🐳と📱と並行世界の話 朝。初期設定のままのアラーム音が耳を突く。脳に雪崩れ込む音の中、ぼんやりとした頭で、昨日までのことを思い出す。はっきりと思い出してしまった瞬間、クロノの瞼は重くなった。そして、同時に恐怖する。今日、一番最初に見える光景は、一体どうなっているのだろうか、と。
次に見える景色が見慣れた天井であることを信じて、ゆっくりと目を開ける。
「……。また失敗か…。」
そこは、やはりいつもの真っ白な部屋ではなかった。昨日と同じ、慣れないのに懐かしい、そんな部屋だった。
そうして、もしかしたら今日こそはという彼の期待は、あっさりと裏切られた。
上半身だけを起こして辺りを見回すと、右眼周りの皮膚が眼帯と擦れた。いつもと違う医療用の眼帯は、やはり少し違和感がある。
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