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    447_yoshi

    @447_yoshi

    どうでもいいハイノイさんの小話を(ノ・ω・)ノ⌒°ポイッ
    する予定です。そのうち多分

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    447_yoshi

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    ちっぱいノイハイ♀︎②
    ハイ♀︎なのでお間違えなく!
    ちょっと?だいぶ?2人の距離が縮まりました
    ノイがね~書いてるとスパダリみたいになる...アスランみたいなニブチンになれ!て思いながら書きました
    果たして彼は天然なのか演技なのか🤔

    ノイハイ♀︎② 展望スペースを出て、せっかくだからと少し遠回りをして他のスペースも案内する事にした。レクリエーションルームにトレーニングルーム、他の展望スペースと、遠目に格納庫と。食堂前で「あちら側に行けば艦橋です」これで説明は終わり。遠回りした筈なのにもう終わってしまった。
    「ミレニアムは色々な場所があるのですね」
     顔合わせの時に説明したはずだが?...あぁあの時は私の勢いに押されていたか。なんて事をしてくれたんだ。過去の私。
     食堂に入ってトレーを受け取り、さてどこに座ろうかという所で気が付いた。一緒に食べるという事実に。横並び?向かい合わせ?どちらにしても距離が近い。またおかしな事を口走ったりしないだろうな。
    「あ、ハインライン大尉ここ空いてますよ。ここにしましょう」
     彼は壁際にあるスペースを見つけ手招きをして私を呼ぶ。四人掛けの所にお互い向かい合って座る。...斜め向いに座るべきではない事はわかった。『相互理解の為だから』そう言い聞かす。
     私が座ったのを確認してニコッと笑い、両手を合わせ「いただきます」そう呟いた。
    「それは、何ですか?」
     気になる事はそのままには出来ない性分だ。つい聞いてしまった。
    「うん?あぁ食事の前の挨拶みたいなものですよ。オーブの習慣ですかね。食べる前が『いただきます』で食べ終われば『ごちそうさま』。どちらも食材を育てたり獲ったりした人や、食事を作った人に対する敬意と感謝の気持ちを込めた言葉らしいですよ」
     ヘリオポリスからアークエンジェルに乗艦した人達がしておりそれに倣った。オーブに亡命してからはそれが習慣になったらしい。
     神などは信じないが、それならわかる。そこには確かに人が携わっているのだから。
    「...いただきます」
     彼に倣い手を合わせ呟いてみる。少し恥ずかしいが、ただ食事を口に運ぶよりはよっぽど良いことだろう。
     食べている所をチラチラと見れば、彼は食べるのが早いように思う。多分。男性と向かい合って食事をするという機会がなかったから判断は難しいが。けれど下品だとか食べ方が汚いとかではない。ちゃんと口に入る適正量を取りちゃんと咀嚼している。それなのに彼のプレートの中身はどんどん減っている。不思議だ。
    「どうかしましたか?」
     見ていたのがバレた。誤魔化しようがないので正直に答える。
    「いえ、食べるのが早いな、と」
    「ああ、そうですね。軍生活が長いのでどうしても早食いになってしまって。でも休暇の時は今ほどのスピードじゃないですよ」
     チラッと私のプレートを見た彼は
    「ハインライン大尉は余り減ってないですね。唐揚げ嫌いなんですか?」
     そう、今のメニューはピラフと唐揚げとサラダにスープ。シンが喜びそうなメニューだ。
    「いえ、あの...誰にも言わないで下さい。私、熱いのが苦手でして...」
     スープも唐揚げも手を付けていない。ピラフを少しずつ食べている。
    「なるほど。いわゆる猫舌というヤツですね」
     コレがあるから人と食事をするのを避けていた。メニューが選べればいいがここは戦艦だ。文句は言えない。
     私の話を聞いて彼は意図的に食べるスピードを落とした。
    「あの?私に合わさなくても構いませんよ?」
     まだまだ終わりそうにないのだから。
    「いえいえ、そういえば最近ゆっくり食事した事がないなと思ったので、そうしているだけですよ」
     ニコリと笑って先程は一口で食べていた唐揚げを半分齧る。
    「そう、ですか」
    「はい」
     結局、彼はその後もゆっくりと食べ、私が食べきれなかった唐揚げも食べてくれた。
    「ごちそうさまでした」
    「...ごちそうさまでした」
     食事が終わってしまった。彼との約束はここまでだ。食事中それほど会話をしたわけではないが、心穏やかな時間だった。それが終わってしまうのはとても残念だと感じた。
    「ハインライン大尉は休憩との事でしたけど、この後の予定をお伺いしても?」
    「特には。先程の戦闘データの解析をしようかと思っていましたが」
    「それは仕事なのでは」
    「コノエ大佐から、艦の行き先も決まっていないから、予定が決まるまでは仕事をするなと厳命されています。補給や補修が入れば忙しくなるからと。あくまで解析は趣味の範囲と申しますか...」
