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    minato_s_0401

    @minato_s_0401

    アティニークジャクってなんだよ

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    このツイートから始まった、壊れそうな🦚さんをセックスで繋ぎ止める🛀先生のセフレのレイチュリさん。

    #レイチュリ
    Ratiorine

    Fly me to the star/🛀🦚レイチュリ 今思うと〝アベンチュリンカカワーシャ〟という人間は、篠突しのつく雨に打たれたような切実さを纏っていた。じっとりと湿っているのにベタベタしておらず、それでいて骨まで軋むような寂しさで身体を震わせていた。目の前で笑っているのに、どこか瞳の奥では涙をたたえ、ふと目を離したら泣いてしまうような──そんな危うさがあった。


    Fly me to the star


     スターピースカンパニーの技術開発部で、社員相手にコンサルタント業に勤しんでいたベリタス・レイシオは、顔の周りを飛び回る蚊のような光が何度も視界に入り、そろそろ不快感がピークに達しようとしていた。技術開発部の特別顧問として新たに開発した技術の解説をして、まだ1時間ほどしか経っていないというのに。これからが良いところという所で、偏頭痛の予兆だろうか。それなら暗所で休むしかないのだが、その時間調整をする方が手間だった。何せこのタイミングを逃せば、次は3ヶ月後になる。それもこれも、どこかのギャンブラーアベンチュリンのせいで変な仕事に駆り出されるからなのだが。
     仕方がないので気休めに目を瞑って深いため息を吐くと、突然顔をしかめたからだろうか。技術開発部の社員たちが、心配そうに騒めいた。レイシオの話について行けず、齟齬が生じたのではないかと狼狽えているのだろう。本来であれば直ちに撤回して、誤解を解くのが筋というもの。だが残念ながら今のレイシオは、そこまで気を回してやれるほどの優しさは持ち合わせていなかった。
     険しい表情のまま縁の細いメガネを外し、白衣の胸ポケットに突っ込み、眉間をほぐす。レイシオをさいなむ鬱陶しい光は、どう頑張っても足を引っ張りたくて堪らないようだ。
     不快感を隠しもせずレイシオは、辺りを見回してみる。吹き抜けるほど高い天井や、部屋の奥で鎮座する最新鋭の量子干渉計。部屋の一角を埋めるほどの虚数エネルギー研究用の大型装置に、壁に何枚も並べかけられた電子モニター。レイシオの目の前にある背の高い理科室用の白いテーブルにだって、目を眩ませるほどの光源はなかった。当然テーブルを囲んで座っている社員たちの身なりにも、怪しいものは何もない。皆熱心に電子ノートを取りながら、レイシオの技術をどう転用出来るのか、その源たる部分を自分の脳に叩き込もうと必死に食らいついている。
     それでも鏡で太陽光を反射したような光は、間違いなくレイシオを蝕んでいた。幾度となく視界を横切る光は、やがて眉間の奥を鷲掴むような痛みを引き連れ、脳を締め付けるような鈍い頭痛へと変貌していく。
     室内でなければ、室外だろうか。忌々しく睨むように窓の外を見ると、道路を挟んで向かい側の雑居ビルの屋上から男が──アベンチュリンが、キラキラと装飾品を瞬かせながら飛び降りようとしていた。
    「なっ……ッ、」レイシオは、仕事中なのも忘れて窓を覗き込んだ。慌てて立ったからだろう。座っていた丸椅子が派手な音を立てたが、気にしている暇はない。しかし、次見た時には、先ほど見た姿は瞬く間に消えていた。
     あれは本当にアベンチュリンだったのだろうか。見間違えではないだろうか。そもそも貴公子然としながら、どこか軽薄でアティニークジャクのような身なりを見かけたからといって、それがアベンチュリンであるとは限らない。それでも胸騒ぎが止まらず、早々に打ち合わせを切り上げると、レイシオはエントランスまで駆け降りた。どうしてこんなにも胸が締め付けられるのか、最後まで分からなかった。

