正義の悪夢正義とかなめは見知らぬ建物に閉じ込められていた。
正義は何故こんなところにいるのか全く身に覚えがない。気がついたらここに居たのだ。
ビルのような構造の建物。
だが、そこに窓はなく、人の気配もない。
出口は固く閉ざされ、鍵がなければ脱出は叶わない。
正義とかなめは共に部屋を巡るが、どの扉の先にも、同じ無機質な空間が広がるばかりだった。
(どこまで続くんだ……。)
薄暗い廊下に足音だけが響く。出口のない迷宮をさまようような感覚が、じわりと胸を圧迫する。
そして、次の扉を開けた瞬間——
「……っ!?」
正義は息を呑んだ。
壁一面を覆う、異様なピンク色の肉塊。
ただの静寂ではない。それは生きていた。わずかに波打ち、まるで巨大な心臓のようにどくどくと脈打っている。
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