反響二人きりの体育館。
今日は喧嘩をしていない。
周りは安堵の表情でむしろ褒められた。
「………」
喧嘩したくてしてるわけじゃない。キツネがムカつくのは今更だが。
しなくていーならそれがいい。
これが普通なのに…
物足りない。
触れてねーから。
お前の熱が欲しい。
自分の腕をギュッと掴んだ。
「どあほう、これからてめーんち行く」
「はあ?」
カチンと紐を引っ張れば一瞬で灯る部屋。
一息つけるこの場所に今夜は緊張が走る。
ルカワ。
プライベートの空間。
そこだけ明らかに異質。
オレたちはトモダチじゃない。
仲良し、じゃない。
「ガチガチキンチョー男」
「ぬ!」
うるせー!どうしたらいいか分からん…
オレらの今の距離感が分からない。
学校や部活ではキス以外は上手くやれるのに。
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