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    まめたろ

    @beenstarou

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    まめたろ

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    オメガバースなファイアナ☀️🌿
    続き物になる予定
    α同士でお付き合いをしていたけど、転生したら🌿がΩになってたうえにその運命の相手が🪡だった。

    ※何でも許せる人向け

    これが運命だと? ① 人で賑わう市場の中を、兄弟と思われる二人の子供が楽しげに笑い合いながら走り回る。
     彼らの保護者であろう男性が、無邪気な兄弟達に気を付けるよう声を掛けているところを、ファイノンは微笑ましく見つめていた。
    「何を見ているのですか?」
     実験道具や材料になりそうなものが詰められた袋を両手で抱えながらアナイクスがファイノンの元へ戻ると、彼の視線の先にあるものを見て表情を穏やかにしていた理由を察する。
     すぐにアナイクスの方へ視線を戻したファイノンは、師が抱えていた荷物をひょいと持ってしまう。あ、と思った時には彼に次の場所へ行こうと促されてしまっていた。
    「そんなに子供が好きでしたか」
    「うーん……好き、というか、元気にしている姿が純粋に可愛いなって。それに、先生と僕に子供ができたら、どんな子になるんだろうなって思ったりもしちゃってさ」
     思わず語ってしまった自分の妄想が恥ずかしいのか、耳まで真っ赤にさせながらファイノンは照れたように顔を綻ばせた。
     オンパロスには男女の性別とは別に、α・β・Ωに分類される第二性と呼ばれるものが存在している。
     通常は同性同士で子を成すことは不可能ではあるが、第二性がΩの人間であれば、たとえ男同士であってもαやβの子を身に宿し、産むことができる。
     ファイノンとアナイクスは、樹庭時代の師と教え子という関係ではあるが、今では想いを通わせた恋人同士でもあった。
     しかし、彼らの第二性は互いにα。どんなに望もうとも彼らでは子を成すことはできない。
     先程まで二人が視線を向けていた兄弟は、親の元へ戻ると何かを興奮気味に伝えている。
     その傍らに物陰で見えなかったもう一人の男性がいる。兄弟喧嘩でもしたのか、体の小さな弟の方が泣きながらその男性に抱きついていた。
     彼らが家族であろうことは、すぐに分かった。弟の頭を撫でる男性の腹部が明らかに大きかったからだ。
     あの腹の中には兄弟達の弟か妹がいるのだろう。
     子供に恵まれ、笑い合うαとΩの家族の姿。αのアナイクスでは与えられない幸せな光景はあまりにも眩しく、思わず目を細めてしまう。
    「ならば、私が産みましょうか?」
    「でも、僕と先生は……」
    「私がΩになれば、問題はないでしょう」
    「え……ええっ!?」
     ふむ、と何かを考え始めたと思えばアナイクスはさも真面目にそんなことを口にするものだから、ファイノンは驚きのあまり大きな声をあげてしまう。
     α同士の人間でも子の成せる方法は存在する。
     どちらかが孕める体──Ωへと体を作り替えてしまえば良いのだ。
     ビッチングと呼ばれるその方法は、一度Ωになれば二度と元の体には戻れないという大きなリスクを伴う。
     絶対にΩになれるという保証もないうえに、失敗する確率の方が大きいくらいだ。
     それでもΩになることを望むのは、ひとえに相手への深い愛情があってこそ。
     愛するαのため、一生をΩとして生きる覚悟が自分にはある。アナイクスからの申し出は、遠回しにプロポーズをされていると言っても過言ではなかった。
     ファイノンは年上の恋人が自分に対して、Ωになってもいいと思える程の愛があるということを知ってしまい、照れと嬉しさで顔が更に赤くなる。
     先の大きな声のこともあり、何事かと集まる視線から逃げるようにファイノンは足早に市場を進んだ。
     追いかけるように彼の後ろを歩くアナイクスの表情は、心做しか柔らかくなっているようにも見えた。
     普段は実験や研究、大好きな大地獣に関わる事以外でなかなか表情を変えない男が、年下の恋人をからかい楽しむ姿など珍しいにも程がある。
     オクヘイマに張り巡らされている金糸が、彼らの穏やかなやりとりに、微かな反応を示していたのを二人は知ることはないだろう。
     重い運命を背負う者であっても、幸せを享受するのは全ての生きる者に与えられた平等な権利なのだから。
     しかし、無常にもオンパロスの危機的状況は日々止まることはない。
     火種を返還する最中で、ファイノンの恋人は命を燃やして帰らぬ人となった。教え子への期待と、来世でまた会おうという約束を残して。
     もう一度会えた時に、自分は最後までやり遂げたのだと胸を張って言えるように。それからのファイノンは、ただひたすらに世界のの救世主たらんとした。
     全てが終わり、オンパロスに平和な時が流れ始めた時。目の前に再び立つ愛しい人を、強く抱きしめる。
     もう二度と、消えてしまわないようにと。

