横恋慕「六平の息子か」
「……どうも」
もみ上げか髭かわからない特徴的なスタイルの男がエレベーターに乗り込んできた。確か、亥猿という名の幹部だったはずだ。薊さんから聞いた話によると、六平否定派の男。否定派と言っても妖刀が危険だからだとか色々な意見はあるが、この人に限っては妖刀は危険なものであるという真っ当な意見、そして父さんと仲が悪かったが故の否定派だと聞いた。
亥猿さんは俺をジロジロの見下ろしていたと思うと、急に顎を掴まれる。
「!?」
咄嗟に手を振り払おうとするが、びくともしないで顔を左右に動かされた。そして、フッと笑ったかと思うとアイツの好きそうな顔だな、と呟いたのが聞こえて眉を寄せた。
「アイツ?」
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