ノートンが「青い」薔薇を育てる話「お兄さん、少し見ていきませんか?」
バイトの帰り、花屋の店員に声をかけられノートンは立ち止まる。
こんなところに花屋なんてあっただろうか、花屋があったとしても気にかける性格ではないのだが、恋人への誕生日プレゼントに頭を悩ませていたところにちょうど声がかかったので、ノートンはその店を覗いてみることにした。
店は簡素な建物で、陳列されている品物をざっと眺めても、目の肥えた恋人を唸らせることができるそうな商品は、当然並んでいなかった。
残念そうなノートンの空気を察したのか、店員がさらに言葉を続ける。
「珍しい物はそこに並べていないんですよ。見てほしいのは…これ」
そう言って、店員は奥から何かの苗木を持ってくる。
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