     今、コノエとラミアスとフラガで今後の方針を詰めている。アスハ代表も後に合流して最終調整が決まるのだろう。
    「私の長めの休憩というのも決まった時間は明言されていないのです。早くて明日の昼頃かと」
     整備部として補修箇所の洗い出しと補給項目は既に提出済みだ。他にやる事はあるがコノエに見つかれば怒られるので目に見えている。あれは勘弁願いたい。「上が休まなければ下の者は休めないから」と説教されたのは一度や二度では無い。
    「それでも身体を休めたりしないと。睡眠時間が足りなくなりますよ?」
    「私はショートスリーパーなので」
     彼はデータ解析はやめてゆっくり休めといいたいんだろう。けれど何もせずにいる事の方が私には苦痛だ。
    「でしたら、私の話し相手になるのはどうですか?私もする事がなくて困ってたので。どちらかが眠くなればお終いでどうです?」
     この後も彼と過ごして良いという事?彼からの誘いだ。断る選択肢なんてない。たとえ社交辞令だったとしても、どちらかが眠くなるまでは居られる。私が眠くなるなんてない。徹夜だって平気だ。彼がすぐ眠くなったら解散してもいい。誘われたという事実が嬉しい。
     とりあえず一時間後に先程の展望スペースへと約束した。
     やった。嬉しい。嘘なんかじゃない。「また後で」と言ってくれたから、少なくとももう一度彼と会って話が出来る。
     自室に戻ってシャワーを浴び、少し冷静になった。
     服は隊服にする?パイロット達のようにインナーでウロウロは...したくない。うん隊服にしよう。
     髪はいつも邪魔だからと纏めているが、仕事ではないし、簡単に括るだけにしよう。無重力では浮いて邪魔だ。
     化粧は...普段は薄くしかしていない。女だからと思われたくなかったから。パイロット達や艦橋クルーも化粧や口紅をしていたけど私はあれほどしっかりはしていない。いわゆるスッピンに近い状態。今は寝るのが前提だから、化粧はしないけど色付きのリップ位は許されるだろうか。
     いつもは嫌だと思っていた自分の『女』という部分が顔を出す。私は彼に女として見てもらいたいのだろうか。この私が。
     かぶりを振り考えを散らす。もうすぐ約束の時間だ。彼を待たせるわけにはいかない。
     展望スペースへ向かえばすでに彼は来ていた。先ほどと同じ様に宇宙を眺めている。先ほどと違うのは私が現れたタイミングでこちらを向いたこと。
    「お待たせいたしました」
    「いいえ、時間より早いですね。私も先程来たばかりですよ」
     今度は躊躇わずに彼の近くへと寄る。近付いた私の手を取ってバーへと引いてくれた。そんな大したことはされてないのに、私の心臓が一つ大きく脈打った。
     そんな私とは対象的になんでもない様子の彼が私を見て首を少し傾ける。
    「ああ髪型が違うのか。いつもの髪型もキリッして格好良いですけど、そちらも素敵ですね」
     ん?女性に対して格好良いのはダメか?と一人呟いていたけど、私は今それどころではない。素敵ですねって言われた事にまた心臓が脈打つ。黙ってしまった私に
    「あの、他意はなくてですね、本当にそう思っただけで。あっやはり女性への褒め言葉ではないですよね?けれど本心なので...ん?あれ、これってもしかしてセクハラに当たります...?」
     私が不快感で黙ってしまったと思った彼は困った顔で言い訳を始めてしまう。そんな彼が可笑しくて、それと同時に可愛くて
    「ふっ...ふふふ」
     思わず笑ってしまった。私が笑ったからとりあえずは不快ではないとわかり、照れて頬をかく彼は見た事のない表情だった。
     ひとしきり笑って彼の発言のフォローをする。
    「先程の格好良いという発言ですが。そうですね、正直嬉しかったです。仕事に男も女もないと考えておりますので。仕事中の私が格好良いと思ってくれたのなら良かったです」
    「それなら良かった」
    「それとセクハラかという発言ですが、受け取る方が不快と思えばそうなんでしょう」
    「はい...そうですね」
    「けれど先程も言いましたが私は嬉しいと思っているので、それに該当しないかと 」
    「ありがとうございます」
     ホッとため息をついた彼を可愛いと思ってしまった事は内緒だ。
     飲み物を取りソファに腰掛ける。すぐ横に感じる彼の気配に私の心臓はいつもの二倍ほど鼓動が早くなっている気がする。
    「じゃあまず何から話しましょうか」
     彼にそう話題を振られるが、生憎人との関わりを持たないようにしていた私には難しい。彼に話したい、聞きたいことは山ほどある。先程の戦闘の件もそうだし過去の事も聞きたい。けれど、今、ここで聞きたいかと言われれば『違う』と思う。それは私の興味であって彼との『相互の理解を深める』話ではないだろう。『彼の事』を知りたいのだ。グルグル悩んだ結果、
    「......休みの日は、何をしていますか?」
     何を言ってるんだ私は!さんざん考えた結果がこれか!普段無能だと罵っている連中とそう変わらないではないか!
     パチと瞬きした彼が考える仕草をする。
    「休み、ですか?う〜んそうだな。天気が良ければドライブですかね。悪ければ本を読んでます。電子書籍もいいんですが、紙の本を捲るのが好きなんです」
