だめだコイツ早くなんとかしないと ほんの、軽い気持ちだった。
「おお友よ、よく来たな。今日はどうした?」
「何かあった訳じゃないんだがな、あんたが好きそうな装備を見つけたんで見せにきた」
デスクごしに顔を合わせ、ミラージュプリズムを切り替えると怜悧な目が興奮で見開かれた。
「!!おお……これは、なんと……!イイ!実にイイぞ!お前の素晴らしい肉体美を余すところなく引き出しているな!もっと近くで見せてくれ!」
「ちょ、近い近い近い」
立ち上がり異様に高いテンションで詰め寄るオルシュファンの勢いに押され後ずさる。そのまま部屋の隅まで追い詰められ、両側の壁についた手で完全に囲われてしまった。
「ハァーッ、ハァーッ、もう逃げられんぞ。観念するのだな!……さぁもっと見せてくれ!そして触らせてくれ!」
「ヒッ……いい加減にしろこの変態!」
「ヘブッ」
吐息がかかる距離で凝視する開き切った瞳孔に恐怖を感じ、つい手が出てしまった。振り上げた右手が肉の薄い頬に吸い込まれ、スパーンといい音を立てる。
(あ、やっちまった)
「わ、悪い……つい咄嗟に手が」
ジンジンと痺れる手の平にはっと我に返った。いくら身の危険を感じたとはいえ相手は無二の盟友だ。暴力はよくない。赤くなった頬に手を当てて俯くおろおろと話しかけると、ふるふると小刻みにその体が震えた。
「フフ、フフフ……イイ……!実にイイ平手打ちだ!ムチのようだったぞ!!しかし咄嗟のことで見逃してしまうとは、私としたことがッ!友よ頼む、もう一度ぶってくれ!次はその全てを目に焼き付ける」
「あっだめだ全然怯んでない。コランティオー!コランティオー!!」
澄んだ目でトチ狂ったことを言い出した盟友にこいつはお手上げだと応援に副官を呼んだのだった。