    +++++

    「気が乗りませんね」
    「仕方ないよ、今後の黄金裔についての話し合いだし。欠席してる内に決まった内容が都合の良くないものだったりしたら先生だって困るだろう?」
    「それは、そうですが」
     滅亡の危機を脱し、平和が訪れた今。黄金裔は何の為に存在するべきか。
     その答えを出すために、新たな生を受けてオンパロスに転生した黄金裔達がアグライアの招集で創世の渦心へと向かっていた。
     当然、ファイノンとアナイクスにも招集の通達は届いている。放っておけば研究に集中したいからと言って集まりをすっぽかしてしまいそうなアナイクスを連れてくるために、ファイノンを彼の元へ遣わせたといっても良いだろう。
     あからさまに不機嫌な様子を浮かべるアナイクスをなだめながら歩いていると、甘い香りがファイノンの鼻腔をくすぐる。
    「そういえば、珍しいね」
    「? 何がです?」
    「え? 先生が香水つけてるなんて、珍しいなって」
    「香水? 私がそんなものを付けるはずがないでしょう」
     転生して嗅覚がおかしくなってしまったのではないか。アナイクスから疑いの目を向けられるが、何度すんすんと嗅いでも、やはり彼から甘い香りがするのだ。
     以前は薬品の匂いばかりを纏っていたアナイクスがついにオシャレに目覚めたのか、それともヒアンシーあたりに勧められたのか。ファイノンの予想はどれもハズレ。
     本人が否定したとなれば、この甘い香りは一体どこから漂うのか。その答えは、思っていたよりも早く見つかることとなる。
     創世の渦心へ足を踏み入れた途端、アナイクスの体が支えを失ったかのように崩れ落ちてしまったのだ。
    「先生!? ぅ……この、香り……さっきよりも強く……?」
     咄嗟にファイノンが受け止めるものの、腕の中のアナイクスからは更に強く甘い香りが出ている。
     それはまるで、Ωがαを誘うかのようだった。何故、ファイノンと同じα性であるアナイクスからΩのような現象が起きるのか、そしてそれが誰に対して向けられているものなのか。
    「アナイクス先生、気を確かに持ってください。今お薬を打ちますからね」
     状況をいち早く異変を察したヒアンシーが、冷静に携帯していた抑制剤の注射をアナイクスの腕に打ち込んだ。
     呼吸が荒く、喋ることすらままならない状態のアナイクスの手が縋るようにファイノンの服を掴む。
     こんな時に不謹慎ではあるものの、アナイクスが自分を頼ってくれているように感じられて嬉しかった。
     震えるアナイクスの背をさすりながら、ファイノンは何度も「もう大丈夫だよ」と優しく声を掛ける。
     即効性があるのが幸いし、ファイノンの腕の中でアナイクスは力なく目を閉じた。同時に、漂っていた甘い香りも徐々に薄くなり、その場には束の間の落ち着きが戻る。
    「大丈夫か、アグライア」
    「……ええ」
     ふいに聞こえたモーディスの声に、ファイノンは顔を上げる。
     先程まで静かに佇んでいたアグライアが体をふらつかせ、珍しくモーディスに支えられていたからだ。
     その反対側にはサフェルとトリビー達が心配そうに彼女を見つめ、後ろに控えていたキャストリスもアグライアとアナイクスを交互に見ては突然の事態にオロオロとしている。
     黄金裔達の第二性は皆共通してα。故に彼らは常日頃から抑制剤を常用し、万が一の事故がおこらないようにと全員が徹底している。当然、黄金裔を指揮する立場であるアグライアも例外ではない。
     しかし、アナイクスの発した香りに対して他の黄金裔達が見せた反応と、彼女の反応は明らかに異なっている。
     アグライアが抑制剤の服用を怠ったなどというのは考えにくい。
     当の本人も、まさかと言わんばかりに目を見開いているのだから。
    「……アナクサゴラスを樹庭へ送り届けてください。あの者の身に何がおこっているのか、調べることが必要です」
     結局この日の集まりは中止となってしまった。
     細かい検査のため、アナイクスはヒアンシーと共に一度樹庭へ戻る運びとなり、ファイノンはぐったりとしている恋人の体を抱き上げる。
     意識がないアナイクスの重みが全てファイノンの腕にかかっているはずなのに、その身はあまりにも軽かった。