     私の間抜けな質問にも真摯に答えてくれる。そうか、ドライブが好きなんだ。運転上手なんだろうな。私は電子書籍が主だけど今度紙の本を読んでみようか。
    「貴女は?」
    「私ですか?...論文を読むか、データ解析をするか、思い付いた設計を図に起こすか......」
     ほぼ仕事と同様の事しかしていないな。ずっとそんな生活だったから疑問にも思わなかったけれど、世の中の女性はショッピングだとか食べ歩きだとか、そんな事をするのではないのか?本当に可愛げの無い女だ、私は。
    「先程もデータ解析は趣味みたいなものって言ってましたもんね。図面に起こすのってデジタルですか?」
    「え?あ、いえ紙に書いて。落書きみたいなものですし」
    「へえ~」
     私の内心の思いなんて彼には関係ないみたいに、無邪気な顔で「こう、シャッて引くんですか?」なんて聞いてくる。なんだかモヤモヤ考えていたのが馬鹿らしくて、彼の前では、今だけは考えるのは止めようと思った。『私』でいいのではないかと、今だけは。それに先程から気になっていたが少しずつ口調が崩れてきている。あれが本来の彼なのだろう。
    「ノイマン大尉、一つ提案が」
    「はい。何でしょう」
    「お互い、階級も同じ、歳も近いですよね」
    「そうですね?」
    「なので、今だけでも畏まった話し方はやめませんか」
    「...」
     早まっただろうか。けれど大丈夫だと、思う。
    「貴方も同じようにしてくれるなら」
    「もちろん...けれど可愛げがないですよ?」
    「ハハッ。貴女がクライン総裁みたいな喋り方をし始めたら、俺笑っちゃうかも」
    「貴方が望めば。ふふ、けれど長くは喋れないかも」
     舌をかみそうと笑えば彼も声をあげて笑ってくれる。
    「じゃあさっきの続きを。ハインライン大尉の好きな食べ物は?」
    「好きな食べ物...肉よりは魚の方が好き」
    「いいね。俺はどっちも好きだけど、オーブに来て魚が美味しくて感動したんだ。生でも食べられるし」
    「聞いた事がある。刺身」
    「そう。それと寿司」
    「どちらも食べた事がない。プラントでは生の魚なんて出回らないから」
    「じゃあ今度オーブに来た時に食べに行く?あ、でも普段行ってるところは、そんないい店じゃないな」
    「いいの...あ、いや、その」
     彼の提案に思い切り前のめりで確認をしてしまった。びっくりした彼の表情をみて、しまったとは思ったが撤回は出来ないし、などと悩んでいたら
    「くくっ、うん。いいよ。けど本当に一般的な店だから期待に添えないかもしれないよ?」
     まさかの了承を貰えた。少し笑われたのが恥ずかしかったが、背に腹はかえられない。
    「それでいい。そこがいい。...普段の貴方が知りたい」
    「了解。けど次オーブに寄港するのいつだろう」
    「案外すぐかもしれない。この艦はアプリリウスには帰投出来ないし、MSもモルゲンレーテに返さなければいけない」
     どちらにせよオーブには行くだろう。その話を今詰めているのだろうし。すぐにはプラントには戻れない。
    「それは、そうかもしれないけど。貴女は休めるのか?それこそ忙しくなりそうだけど」
    「忙しくなる事については否定は出来ないけれど、休みくらいはもらわないと。それにコノエ艦長から『上が休まなけれ下が休めない』と言われている事だし、丁度いい」
     ニッと笑えば驚いた顔をしたが
    「じゃあ仕方ないな、上官命令だから休まないと」
     悪戯っ子みたいな笑顔で返してくれた。
    「約束、してくれる?私がオーブにいる時に休みがあれば食事に連れていってくれると」
    「もちろん。多分だけど俺たちは時間があると思うから、合わせられるよ。美味しい魚が食べられる店に行こう」
     約束をして、互いのプライベート端末の連絡先を交換した。それから色々な事を話した。本当に他愛もない事ばかり。好きな色は、嫌いな食べ物は、普段はどんな飲み物を飲むか、動物は好きか、好きな季節は、仰向けで寝るか横向きで寝るか、音楽はどんなものを聞くか。
    「ハインライン大尉は海は好き?」
    「海は、好きかどうかわからない。地球に降りている時は大抵ドッグにいるし、艦橋から見るか映像か、それぐらいしか触れてないから。ノイマン大尉は?」
    「俺は、そうだなぁ。海の中からの景色も、空からの景色も綺麗だと思うし好きだけど、一番は砂浜を歩くのが好きかな。波打ち際を裸足で歩いて、砂を波が一緒に攫っていく感触を足裏に感じるのが、何でか好きだ」
    「どんな感触なんだろう」
     私が知らない知識。今度地球に降りた時には体験するのもいいかもしれない。
    「じゃあ食事してその後に砂浜に行くとか?」
     私の考えている事がわかったかのような提案。
    「いいの?ノイマン大尉が良ければ是非お願いします」
     約束がまた一つ増えた。
     それからまた他愛のない話を続ける。彼の低めの落ち着いた声を聞いていたら、あんなに騒がしかった私の鼓動もすっかりいつも通り。いや少し遅く...瞬きの回数も...
     ......あたたかいなにかにふれた

