛らしく思えてくるから不思議だった。

    「まァ…取り敢えず、一発殴らせろ。それでチャラにしてやるよ」

    言うと、ビクリと肩を震わせて、しかしローは覚悟を決めたように頷いた。








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    ほ。こ

    DONE短い話
    若様は他人の機微に敏感なのでこんなことにはならない!(怒)けど、泣くロちゃんかわちなので見たかった
    すれ違うロドフ いるだろうな、と思っていたので、ローが目の前に現れても、特別驚きはなかった。おれたちの再会はこんな夜なのか、とドフラミンゴはぼんやり考える。しんしんと降り積もる雪の日。毛を逆立てそうな勢いでこちらを睨み付けてくるトラファルガー・ローをみて、奇妙な懐かしさが湧いていた。見る限り健康そうな……少なくとも痩せ細っていたり薄汚れているということもなく、もちろんその顔に、白い痣も見られない。怒り心頭といった様子のローがずんずんと近付いてきて、ドフラミンゴの胸倉を掴んでくる。一目で記憶があると分かった。そして今も、自分を憎んでいるのだろうことも。
    「ドフラミンゴ」
    呼ばれて、「あァ」と短く返す。ドフラミンゴに記憶がないなどとは微塵も考えていないからこそこんな暴挙に出ているのだろうが、あまりに前時代的なローの言動にドフラミンゴはつい笑ってしまった。それが癪に障ったのか、横っ面を殴られる。相変わらずのへろへろパンチに、やはり笑いを誘われた。それは更にローの怒りを増大させてしまったようだ。夜とはいえ人通りがないわけでなく、ドフラミンゴは暴れるローの首根っこを掴んでタクシーに押し込んだ。
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    ほ。こ

    DONE短いはなし
    百回やって恋人になるロドフ 何気なく手が触れて、咄嗟に引いた瞬間、笑われた気配がした。きっと他の人間であれば何とも思わなかったであろう一瞬の接触。大袈裟に引いた手、その反応を揶揄うように薄く浮かぶ笑みを、食い入るように見詰めてしまった。
    男は、「顔が赤いぞ?根を詰め過ぎるのは良くないな」と優しげな口調で言った。低い声で弾ませるように笑って、「少し休憩したらどうだ?」と勧められるまま、──まだ準備運動の途中、そんなタイミングだったにも関わらず──頷いていた。男を見かけたのは四度目で、名前も知らない。それでもおれは、男のあとを着いて更衣室へ戻り、着替えを済ませていた。
    そんな始まり方だった。

     怒涛の如く色々なことが起きて、正直何がなんだか分からない。分かることは、その男と寝たこと。日頃の不眠が祟り一瞬気を緩めた間に、男はさっさと帰ってしまったこと。これだけだ。名前も連絡先も知らないが、またジムに行けば会えるものと思っていて、もともと週に二回ほどだったジム通いは、翌日からルーティーンとなった。しかし男は一向に現れない。利用時間を変えた可能性を考えて仕事前に顔を出してみても空振りに終わり、ニヶ月が経つ。もしかしたらもう退会したのかも知れない。連日のジム通いのおかげで代謝は良くなり、食欲もいくらか増した。運動による効果で本来ならば寝付きだって良くなる筈が、──不眠症が原因でジム通いを始めた───結局、男のことが気になってしっかりと眠れないでいる。職場の同僚たちにも心配されているし、トレーナーにも注意を受けた。軽く走ったらすぐに帰ろう。そして今日で終わりにする。もうここには来ない。そう決めたその日、男はごく普通にそこにいて、おれに気付くとなんの気負いもなくひらりと手を上げた。てめぇどこに行ってやがった、あれはなんだったんだ、どういうつもりだ、なんで急にこなくなった、たくさんの文句が頭の中を駆け巡ったが、どれも言葉にはならない。凝視して固まったおれを不審に思ったのか、男はランニングマシンを止めると、ゆったりとこちらへ向かってきた。
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    「ドフラミンゴ」
    呼ばれて、「あァ」と短く返す。ドフラミンゴに記憶がないなどとは微塵も考えていないからこそこんな暴挙に出ているのだろうが、あまりに前時代的なローの言動にドフラミンゴはつい笑ってしまった。それが癪に障ったのか、横っ面を殴られる。相変わらずのへろへろパンチに、やはり笑いを誘われた。それは更にローの怒りを増大させてしまったようだ。夜とはいえ人通りがないわけでなく、ドフラミンゴは暴れるローの首根っこを掴んでタクシーに押し込んだ。
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    ほ。こ

    DONE短いはなし
    百回やって恋人になるロドフ 何気なく手が触れて、咄嗟に引いた瞬間、笑われた気配がした。きっと他の人間であれば何とも思わなかったであろう一瞬の接触。大袈裟に引いた手、その反応を揶揄うように薄く浮かぶ笑みを、食い入るように見詰めてしまった。
    男は、「顔が赤いぞ?根を詰め過ぎるのは良くないな」と優しげな口調で言った。低い声で弾ませるように笑って、「少し休憩したらどうだ?」と勧められるまま、──まだ準備運動の途中、そんなタイミングだったにも関わらず──頷いていた。男を見かけたのは四度目で、名前も知らない。それでもおれは、男のあとを着いて更衣室へ戻り、着替えを済ませていた。
    そんな始まり方だった。

     怒涛の如く色々なことが起きて、正直何がなんだか分からない。分かることは、その男と寝たこと。日頃の不眠が祟り一瞬気を緩めた間に、男はさっさと帰ってしまったこと。これだけだ。名前も連絡先も知らないが、またジムに行けば会えるものと思っていて、もともと週に二回ほどだったジム通いは、翌日からルーティーンとなった。しかし男は一向に現れない。利用時間を変えた可能性を考えて仕事前に顔を出してみても空振りに終わり、ニヶ月が経つ。もしかしたらもう退会したのかも知れない。連日のジム通いのおかげで代謝は良くなり、食欲もいくらか増した。運動による効果で本来ならば寝付きだって良くなる筈が、──不眠症が原因でジム通いを始めた───結局、男のことが気になってしっかりと眠れないでいる。職場の同僚たちにも心配されているし、トレーナーにも注意を受けた。軽く走ったらすぐに帰ろう。そして今日で終わりにする。もうここには来ない。そう決めたその日、男はごく普通にそこにいて、おれに気付くとなんの気負いもなくひらりと手を上げた。てめぇどこに行ってやがった、あれはなんだったんだ、どういうつもりだ、なんで急にこなくなった、たくさんの文句が頭の中を駆け巡ったが、どれも言葉にはならない。凝視して固まったおれを不審に思ったのか、男はランニングマシンを止めると、ゆったりとこちらへ向かってきた。
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