「手合わせをしたい?僕と?いや、無理やろ。」
「やってみないとわかんねえし」
ある日、先の任務で接近戦強化の必要性を感じた夢翔は、主影に声をかけた。夢翔の認識では、主影は筋力瞬発力などが組織で一二を争うほど高い。
「体術強化してえなって。とりあえずぬっしーに。」
「は!とりあえずで僕に勝とうとは、舐められたもんやな。」
とはいえ、主影は自分以上に体力がないと知っている夢翔。
「三分で勝つ……」
「あっはは!ハンデやるわ。手ェ使わんでやったる!」
主影はそう言い終わると同時に近くの壁に向かって走り出す。二、三歩駆け上がると、その勢いのまま宙返って夢翔の頭頂部を蹴り下ろす。
「ッ……はぁ何、今の……」
1377