    ※※※※※
    「まいったな」
     ハインライン大尉が少し前から眠そうだなとは思ってた。けど仕事中は高速詠唱なんて揶揄される口調も、今は別にそれほど早いなんて思わないし、何より無愛想だとか言われていたらしいけど、コロコロ変わる表情が『可愛い』くて、まだ見ていたくて、「もう寝ますか?」と声を掛けられなかった。
    ぽすっ
     左肩に重みがかかる。まぶたを閉じハインライン大尉が寝てしまった。
    「あの、ハインライン大尉?」
     声を掛けるが反応は無い。許可なく触れるのは憚られたが仕方がない。ポンポンと反対側の肩を叩いてみるがダメだ。今ここで誰か通ったら...とは思ったがさっきも今も誰もここを通らない。艦内が当直の者以外部屋に居るのか、ここが穴場なのか。
     仕方がないのでヘルプを呼ぶ。この艦で唯一連絡が取れる知り合いに指を走らす。

    ※※※※※
     もうそろそろ寝ようかと思っていた所にシンが部屋へとやってくる。
    「ルナ、こんな時間にゴメンな。ちょっといい?」
    「いいわよ。どうしたの?」
    「電話、ちょっとかわって」
     はい、と手渡される。繋いだまま部屋から来たみたい。
    「はい?」
    『ああホーク中尉、こんな時間にすまない』
     電話の主はノイマン大尉だった。シンが懐いてるなとは思っていたけど連絡先を交換していたとは。
    「いえ大丈夫ですが、どうかしましたか」
    『折り入って頼みがあるんだが』