    +++++

    「やぁ、先生。体調はどう?」
     数日後、ヒアンシーから一通りの検査を終えたとの連絡を貰い、ファイノンは樹庭の医務室にずらりと並ぶベッド達の一番端に上に文字通り縛られているアナイクスの元へと近づいていく。
     ヒアンシー曰く、物理的脱走防止策だそうだ。実験をまだ終えていないからなんだと理由をつけては何度もアナイクスが医務室を抜け出してしまうことが過去にあり、そのたび彼女が困っていたのを思い出す。
     不服そうにはしているものの、連日きちんとベッドで休めているのもあるのか、顔色は倒れた時と比べて随分良くなっており、しっかりと回復していることが伺えた。
     ホッと安堵の息を零すファイノンに、アナイクスはこれを見なさいと丸められた一枚の紙を差し出す。
    「どうやら、手間が省けたようです」
    「手間? それって、一体何の……?」
     紙を広げれば、それはアナイクスの健康状態が細かに記されている診断書だった。素人目で見ても、各項目は健康体と言えるのか?となるような散々な結果であることが察せられる。
     もしかして何か大きな病気だったりするのだろうかと戦々恐々で見ていたファイノンだったが、最後の項目を見た瞬間「え……」と目を丸くした。
     そこには、はっきり「第二性:Ω」と書かれている。
     見間違いかと思い何度か目を擦り、紙を見すが返す書かれている内容は変わらなかった。
     もしかしたら別の人の診断書なのではと疑ってもみるものの、名前の欄にはしっかりとアナクサゴラスの名が記されていた。
    「Ω……? 先生、Ωになったの……?」
    「そのようです」
     まさか転生によって第二性が変化するとは思いもよらなかったのだろう。とはいえ、元々ファイノンと番になるためにαからΩに体を変化させるものやぶさかでないと考えていたアナイクスにとっては今回の出来事は手間が省けて僥倖程度のことだろう。
     ただ、アナイクスがΩになったことで彼らが番になるためには避けられない懸念が、ひとつ生まれてしまった。
    「問題は、私の運命の番とやらが…………はぁ…………あの女だということです」
     アナイクスからの説明を聞き、ファイノンは先日のアグライアの様子を思い出した。
     抑制剤を常用しているはずなのに、彼女は明らかにΩのフェロモンに当てられたかような反応を示していた。
     それは、他のαの黄金裔達には現れなかった兆候。
     現にアナイクスも、直前まではファイノンやヒアンシーといる時の様子は普段と変わらなかった。
     だのに、アグライアとアナイクスが同じ場所に立ち、顔を合わせた途端に起きた体の変化。抑制剤の効果なんて無意味なのだと、運命に嘲笑されているようにも思えた。
     もはや本能に近いものなのだ。アナイクスが気付いているのであれば、当然アグライアも気付いているのだろう、己の運命の番がアナイクスであることに。
     流石はかつて相思相愛のモネータとサーシスの半神になった者。
     本人の意思とは関係なく、彼らの体は互いが唯一の運命であると赤い糸が引き寄せてしまうのだろう。
     その事実を心底嫌そうに語るアナイクスの傍で、ファイノンは手にしていた診断書をサイドテーブルへと置く。
     どう反応したらいいか、迷ってしまったのだ。
     今はただ、考える時間が欲しかった。
    「ファイノン?」
    「とにかく、病気とかじゃなくて良かったよ。突然Ωになって先生も大変だと思うから、今はゆっくり休んで。先のことはまた今度一緒に考えていこう」
    「……」
     まくし立てるように言葉を残し、ファイノンは医務室を出ていってしまう。
     ベッドから動けないアナイクスには追いかける術などなく、寂しげな彼の背中を目で追うことしかできなかった。
     人気の少ない樹庭の通路で、ファイノンは自らの胸ぐらを強く掴み、手近な壁へと身を預ける。
    「そっか……僕は、先生の運命の人じゃないんだ」
     少しだけ。ほんの少しだけ期待をした。
     アナイクスがΩになったと知り、自分が運命の相手になれるのではないかと。
      平和な世界で、やっと愛する人と幸せな時間を送れると思った矢先の出来事に、気落ちしてしまうのも仕方のないことではあった。
     運命をねじ曲げてでも、彼を自分の番にするべきか。
     運命に従い、自分が彼を手離すべきか。
     答えなど、簡単に出せるはずがないのだから。

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    まめたろ

    DONE俳優してる🦚×お医者さんの🧂の現パロアベンシオ②
    【私たちドクターのこと応援してますから!】の続きです。

    ※注意※
    ・現パロ
    ・相変わらずモブがよく喋る
    ・最初から最後まで自己満足な妄想がたっぷり
    ・胸糞、流血表現あり
    ・書いてる人に現場の知識はない
    ・何でも許せる人向け
    「愚痴くらいは聞いてやる」「そういえば、君の御家族は見舞いに来たりしないのか?」
     今日もアベンチュリンの見張りという名の食事の世話を焼いていたレイシオが、ふとそんな疑問を口にした。
     入院して以来、彼の元へ来たのは社長であるダイヤモンドと同じ事務所に所属している女優のジェイド、そんな彼女のマネージャーであるトパーズの三人だけ。
     家族が見舞いに来たという様子は一度もなく、触れてはいけないだろうかと思いながらもつい聞いてしまった。
    「僕の家族は皆いないよ。両親は物心がつく前に病気で他界してるし、面倒を見てくれた姉は交通事故で亡くなってるから」
    「それは……すまない、嫌なことを思い出させてしまったな」
     彼の故郷はかなり遠い場所にあるというのはメディアに出ている情報で既に公開されていて、レイシオも認知していた。家族も故郷に住んでいるのなら、彼の元へ見舞いに来るというのは難しいことなのかもしれない。その程度の考えだった。
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