薫衣草学ランの袖に腕を通す、退院した翌朝。
コートから離れていた3ヶ月間。周りは驚異的な回復力だと言ってくれたが、オレにとってはそれしかやることが無かったから、焦燥を感じたくなかったから、一刻も早く戻りたかったから。
…気持ちを途切れさせたくなかった。
夜1人、灯りは消え静寂が訪れると否が応でも考える。治るのか戻れるのか、皆は迎えてくれるだろうか、待っててくれるだろうか。それはいつまで?いつまでオレに期待してくれる?
…オレは変わらず飛べるだろうか。
洋平達はともかく、アイツら以外誰も俺を待っていないような気がして、疑心暗鬼に脳内が支配され枕に顔を埋める。
怖い、怖い。
リョーちんやミッチー、見舞いに来てくれる奴らだってハルコさんの手紙にだって『待ってる』って言ってくれてる。復帰したらあたたかく迎えてくれるだろう。分かってる。
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