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    syakonda

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    syakonda

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    笑いながら激怒するパがみたいという欲望のオメガバ現パロパーバソ。
    設定は自己流混ざっている。

    笑顔、執着、マーキング、全ては運命にオメガバ現パロパーバソ


    「私ではないαのにおいがする」

    パーシヴァルの穏やかな笑顔が一瞬で消え、細くなった瞳孔がバーソロミューの全身を隅々まで観察する。
    面倒なパーティーに参加して、ようやく家に帰ってきたバーソロミューに対しての第一声がコレだ。
    彼の手はバーソロミューを抱き締めようと浮いたまま、触れもせず空中で固まっている。

    「臭いかい?まいったな、今日は他のαと挨拶のハグすらしていないのだけど」

    パーシヴァルに首を噛んでもらって番を得たバーソロミューは、既に他のαのフェロモンを感じ取れる機能を失っている。αであるパーシヴァルもΩのフェロモンに振り回されることはなくなった。お互いのフェロモンは番同士しか感じ取ることはできなくなった。しかし、同性のフェロモンは敏感に嗅ぎとることができる。Ωが他のαに噛まれないよう、ひとえに番を守るための本能故だと言われている。


    世間一般に、αはΩを庇護/支配する強者の立場だとされている。Ωは定期的にくる発情期に振り回され、普通の生活を送るにも周囲の配慮が必要だ。抑制剤が処方薬として社会に浸透した今でもフェロモン事故と呼ばれる、発情期に大量に放出されるフェロモンに誘発されて理性を失ったαによるΩへの乱暴事故が起きる。この問題は、Ωのうなじをαが噛み、番関係になることによって解決する。番関係のαΩ両者がお互い以外のフェロモンを感じ取れなくなることによって、『Ωがαの支配下に入り守られる』のだ。
    ただしαに限っては、一方的に番関係を解消することが可能だ。その場合は、αΩ共々再び異性のフェロモンを感じ取れるようになる。番を解消されたΩも他に番を作ることは可能だが、世間一般では噛み跡の付いたΩはお手付きとしてあまり好まれない。Ω自身発情期が来ても、元番のαを求めてしまうことも多い。
    これが『Ωを支配するα』イメージ理由だ。

    しかし、運命の番は違う。
    運命の番に限ってはαとΩの立場が逆転する。
    『運命を得たΩは、番のαを支配する』。
    αは運命のΩに対する執着や愛情が強くなり、運命のΩなしでは精神が不安定傾向になる。また、Ωを守りたい気持ちが強くなり、Ωの平和を脅かす者には敵対心を抱きやすいとも言われる。
    パーシヴァルとバーソロミューは運命の番だった。
    それでもパーシヴァルは穏やかな人で、他人に対して敵対行動をするタイプではなかったはず。だったけれど。

    「お仕事頑張って帰ってきた番を、君は抱き締めてくれないのかな」
    口角を上げて、下からパーシヴァルを見上げる。自然と上目遣いになった。
    「――もちろん。けれど、その後一緒にお風呂に入ろう。このマーキングのされ方は、明らかに私へ喧嘩を売っている」
    パーシヴァルは眉間に皺を寄せたまま、バーソロミューを広い胸板にしまいこんだ。抱き締めたままクンクンとしきりに臭いを嗅ぎ、不愉快そうにフンと鼻を鳴らした。
    はて、αに直接身体に接触されることはなかったはず。頭を捻って、ふと思い出した。香水だ。
    「あー……」
    パーティの招待客の一人に、海外に多くの拠点を持つ総合商社社長の老紳士がいた。整えられた白ひげを蓄えて、全身上品な紺のスーツに身を包み、まさに英国紳士を体現していた。
    『今度売り出す香水を、今ここで貴方に試してほしい』そう試供品を渡されたのだ。
    香水パッケージの謳い文句は〈――貴方だけの、特別な香水を――〉
    ようは、各個人のカウンセリングや細胞分析によって、その人に合った香水を作り上げるオーダーメイド品である。
    バーソロミューはカウンセリングなど受けていない。不信感を覚えながらも言われるがまま左手首に軽く吹き掛けた。香りはバーソロミューにとって無臭に近かった。
    香りが感じ取れない旨を伝えると、老紳士は驚いた顔をしてから、ゆっくり笑い皺を深くして、なるほど。それならそれで、むしろ良いのだよ。と笑っていた。

