虚像に捧ぐ 3カキツバタが親戚に連れられ帰省してから、三日が経った。
最初は煩いヤツが居なくなって揶揄われることも無くなって、清々してた。勉強の邪魔もされず、いちいちちょっかいも出されず、とにかく苛立つことが減って平和になったと。なんなら俺とねーちゃん達の心の健康の為に暫く帰って来なければいいとさえ思っていた。
ただ、三日もすれば流石にちょっと味気ないというか、落ち着かなくなってくる。なんだかんだいつも部室で座っていたアイツが見えないと、まるでいつもと違う場所に居るみたいで。
なんとなく誰も使わずに空けているあのうざい先輩の定位置を見遣ると、ハルトがニヤニヤしながら寄ってきた。
「スグリ〜、ツバっさん早く戻って来て欲しいね?」
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