     もたもたするエレベーターに苛立ちながら、レイシオがスターピースカンパニーのエントランスまで辿り着くと丁度、外回りから帰ってきたアベンチュリンとその部下たちがいた。
    「あれ? 教授! やぁ、こんな場所で奇遇だねぇ──……」
     社員証で入場ゲートを潜り抜けたアベンチュリンの頬をレイシオは両手で包み込むと、あっちこっち見回して怪我をしてないか確認していく。確か最近は、神秘星域圏のティターン星系の一つである「惑星オベロン」を担当していると言っていただろうか。数琥珀期前からスターピースカンパニーの管轄になった比較的新しい星なのだが、「妖精の鱗粉」と呼ばれる惑星オベロン産の小麦が、どうやら悪さ・・をしているとか。
     更に田舎特有の排他的な地域なのもあり、碌な待遇を受けられなかったのではないかと心配したが、どうやら取り越し苦労だったようだ。やはり先ほどのアベンチュリンは、見間違い。そう確信したところで、レイシオはやっと強張った肩から力を抜くことが出来た。
     スターピースカンパニーの戦略投資部に所属する高級幹部の1分は、世界を動かすほどの信用ポイントが動く。そんな貴重な時間を浪費出来るほど、アベンチュリンという人間は暇ではない。そんなこと最初から分かっていたのに、何故慌ててしまったのだろうか。それでも虚ろな表情で屋上にいるアベンチュリンを目にしたら、到底無視をすることなんて出来なかった。
     突然の出来事にポーカーフェイスを崩しているアベンチュリンはというと、話が長くなるのを察したのだろう。早く帰りたがっている部下たちへ先に上がるよう、パタパタと手で促していた。
    「……随分熱烈な出迎えだけど、急にどうしたんだい?」
     改めてアベンチュリンに訊ねられ、レイシオは「……いや、……」と珍しく歯切れの悪い言葉が漏れる。「ギャンブラーがビルの屋上から落ちそうになっているのを見かけて、心配して降りてきました」なぞ言えるだろうか。いいや、無理だろう。それどころか逆にこっちが心配されてしまう。
    「──……キミが無事なら、それでいい」
     散々頭を捏ねくり回した挙句、ようやく口にした言葉は、なんともありきたりなものだった。ただ言われた方はますます意味がわからないのか、目をこれでもかと見開いて固まっていた。そして、その表情はどんどん歪んでいき、いよいよ怪訝けげんなものになっていく。それはまるで江戸星の秋の空か、はたまた夕立になる直前の曇り空だろうか。目まぐるしく変わるアベンチュリンの表情を見て、レイシオはこんなにも表情豊かな人間だったのかと、また一つ驚きが増える。
     ふと着信を知らせるバイブレーションがアベンチュリンのポケットから鳴り響いて、レイシオの手から温もりがするりと抜け落ちていく。表示されたディスプレイを見たアベンチュリンは、一瞬だけバツが悪そうな顔をすると、後ろを振り向いて電話に出た。
    「やぁ、僕が仕事中は電話をして来ない約束だったんじゃないかい?」
     そう言葉を発した瞬間、レイシオの鼓動が大きく跳ねた。アベンチュリンという男にもプライベートがあって、親しくしている人間がいること。それは決してアベンチュリンという男を軽んじていたわけではない。単純に彼の取り巻く環境がそれを許さないと思っていたからだ。
     若干の動揺を覚えつつ、プライベートな内容なのだから立ち入るべきではない。そう思って意識を切り離そうとするが、会話の内容も相まって、レイシオの耳がアベンチュリンの声へと集中していく。
     話の内容から推測するに、〝夜のお誘い〟に関する内容のようだ。
     あまり聞き分けがないらしく、アベンチュリンがのらりくらりとして明確な返事を避けていように見える。理由は簡単。後ろで控えているレイシオに、変に情報を渡して勘繰られたくないのだろう。それがアベンチュリンの背中ごしにひしひしと伝わってくる。
     つまり、あまり探られたくない、大ぴらに言うことが出来ない関係。例えば──セックスフレンド肉体関係だけとか。それでいて、レイシオとの関係よりも壊れることを恐れている。いや、「弱みを握られている」と考える方が妥当だろうか。そもそも肉体関係のみであれば、後腐れがないようにするのが一般的である。
