Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    other8e

    ジャンルよろずの腐。倉庫代わり。現在@8e1eにひきこもり中

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍅 🐙 🌞 ❄
    POIPOI 124

    other8e

    ☆quiet follow

    恋愛感情じゃないと思ってる嶺二。
    まえにTwitterにあげたような気もするけどみつからなかったのでこちらに。

    #蘭嶺
    orchidRidge
    ##蘭嶺
    ##蘭嶺SS

    ランランと過ごす時間は心地良いし、楽しい気持ちになるから好きだ。それは恋愛感情とは別だったけど、ランランから告白された時に居心地の良さを取りOKした。好きって言葉は便利だ。LikeでもLoveでも使えるから。
    「ぼくもランランのこと好きだよ」
    まさかぼくからそんな答えが返ってくるとは思っていなかったようで一瞬目を見開いた後、ほっとしたような、嬉しそうな、泣きそうな顔は幸せそうな笑みへと変わった。ぎゅっと抱きしめられれば、触れ合う部分はとても熱くて、ランランの高揚が伝わってきてなんだかぼくまで嬉しくなってしまった。
    こうしてぼくとランランのお付き合いが始まった。


     付き合う前からランランが結構スキンシップは嫌いじゃないし優しい男だというのは知っていたけど、交際を始めてからはよりいっそうそれを知ることになった。
    どちらかの部屋に遊びに行った時なんか、ソファじゃ隙間を空けずにぴたりとくっついて座ったり、たまに後ろから抱きかかえられることもあるし、膝の上に座らされたこともある。さすがに最後のはちょっと恥ずかしかったけど、ランランはとっても満足そうだった。
    寝る時は隣でくっついて眠るし、いってきますやいってらっしゃいのキスも毎回欠かさない。
    ぼくのほうが仕事で遅くなった日は、簡単な夜食を作ってくれていたり、翌日の朝にまるでカフェのようなお洒落な朝ごはんを準備してくれることもある。
    ちょっとしたことで笑いあって、他愛もない会話をして、たまにキスをしたり、それ以上のこともしたり、どれもとても安心できるんだ。

     ぼくは恋愛感情がなくてもキスやセックスはできてしまうから、その時だけはランランとの熱量の差を感じてしまって心の中で謝る。
    はじめてのキスの時は、ランランの緊張が伝わってきてぼくまでドキドキしてしまった。ぎこちなく触れるだけのキスだったけど、キスをした後の照れくさそうだけど嬉しそうなランランの顔を見たら、少しだけ胸の奥がちくりとした。

     交際して一年がたった交際記念日兼ぼくの誕生日。そう、告白はぼくの誕生日にだったんだ。あの日は酔った勢いとかそういう成り行き的な告白だと思っていたけど、彼は意外とイベントごとを大切にするところがあるので、誕生日だったのも意図があったのかもしれない。
     現場や事務所のみんなからお祝いしてもらって、その後は恋人と恋人の家に向かって二人でお祝いをしてもらう。
    途中のコンビニで缶ビールとかを買い込み、恋人の部屋にあがれば、ぼくの好きな食べ物が次から次へと出てきた。からあげにエビフライも!事務所でそんなに食べすぎるなよって注意してきたのはこのためだったんだね。
    からあげは、おまえの作るやつほどじゃねえけどたまには違うのもいいだろ、って照れくさそうな早口で。
    なんだかすっごくきゅんきゅんしてしまって、思わずランランに抱きついてありがとうと伝えれば、抱きしめ返してくれて誕生日おめでとうと耳元で囁かれる。なんでか涙が出そうになった。

     事務所でのお誕生日パーティの時に、すでにランランからプレゼントを貰っていたけど改めてもう一つ渡された。
    袋の中には小さな箱。どう見たってこれは。
    頭が真っ白になる。
    ランランに悟られないように、震える指先がばれないように、そっと箱に手をかける。
    ぼくの正面より少しだけ高い位置から視線を感じるけど、とてもじゃないけどそちらを見る勇気がない。
    パカ、と開いたその中には想像通り指輪が一つ。
    ランランが普段つけているようなごつめのシルバーではなく、いかにも、そういうことな指輪。
    ランランがぼくとの交際をどのように考えていたのかよくわかるそれに、ぼくは自分の甘さを思い知った。ぼくはランランのような恋愛感情をランランに対して持てていないから、この指輪を受け取る資格はない。
    俯いたまま何も言えずにいるぼくの様子に、受け取る意志が無いことが分かったのか、ランランはぼくの手から箱を取り上げる。
    あ、と思わず顔をあげると、珍しい下がり眉のランランがいた。
    「受け取らねえだろうとは思ってたが、おれなりのけじめだ。悪かったな。あんまり気にするな」
    そんなの無理に決まってるじゃん。
    ぼくは今どんな顔をしてるんだろう。どんな顔をしたらいい?
    俯いたぼくの頭にランランの手のひらが触れる。髪を撫でるそれはいつもと変わらず優しくて暖かさが伝わってくる。目の奥が熱くなる。なんでぼくが泣くんだ。泣きたいのはランランのほうでしょ。こんなにぼくを想ってくれてるのに、同じだけの想いはかえってこないんだ。

    「なあ嶺二、おれのこと好きか?」
    「好きだよ」
    「ならいい」

    早く別れを告げた方が君にとって良い事だと思うのに、ずるいぼくはまだこの暖かさに触れていたくて、ランランのぼくを好きな気持ちを利用している。優しい君を手放せなくてごめんね。でも、まだもう少し君の隣にいさせて。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💖💘💞😭😭😭💘👍👏😭❤💚❤💚❤💚❤💚😭😭❤❤💚😭😭❤💚💖😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works