彼女の知らない秘密の話「ハウメア、っていうのは女神様の名前だよ」
手を組んで目を瞑る。それが日常の中に浸透している。彼女は祈る人だと思う。他人の為に祈ることができる人だ。
「俺は神とか…信じた時が無い。プラントには無い文化だ」
コーディネーターは自分たちのルーツがはっきりし過ぎていた。神はいない。その代わりなのか実在する優秀な人材に入れ込みやすい面がある。
「そうなのか。お前、信心深いのかと思ってた」
「え?」
「言ってたじゃないか。『石が守ってくれた』って」
「…あれは、そういうのじゃ…」
着けているとくれた相手の存在を感じることができる。それが自分の力になる。だから大事だ。
「………」
「?おいー」
むにー、と頬に関節を曲げた指が触れる。我ながら、これは言えない、と思った。引かれるかもしれない。
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