    (あの老紳士、上品な見た目を裏切って中身は性に奔放で有名だったけど、男のΩもいけたのかぁ)

    おそらくあの香水には、老紳士のフェロモンが含まれていたのだろう。

    (あの場には番のいないαがそこそこいたから、フェロモンの付着した私を彼のお手付きだと勘違いされたかもしれない。へたにパーシヴァルの匂いをつけると自分がΩだと宣伝するようなもので商談時舐められると思ったのだが、寧ろつけてもらった方が良かったか。面倒な)

    パーシヴァルと番契約したことは、親しい者にしか周知していない。老紳士も知らずにバーソロミューへマーキングして、全くαのフェロモンに反応しないバーソロミューを見てようやく他に番がいることに気づいたのだろう。それでも『むしろ良い』と言い切る大物さよ。パーシヴァルが『喧嘩を売られた』と言ったのも無理はない。事実、その通りであるのだから。

    「お風呂行こうか」
    「はい。今日は私に全てを任せて。隅々まで綺麗します」
    「そしたら、私にマーキングしてくれないか」
    「今まで嫌がっていたのに、良いのですか?」
    「もう今回みたいなことは懲り懲りだからね。いっぱいつけて、パーシィ♡」

    こうして、有言実行、十全十美、徹頭徹尾身体を磨かれたバーソロミューは、その日そのままの勢いでパーシヴァルの匂いを徹底的にマーキングされたわけである。







    話が飛んで翌朝。
    朝日がレースカーテンからキラキラと部屋を優しく照らす。
    明るい外とは対照的に、ぐったりとベッドに横たわるバーソロミューに、パーシヴァルがレモン水を渡してくれたので一気に飲み干す。冷えた水が喉を擽って気持ちが良かった。今日が休みで本当に良かった。
    パーシヴァルは笑顔でベッドに腰かける。
    「それでねバーソロミュー、まだ聞いてなかったのだけど」
    「ん?」
    「貴方にマーキングした無粋な輩は誰かな?」
    「んんん?」
    「番がいるいないに関わらず、Ωに騙し討ちのようなマーキングをするαには、少しお話が必要だ」
    「うーん、気持ちは嬉しいけどね」
    そうは言っても、相手は社会的立場の高い人間であるし、今後バーソロミューも注意して関わらないようにするつもりであるので、わざわざパーシヴァルが動く程のことでもないのだ。
    そう言ってもパーシヴァルはにこにこと目を三日月にして再度名前を問うてくる。こちらに微笑むパーシヴァルの目の奥が、まったく笑っていないことに気づいて、背中にじわっと嫌な汗が滲んだ。
    「名前を聞いて、お話するだけで終わるのかな?」
    恐る恐るバーソロミューが尋ねると、パーシヴァルは口角を更に目一杯引き上げて、まるで喜ばしいことのように言い放った。
    「私はね、――売られた喧嘩を買うだけだよ」
    「め、目茶苦茶怒ってるぅー……」
    イケメンの笑顔の圧すごぉ……


    あまりの笑顔の圧力に、名前と所属をパーシヴァルに伝えてしまった。見慣れない番の雰囲気が格好良くてメロメロになって口が滑ったとも言う。
    その後、バーソロミューの仕事になんの影響もなく、老紳士も仕事の関係で見かけることはあったが、しかし目が合ったとたん全力で逸らされるし逃げられたことを書き記しておく。


    「……何があったんだ……いや、知りたくないが」
    そう呟く運命を後ろから抱き締め、パーシヴァルは肺いっぱいにバーソロミューを吸い込む。
    今日もパーシヴァルの匂いでいっぱいの番に、満足げ微笑んだ。

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