     指定の場所に向かえば、見慣れた後頭部が見えた。声をかけようかとしたら、こちらを向いた彼は口元に人差し指を当て合図する。頷き近付けば彼の座るソファにもう一人。
     この艦で知らぬ者はいない人物。ハインライン大尉がノイマン大尉の膝枕で寝ていた。
    「悪いな、こんな状態で動けなくて」
    「いえ、だからブランケットがいるんですね」
     なんでも話をしていたら寝てしまい、声をかけてみたが起きる気配がないらしい。
    「そうですね。コーディネイターは眠りが深いタイプが多いですから、大尉ももしかしたらそうかもしれないですね」
    「俺もチラッとそんな話聞いた事あったし、それに彼女ショートスリーパーだって言ってたから、なんか起こすの忍びなくってさ」
     睡眠時間が短い人をせっかく寝たのに起こすのは悪いと思ったようだ。
    「けどノイマン大尉はこの状態で大丈夫ですか?私、起こしましょうか?」
    「ん?いいよ。寝かせてあげて。平気だって言ってたけど、やっぱり疲れてるんだろうし。俺は仮眠も休憩も先にとってるし平気だよ。起きるまで読書でもしてる」
     心配そうにハインライン大尉を見るノイマン大尉につられて見れば、化粧をしていないせいか目元に薄らと隈が見える。いくらナチュラルより強い身体だと言えども、睡眠も休息も必要だ。この人はずっと働いている。いつ見ても忙しなく、私達が出動する前も、その後は艦橋で、その後は格納庫で、私達が休んでいる時はヤマト隊長と何かと打ち合わせを。いったいいつ休んでいるんだろう。
     冷えないようにとノイマン大尉が上着を掛けてくれている。おそらく無意識に裾を握りしめている。せめて楽な体勢になるよう、座った姿勢から足をソファに上げる。靴を脱がせ、しっかり詰めている襟を寛げる。これで少しは楽になるだろう。上着をどうするかノイマン大尉に聞けばそのままにしてやってくれとの事なのでブランケットは下半身を冷やさないように掛けてあげる。
    「ハインライン大尉の髪、纏めてないの初めて見たかも。いつもキッチリ纏めてたから。ふわふわだ」
     後が付くだろうから、心の中で「失礼します」と断りを入れゴムをのける。予想どおり、ふわふわの触り心地だ。ゴムをノイマン大尉に預け最後に
    「ここ、あんまり人通りありませんけど、入口閉めておきますか?ロックは掛けませんが」
    「そこ閉まるんだ。知らなかった。判断は任せるよ」
     私の判断なの?
    「失礼ですけど、ノイマン大尉とハインライン大尉のご関係は」
    「同僚?」
    「同僚に膝枕します?」
    「どうかな。時と場合によるけど」
    「...同僚の手助け、という認識にいたします。お願いですからハインライン大尉が傷付く様なことはしないでくださいね」
    「誓って」
    「なら、閉めておきます。それと艦長に報告することはご了承ください。場所と大尉といること以外は話しません」
    「わかった」
     ノイマン大尉は誠実で真面目でユーモアもあって、だけど思い切りも良くて、男女の関係にはアスラン並に鈍くて、でもやっぱり頼れるお兄さんみたいな存在で。
     ハインライン大尉は怒れば怖いけど、それは仕事に真剣に向き合っているからで、彼女の両肩にはこの艦の、私達パイロットの命が乗っている。だから少しのミスもエラーも許さないのだ。あの人は自分を削りながら私達の為にしてくれているのだ。ショートスリーパーだと言っていたが、本当は短い睡眠時間しか取れないんじゃないのだろうか。あの薄らと出来た隈が証拠だ。
     そんな彼女がノイマン大尉に気を許して眠っている。彼の側が彼女の一時でも安らぎになるのなら、私が出来ることは。

