(怪獣、宇宙人の調査のため、外回り中。)
「ええっと...ここから変な生き物を見かけたって連絡があったんだよね。
特に何もなさそうだけど...。」
(その時、あめむの目の前を何かがうごめいている。)
「え、あ、あれじゃないよね...?いや、絶対たぶんそうだ...」
(生き物はあめむを見つけると、意味不明の言語を発しながら迫ってきた。)
「う、うわっ!?」
「そこのお嬢さん。むやみに変な生き物に近寄るなって教わらなかったか?」
(あめむの耳元で声がする。おそるおそるそちらに目を向けると、緑の目をした顔の厳つい宇宙人が自分の肩に顎を乗せていることが分かった。生き物は動きを止める。)
「えあ...ひぅえっ!?」
「おーおー。可愛い反応じゃねえか。お嬢さん、ちょっと下がってろよ。」
(宇宙人は刀をその生き物に向ける。)
「あ、あの!ちょっと待ってください!」
「あ?なんだよ。まさかこいつに慈悲の一つでもかけようってのか?」
「そうじゃなくて...。その子、うちの研究に必要なんです。
だから、できるだけケガさせちゃったらなんというか...。」
「......あー。そうかよ。勝手にしろ。」
「その、すみません。」
(あめむはその生物に近づく。)
「....おいで。大丈夫だよ。」
「キエテ、カレカレータ。」
「え?」
「俺には分からんが。それよりいいのか?逃げちまったぜ。」
(そういわれて顔を上げると、その生き物はいつの間にかいなくなっていた。)
「あ...。」
「ま、残念だったな。お嬢さん。」
「そういえば、貴方は何者なんですか?あ、助けてくれてありがとうございます。」
「礼はいい。そうだな...可愛らしいお嬢さんを見かけて、襲われそうになったから助けたオウジサマ、ってところかな?」
「お、王子様って...。あの、一応聞いておきますけどあの生き物とは何か関係しているとかじゃないですよね?」
「そうだな...半分正解、とでも言おうか?
ついでに教えとくぜ。あいつの名はセレブロ。人間や宇宙人に寄生する奴だ。」
「寄生...セレブロ...なるほど。 ところで貴方は...」
(いつの間にかその宇宙人もいなくなっていた。)
「ってことがあったんですよ。ヘビクラ隊長。」
「へー。それはお疲れさんだったな。」
「セレブロについてはそのあとユカちゃんに教えてもらったので分かったんですけど、あの助けてくれた宇宙人については何も分からなくて...。」
「そうか。ま、気を付けるこった。」
「隊長、あの、すみません...。」
「別に怒ってねぇよ。お前が無事ならそれでいい。
それに、なにか危険が迫っても、オウジサマが助けに来てくれるんじゃねぇの?」
「そ、そうなんでしょうか...。」
(あめむの名前を呼ぶ声がする。振り返ると、ユカが呼んでいた。傍らに、同じ研究員らしい男生がいる。)
「えっと、報告は以上です。 行ってきます。」
「おう。いってらっしゃい。」
(そう言って、隊長はかすかにほほ笑んだ。
ユカのところへ向かう。隣にいた男性はこれから研究を共にする人で、名前はカブラギ、というらしい。)