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    miutam614

    @miutam614

    あんスタ ジュンひよで二次創作しています。
    ここでは作業進捗用またはおさまりきらなかったオタク妄想用です。節操のない残像のようなもの。

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    miutam614

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    ポッキーの日ということで、楽屋でポッキーゲームをするジュンひよ

    #ジュンひよ
    juneSun

    11月11日「凪砂くん、今日はなんの日か知ってる?」
     『Eden様』と書かれた紙が貼られた楽屋で、相変わらずの大きな声で日和は凪砂に訊ねる。
    「今日…は11月11日…は一年で最も記念日が多い日となっているから…難しいな…」
    「もう!凪砂くん!そういう事じゃないね!
    きみに問うのだから、きみがハッピーになる事をぼくは訊ねるね♪」
    「殿下…たくさんあげすぎないでくださいね」
    「もう!茨は鋭いね!ほら見て見て」
     楽屋の机の上には沢山のお菓子の箱が。
    「ふふ、この番組のスポンサーらしいんだね♡だからいっぱいあったんだね♪凪砂くん一緒に食べよう」
    「すごくたくさんあるね…」
    「これは、ビターで、これは限定のだね。あ!凄いこんな立派なものもあるね♪」

     日和と凪砂は仲睦まじく色々なポッキーを食べている。ジュンは近くのソファに座って、スマホゲームのルーティンをしていた。
     楽屋の中が甘いチョコレートの匂いでいっぱいになる。ジュンも少し欲しくなってきた。
    「おひいさん」
    「なあにジュンくん」
    「オレにもなにか適当にください」
     そこのイチゴのやつとか。
     日和は少し考えて、ぺろっと舌を出した。
    「なっっ」
    「あはは!…残念ながら、今ぼくからジュンくんにあげれるのはないね」
    「はあ?」
    「食べたいなら自分で食べればいいね♪あ、凪砂くんこれ食べた?すごくおいしいね。あーん」
     むかむかむか。
     ジュンは目を閉じる。
     これしきの事でイライラしてもしょうがない。
     ジュンはポッキーを食べる気を無くして、また目線をスマホゲームに戻した。

    「では殿下、ジュン、申し訳ございませんが我々は先に失礼いたします」
    「はい!お気をつけて」
    「またね、日和くん、ジュン」
    「うんうん」
    「閣下、急ぎましょう。次の現場まで道が混みそうです」
     バタバタと凪砂と茨が楽屋から出ていく。
    「さて…オレ達はもう少し待ちですかねぇ」
     スタッフの手違いで移動用のタクシーの手配が足りていなかった。
    ジュンと日和は今日はこの仕事が最後であったが、Adamの2人はあと一つ仕事が入っていた為、先に移動してもらう事にした。珍しく日和は文句言わずに楽屋に残った。
     混んでいる時間の為、あと20分くらいかかりそうとの事だった。
     ジュンと日和は楽屋の机に並んで座っている。
    「ジュ、ン、く、ん」
    「なんすかぁ」
     ジュンは仕事のアンケートを書きながら返事した。
    「ポッキー、いらない?」
    「はあ?さっきは…」
     オレにあげれるのはないって…
     ジュンは顔を上げると、日和はポッキーを咥えていた。
    「ほ、ら」
     日和の突然の誘惑に、ジュンは胸の動悸が止まらない。
    「いらない?」
     次の瞬間、ジュンはガブっと食べていた。
     パキンっと真ん中で割れる。
    「あ…」
    「へたっぴ」
     日和はもぐもぐと残りのポッキーを食べる。
     失敗した…
     ジュンもモグモグと食べた。
    「もう、一本、いる?」
    「いります」
    「じゃあ、次はコレ」
     次のはかなり細い。日和が咥えると、ジュンはそっと慎重に端からもぐもぐと食べていく。
     食べすすめていくと、日和の長いまつ毛が近づいて、そして…さらにはツヤツヤの唇も…
     ガタンッ
     パキッ
    「あっっ」
     廊下からの雑音が妙に耳についた。
    「ふふ、また失敗だね」
    「くっそ…」
    「まだ、いる?」
    「いります」
     イチゴ味、ビター、定番、限定品…いろんな味を食べさせてくれる。しかし、全然成功しない。あのピンク色の唇に触れたいのに、あと少しのところでぱきっと変な力が入ってしまうのだ。
     誰がいつ入ってくるかもわからない楽屋でこんなこと…

     コンコン

     ビクンっと2人の肩が動く。
    「はーい」
     カチャっとドアが開いてスタッフがタクシーの到着を告げ、忙しそうに去る。
    「ふふ、残念だったね。じゃあ、いこっか」
     日和は余裕たっぷりにゆっくり椅子から立ち上がる。
    「おひいさん」
    「なあに」
     ジュンは日和の頭を掴んで、チュッとキスをした。
    「あーおいしかった!ごちそーさまでした!余ったやつ、持って帰りますよねぇ」
     ジュンはイキイキとした笑顔で話しながら片付ける。日和は悔しそうに唇を手で押さえた。
    「残り、寮部屋で食いますか」
    「……食べる」
    「もうオレ、コツ掴みましたからねぇ。まだまだ食えますよ。帰ってからもいっぱい食いましょうね」
     全ての荷物を持つジュンが楽屋のドアを開け、上機嫌にこう言った。
    「11月11日はいい日っすねぇ」
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    2

     あの頃。僕らが生まれたてみたいに何も知らなくて、それでも赤ん坊とは呼べない程度には傷まみれだった頃。
     17歳の燐音くんはいつだって怒っていた。知識や常識がない故に納得できない事象が多く、それにぶつかるたびに怒った。周りにも、ものを知らなさすぎる自分に対しても。野菜の値段に怒り、電車の優先席に座る若者に怒り、ポイ捨てされているゴミに対して怒った。自分の常識と世間の常識の中でぐらぐらと揺れながら、プライドをすり減らしながら、それでも声を上げた。
     怒るといっても声を荒げて暴れまわるわけではなかった。かたちのいい目をしっかり開いて、青いくらいにひかる白目にぎらっと怒りを宿して、理解の範疇外の対象を見つめた。その様子を見るたびに僕は、彼の心に小さな傷がついていく音が聞こえたような気分になった。失望して、怒って、それでも赦したくて立ち上がり続ける燐音くんに、「きれいごとだけじゃ世の中は回らないっすよ」と言ってあげられたらどれほど良かったんだろう。とはいえ、そんな残酷なことを誰も言えやしなかったに違いない。少なくとも僕には到底無理だった。背筋を伸ばして、透き通った眼で物事を見る彼を曇らせたくなかった。
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