    ※※※※※
     久しぶりに熟睡した気がする。不快な夢も、呼出音も聞こえない久々の寝起きだ。薄らと目を開けれ目に入ったのは見慣れぬ青。
    (コンパスの青服、私の服と違う色、最近近くで見た色)
    「ん?」
     思わず声に出た。自分が握りしめているのは誰かの服。頭の下は温かい。それにここは自室ではない。
     ガバッと起き上がれば、至近距離でノイマン大尉が目を瞑り寝ている。
    (どういう事え?昨日、ノイマン大尉と話していて、それで彼の声が心地良いなとか思ってて、まさか私は寝てしまった彼の膝で)
    「あ、起きた?おはよう」
     寝起きで大混乱中の私を他所に、ノイマン大尉ははっきりとした口調で挨拶をしてくる。というか今「おはよう」って言った?私に?
    「え?あ、おはよう...ございます。いや、あの、本当にごめんなさい。私寝てしまって。起こしてくれれば良かったのに」
    「気にしなくていいよ。よく寝てたから起こすのも忍びないなあって俺が勝手にした事だし」
    「だけど、ん?これ」
     握りしめれた隊服と、かけられたブランケット。隊服はノイマン大尉のものだろう。着ていないし。けどブランケットは?
    「ブランケットはホーク中尉の物。貴女には悪いなと思ったけど、この艦で連絡先知ってるのアスカしかいなかったし、彼女なら誰かに言いふらしたりしないだろうから」
     確かに人選的にも懸命な判断だろう。後でお礼を言わなければ。
    「因みに俺の名誉のために言うけど、俺は貴女に触れていないから。いやまあ膝はアレだけど、他は触れてない」
     両手をホールドアップして無罪を主張している。靴を脱がせたり詰襟を緩めたりはルナマリアがしてくれたんだろう。
    「で、艦長に今、俺とここに居るのは知られてる」
    「はぁっ」
     最後にとんでもない爆弾を落とされた。
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    💖💖💘💖❤💞💞💞💞💞👏❤💖💘❤
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    Replies from the creator

    447_yoshi

    DOODLEちっぱいハイ♀︎のお話
    まだ何も始まっていない。ハイの1人語りが長すぎて1万字超えるとこだった💦
    過去と家族を捏造。ノイとハイの口調がどっちも「私+敬語」で私が混乱🤣
    その内続き書きます。書きたいシーンまで全然行き着いてない
    ノイハイ♀︎のお話その1 私の名前はアルバート・ハインライン。プラントにあるハインライン設計局は私の一族の物だ。
     父は優秀な技術者で、母はハインライン直系の一人っ子だ。そして彼女もまた優秀な技術者だ。だった。2人は婚姻統制によりマッチングされ結婚を機に母は一線を退いたという。夫婦仲は悪くなく程なくして私を身ごもった。直系の子供という事で懐妊はたいそう喜ばれた。産まれた私を見て父と母は「大切な私達の子」と喜んで慈しんで愛して育ててくれた。 しかし他の者は違った。「なぜ男児ではないのか。女が跡を継げるわけないだろう」と。両親は「性別で跡を継げるか継げないかは決まらないだろう、時代錯誤でナンセンスだ」と言い、私に出来る限りの教育と教養と愛情をくれた。私自身も2人の能力を継ぎ優秀だった。教えてくれた事は全て吸収し彼らの期待に応えようとした。しかし、私の運命はある日一変する。
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