     ここまで情報が集まれば、大凡検討がついてくる。なぜアベンチュリンが、わざわざプライベートな内容を分かりやすく晒してきたのか。もはや考えるまでもなかった。
     レイシオは「失礼」と言ってアベンチュリンの手からスマートフォンを抜き取ると、「僕のツレ・・が何か迷惑をかけたようだな」と相手に声をかけた。突然知らない人間が電話口に出てきたのだ。相手は分かりやすく不快感を顕にしながら、「誰だテメェ」と暴言を吐き捨てているのが聞こえる。どうやら育ちも良くないようだ。
    「彼のパートナー・・・・だが?」
     嘘は言っていない。頭に「戦略的」という言葉は付くが。ただそんなこと相手が知るはずもなく、都合良く誤解してくれたようだ。
    「こいつは傑作だ! 知ってんのか? ソイツが夜、どんだけ喘いでんのか」
    「あぁ、そんなことか。僕には関係がない話だな」
     実際、関係ないのだ。何せアベンチュリンとは、仕事上の関係でしかない。だから夜どれだけ激しかろうが、どんなに淫らだろうが、仕事に差し支えなければそれで構わないのである。しかしそれでは面白くないのか、相手は唾を吐き捨てるように罵詈雑言を並べ立てて、ぶちりと通話を切った。
    「……これで満足か?」
     付き合う友人・・は選べといわんばかりに小言を添え、スマートフォンを元の持ち主へと返す。
    「何を言ってるんだい? 教授が勝手に・・・首を突っ込んできただけだろ?」
    「あれだけ誘っておいて・・・・・・、よくそんな減らず口が叩けるな」
    「そんなに怒らなくてもいいだろ? 冗談だって、ありがとう教授。助かったよ」
    「──……ハァ。……ギャンブラー、キミがどこで何をしていようと構わないが、もっと何とかしたらどうだ?」
    「僕もそのつもりだったんだけどね……。……なぜか一度寝ると、みんな本気になっちゃうんだ」
     思わず「何をバカな」と深いため息をつく。しかしアベンチュリンは本気らしく、少し面白くないように顔をしかめると、「なら教授が相手してくれよ。……後腐れがないように」とレイシオの耳元で囁いた。まるで「相手がいなくなった責任を取れ」と言わんばかりに。
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    minato_s_0401

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    このツイートから始まった、壊れそうな🦚さんをセックスで繋ぎ止める🛀先生のセフレのレイチュリさん。
    Fly me to the star/🛀🦚レイチュリ 今思うと〝アベンチュリンカカワーシャ〟という人間は、篠突しのつく雨に打たれたような切実さを纏っていた。じっとりと湿っているのにベタベタしておらず、それでいて骨まで軋むような寂しさで身体を震わせていた。目の前で笑っているのに、どこか瞳の奥では涙をたたえ、ふと目を離したら泣いてしまうような──そんな危うさがあった。


    Fly me to the star


     スターピースカンパニーの技術開発部で、社員相手にコンサルタント業に勤しんでいたベリタス・レイシオは、顔の周りを飛び回る蚊のような光が何度も視界に入り、そろそろ不快感がピークに達しようとしていた。技術開発部の特別顧問として新たに開発した技術の解説をして、まだ1時間ほどしか経っていないというのに。これからが良いところという所で、偏頭痛の予兆だろうか。それなら暗所で休むしかないのだが、その時間調整をする方が手間だった。何せこのタイミングを逃せば、次は3ヶ月後になる。それもこれも、どこかのギャンブラーアベンチュリンのせいで変な仕事に駆り出されるからなのだが。
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