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    shira_an_ishi

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    shira_an_ishi

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    9月3日 グミの日

    雛鳥 「すっっっっっ…!」
     口を開けてください、と言ったら素直に開けたので口に放り込んだ。警戒心無さすぎじゃないか?まぁこれは対自分だけなんだなと思うと優越感に浸れる。悪くは無い。
     「どうですか?」
     「劇薬を入れられたのかと思いました」
     「はは、でも舐め続けてみろよ。甘くなってくるぞ」
     ハインラインはノイマンの助言に口をもごもごさせ口の中の物を味わっている。眉間に寄ってたシワが徐々に消え、緊張が解けているのがわかる。
     「ほんとうだ」
     でしょ?と得意げにはにかみ、ノイマンは自分の口にひとつ放り込んだ。
     「最初の強烈な酸っぱさがいいんだよ。刺激が癖になる」
     「…僕は刺激はいらない」
     どうやらお気に召さなかったようだこのお人には。酸っぱさのコーティングが取れた後は気に入ってるのだろう。不満を言いながらももごもごと味を楽しんでるように見える。オーブで人気の菓子を久しぶりに食べたくなって買ったが、プラントには存在しないと言うのでおすそ分けをした。ノイマンも最初に食べた時は驚いたものだ。酸っぱすぎて食べられないと思ったが、舐め続けると甘いグミに変わる。これは面白い、と癖になり一時期はハマったものだ。
     そうだ、と悪戯心が沸いたノイマンは、二個目を口にしようとはしないハインラインの顔を両手で挟みこんだ。突飛な行動を起こしたノイマンに抗議の声をあげるべく口を開いた瞬間に唇を押し付けた。ぬるりと舌を滑り込ませ、甘いそれをハインラインの舌に乗せてやる。ノイマンがやりたかったことを理解したのかそれを受け入れ、ノイマンの舌に自身の舌を擦り付けようとしたところでノイマンは離れる。別にキスがしたかった訳では無いのだ。中途半端に終わった口付けに名残惜しそうな顔をしているハインラインの二つの青とかち合う。
     「あまい」
     「甘くしたのをいれましたから」
     「…もう一個ください」
     口を僅かに開け、もう一個、とねだってくる。なんだそれ、なんだそれ!卑怯だろ。かわいすぎる。眉を八の字にし、雛鳥のように口を開けて待っている。なんて庇護欲が掻き立てられるのか。たまらない。だが、
     「甘えんな!」
     ぽかんと口を開けたままのハインラインにデコピンをかます。うぅ、なんて呻き声をあげておでこをさすっている。きっとその白い額は手加減無しのノイマンのデコピンで赤くなってることだろう。痛みで潤んだ宝石のような青が睨めつけてくるが気にしないふりをする。この30歳の雛鳥には良い教育だろう。俺はそんなに甘くない、と教えなければ。絆されてやらないぞ。
     
     その後、アーノルドアーノルドと言いながらノイマンの後ろを雛のようについて行くハインラインが目撃されたとか。
     
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