「スミスぅ!なにかみつけた?ルルも!」
穏やかな天気の昼下がり、ルルの指差す方向には人だかりがあった。聞こえてくるのは賑やかな歓声で悪いことではなさそうだと胸を撫で下ろす。
「Alright,行ってみようか」
そう声をかけると同時か少しはやく、ルルはオレの腕を引っ張りながら人だかりへの突入していった。
押し合いへし合い、どうにかたどり着いた中心に居たのは一匹の黒猫。身体の大きさからして成猫だろうか。墨を流したような艷やかな毛並みとヘーゼルカラーの瞳が美しい。どうやら怯えてしまっているらしく、フーフーと荒い息が聞こえる。
まわりはお構い無しに口笛を吹いたり近付こうとしたりとやりたい放題だ。
「スミス!」
猫を指さしてルルが笑う。
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